この恋は推すわけにも退くわけにもいかない

藤谷葵

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第4話

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 翌日の放課後。千聖と一緒に帰りがてら、昨日の出来事を話した。

「そうなの? 仲良くなれそうじゃん!」
「いやいやいやいや、同担とかないわ」
「でも、仲良く手を繋いだんでしょ?」
「うっ!」

 そう言われて、自分の両掌を見つめる。手を繋いだことを思い出し、頬が赤くなる。
 推しに対する好きと、リアルで恋した相手に対する好きは違う。
 私は推しのコンサートを見ていた時は、セナ君のことで頭がいっぱいだったが、今、思い出すのは花畑さんのことばかり。頭から湯気が出そうだ。
 そんな私を見かねて、千聖は提案してきた。

「古典的だけど、ラブレターを渡してみたら?」
「……ホントに古典的だね。今時ラブレター?」
「でも、差出人を書かないで渡せば、八重のことを避けないんじゃない?」
「……」

 私は考え込んだ。確かに順番が逆な気もするけど、自分の気持ちを伝えてからでないと、花畑さんはまともに取り合ってくれないだろう。

「ちょっと考えてみるね」
「うん」

 千聖と別れた後、一度、家に荷物を置いて着替え、雑貨屋にレターセットを買いに行った。
 
 そして、今更ながらに、文章に悩む。セナ君は男の子。男の子を推している花畑さんが、女の子、つまり私と付き合ってくれるのだろうか?
 気にもせずに、普通に百合漫画やライトノベルを読んでいたので、感覚がバグっていた。
 悩んだ結果。自分の気持ちをそのまま伝えるしかないという結論に至り、感情のままに書き綴った。
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