異世界!? 神!? なんで!?

藤谷葵

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第1章

第26話:修道服

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 私は与えられた使命の難しさに、知恵熱を出して、一日寝込んだ。
 治ってきたけど、ミシアさんにもう少し休んでいなさいと言われて大人しく布団にこもっていると、夜なのに何やら外が騒がしくなってきた。
 気になって仕方がないので、布団を抜け出し服を着替えて私も教会の外へ出た。
 村人が集まっているところを見ると、篝火がいくつか灯っており、その場所には馬車が見える。それが何を意味しているのか悟った私は、まっしぐらにそこに向かって走った。

「おかえりなさい」
「ただいま、サオリ、熱出したんだって? 大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。ハイトさんとモウゼさんも道中大丈夫だった?」
「ああ、とりあえず今回は大丈夫だったよ」

 私とハイトさんが話している間に、他の村人たちは荷物を下ろしている。

「品物売れた?」
「ああ、高値で売れたよ。街も食料事情が良くなくて、どうやらスラム街が広がっているようだ」

 スラム街の拡大。それもどうにかしなければならない。そんなことを考えているとハイトさんが付け加えてきた。

「街の商人に売ろうと思ったんだけど、街全体が食料危機で領主様が買い取ることになった。そして街の人々に売り出すらしい。私は領主様と面識がないから、街の商人を経由して領主様が買い取って下さったんだけどね。当面は今後もそうなるらしい」

 それを聞いて私は驚く。

「え? それじゃあ、領主様が買い取って、それが更に値段が上がって売りに出されたら、街の人は買えなくなっちゃうんじゃないの?」
「逆だよ、サオリ。領主様が高く買い取ってくれて、それを街の人々に安く売るんだ。商人に任せるとどうしても利益を出す必要があるから、高値になってしまうけど、領主様は税収分を還元する感じで安く売るんだ」

 それを聞いてなるほどと思った。結構いい領主様なのかもしれない。
 私が思案しつつ、横目で馬車を見ると、農具やら工具、布などが運び出されている。

「何を買ってきたの?」
「村に必要な道具類と、あとミシアさんがせっかく教会にいるから、ミシアさん用の修道服を作った方がいいんじゃないかって話があったんだ。だから布や服を作るための道具とかだよ」
「修道服! なんか素敵!」
「そうだな。教会と言い、修道服と言い、女神様を祀るものだ。村人たちの想いが届くといいな」

 そう言いつつ教会を見つめるハイトさんと同じく、私も教会を見つめて『私の女神としての始まり』を感じた。
 私はハイトさんに挨拶をして、その場を離れて教会に戻る。何やら今度は教会の方が賑やかになっている。教会の礼拝堂では何故か孤児の男の子たちが、手持ち無沙汰にウロウロしている。私はそこへ行き、声をかける。

「なにしてるの?」

 突然声をかけると、男の子たちが驚く。
 
「なんだ、サオリお姉ちゃんか……脅かすなよ。なんかミシアさんの服を作るから採寸だってさ。だから俺たちは二階に上がっちゃダメだって」

 なるほど。採寸の為に服を脱ぐから、男の子たちは礼拝堂へと追い出されたと。
 私は女の子なので二階に上がり、ドアを開けて中に入っていく。もちろん、中が見えないように、念には念を入れ、開く幅を狭めて。
 私は採寸しているところに近寄って行く。普通の服ならば、服の上から採寸するのだが、正装ともいえる修道服なので、下着姿である。下着姿と言ってもこの世界にブラジャーというものはないので、裾の短いワンピースといった感じであるが。

「あら? サオリ、どこに行っていたの? 体調は良くなった?」

 私に気づいたミシアさんが、採寸をされつつ声をかけてきた。

「うん、大丈夫だよ。それよりミシアさんの修道服、楽しみだね~」
「そうね。私も嬉しいわ。今まで神様に仕えてきたけど、申し訳なさを感じていたから」
「申し訳なさ?」
「お祈りは『神様とお話』をしているの。神様とお話をするのに、ボロボロの服だと失礼でしょ? でも、内心複雑ね。服よりも村の人達や孤児たちのためになるものに使って欲しかった気もするし……」

 ミシアさんらしい返事である。自分の事より他人優先。私より、ミシアさんの方が女神様に見える。
 採寸が終わったらしく、ミシアさんは服を着直した。採寸していた女性陣は、教会から出て行く。どこかの家で裁縫をするのだろうか?
 採寸を終えたミシアさんは、祭壇の女神像に向かってお祈りを始めた。

「女神エレメリス様、村を豊かにして下さってありがとうございます」

 礼拝堂に孤児の子供たちも集まり、ミシアさんと一緒にお祈りをしている。
 そんな皆を見つつ、私は照れつつ思った。

(いや~、それほどでも……)
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