底辺冒険者の俺をプロデュースしてS級冒険者にするって何が楽しいんですか?

星島新吾

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2章 底辺冒険者の俺をプロデュースしていて楽しいですか?

ep24.魔導書

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「そう言えば魔導書がどうとかって言ってなかったか?」

「うん。ココの魔導書凄いんだよぉ~色んな系統の魔法があって、特にこの氷属性の魔法について書かれた魔導書なんて帝都にも少ない珍しい写本なの。この写本には、寒冷地の民族が伝承してきた氷の魔法が詳しく記されていて、凍結の程度を自在に操る術とか、氷の結晶を武器化する魔法とか、本当に貴重な内容なの。魔法を嗜む者なら誰もが憧れる逸品でね…」

パルモの話すスピードがいつもより早く、コチラが頷くスピードも速くなる。

魔法屋の店内は、あらゆる種類の魔法書や魔法アイテムが所狭しと並べられた空間で、古びた書架から漂う古書の香りが、パルモの熱心な説明に拍車をかけているように思えた。

そんな中、カロムの取引が終わり、俺はその隙に店を出ることに成功した。しかし、パルモはまだ魔法の話を続けたがっている様子で、早く宿を取りに行ってそこで話そうという事になった。

「じゃあカロム、次は私達を一番いい宿まで案内して」

「えっ?二人ともウチに泊らないの?」

カロムは驚いたのか立ち止まって振り返った。

しかし、パルモは首を横に振った。

「クルさんには一番の宿に泊まって貰うの」

「俺?」

二人の会話を聞いていると突然名前が出てきて驚く。

別に役に立っているわけでもないし、俺は安い雑魚寝の出来る場所があればどこでもよかった。

逆にパルモにはこの旅でずっと警戒して周りを見て貰っていたからその恩もあり、彼女にはここでその旅の疲れを取って貰いたかった。

「俺はいいよ、あんま役立ってないし。パルモが休めるところに行こうぜ」

「クルさんは私の言う通りの場所に泊ってね。いい?」

「…おお」

パルモの勢いに負け、カロムに案内をしてもらうと、どことなく湿った空気感が漂う高級旅館の前に連れて行かれた。

その旅館の正面には、水の魔道具を使って作られた人工の滝が流れていた。滝の奥には、重厚な木の扉が設えられた旅館の入り口が見える。

旅館の外観は、目が悪くても分かるほどに周囲の建物とは一線を画す上質な作りだ。壁面は漆喰で仕上げられ、軒先には繊細な彫刻が施されている。まるで、こちらに訪れる者を優雅に迎え入れるかのような佇まいと言える。

「な、なんかシットリしているな…」

俺は、そんなこの高級旅館の雰囲気に圧倒され、入り口から漂う上質な空気に、ますます足が重くなる。

「こ、こんなところに泊る金なんてないだろ…!?」

恐る恐るパルモに尋ねる。

「大丈夫。グロリアスマンティスの依頼報酬があるから」

パルモは淡々と応える。彼女にとって、この高級旅館に泊まることは当然のことなのだ。

「いや、あれは今後の生活のために貯蓄したいなぁ…って」

俺は、怪我をしたら活動できなくなるかもしれないと考え、できるだけ生活費を貯めておきたいと思っていた。

「大丈夫。これから毎日クルさんは依頼を受けるんだから。宿代なんて十分に稼げるよ。それにもしもの時は私が出してあげるから」

パルモは、俺の不安を和らげるように優しく言葉をかけてくる。

しかし、俺はこれからの生活に戦々恐々とする気持ちを抑えきれずにいた。

(ヤバい…このままじゃ…毎日が命がけの生活になる…!)





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