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第2章「ほのぼの冒険者ライフ」
01,一日の始まり
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「おはよう」
「おう、おはようカズマ。あいかわらず朝早いな」
「そういうチャドのほうが早いだろ」
「まぁ、日課だからなぁ」
まだ陽が差す前の庭は夜の領域だ。
精霊具の常夜灯がほのかに辺りを照らしている。
そんな中に盾と斧を構えて立っているチャドは、すでに一汗かいていたようだ。
さすがに一流の戦士だけあって、チャドは毎朝の鍛錬を欠かさない。
それも、常に俺より先に始めている。
結構早く起きているはずなんだけどなぁ。
まぁ、別に競っているわけではないし、自分のペースを崩すほうが色々不都合があるから、ぼやくだけにしておく。
まずはじっくり身体をほぐして、続けて練習用の鉄剣を使って素振りを始める。
チャドもまた、攻撃を受け流しカウンターの一撃を入れる型を何度も繰り返し始めた。
男二人で黙々と基礎鍛錬を続ける。
人族の代表国家「ブリュート王国」の首都「ロンディニム」に着いて、もう20日ほど経っていた。
到着当日。
トリーシャたちが冒険者ギルドに報告と報酬を受け取りに行くときに、俺も登録を済ませた。
階梯は3級。
本来は仮登録から始め、何度か依頼をこなした後、5級として本登録する。
しかし何事にも例外措置はあるもので、一定数の上級者が推薦し、実力がその申請通りなら飛び級も認められるのだ。
トリーシャたちは1級と2級の混在パーティーで、全員で飛び級の推薦をしてくれた。
実技は今回のリンド種魔族とスレイブの討伐協力。そして、イメージワード4の法術を実際に見せることで認められ、3級から出発となった。
……一応、剣士なんだけどなぁ。法術のほうが確認しやすいのは分かるけれど
「秘法術を見せれば1級も可能でしょうに……」
「いきなりそんな目立つのはもうコリゴリだよ」
「そうよねぇ。そのせいでシアにつけ狙われるようになったわけだし」
「トリーシャ、その言い方ひどい! カズも皆もフォローしてよ!」
「あー……」
「……ねぇ」
「皆もひどい!」
シアの評価については、まぁ自業自得ということで。
と言っても、旅の途中で話した「ワードの質を高めるために、日頃から言葉に気をつける」という情報が、彼女の師匠の教えとも一致したことから、マシンガントークはかなり鳴りを潜めた。
もちろん暴走することも多いけれど、出会った当初より随分ましになったといえる。
これについては、トリーシャたちからメチャクチャ感謝された。
今までどんだけだったんだよ、シア……。
報酬の分け前は、なんと本当に7等分にしてくれた。
遠慮したのだけど。
「これから一緒にやっていくんだから、報酬はしっかりケジメつけておかないとトラブルの元! 分かるでしょ?」
と、トリーシャから言われると納得するしかなかった。
ちなみに今回の召喚転生では、装備も所持品もほぼ前世界の状態で再現されている。
魔王と戦う前に現金の一部を宝石にして身につけていたので、換金すればそこそこのお金になるはずだったから、とりあえず困ることはないのだけど。
まぁ、資金は多いほうがいい。
ありがたくもらっておくことにした。
「お、陽が出てきたな。そろそろ終わるか」
東の空が明るくなってきた時分、チャドが汗を拭きながら鍛錬終了を促してきた。
俺も剣を収めて、朝日を拝んで振り返る。
「今日の朝はどっちが食事当番だったっけ」
「たしか俺だな。ちょっと待ってろ」
チャドは身体を拭いた後、庭の片隅にある畑からいくつか野菜を摘んで、先に家の中に入っていった。
俺は今、チャドの家に居候している。
冒険者ギルドでは、田舎から出てきた者に対して賃貸住居の斡旋もしているけれど、金がもったいないだろうとチャドが誘ってくれたのだ。
メインとなる居住区から少し離れたところにある、戦のときにも焼け残った一軒家。遺産相続を放棄した代わりにもらったのだそうだ。
4人程度なら十分快適に過ごせるだけの設備と広さがあって、トリーシャパーティーの集合場所としても使われている。
日本でいうなら6畳ほどの鍵つきの自室ももらったし、チャドは豪快無遠慮に見えて気遣いが丁寧な男だから、プライバシーにも配慮してくれる。
何の身よりもない俺からすると、本当にありがたいこと、この上ない。
井戸で顔を洗い、汗を拭く。
ついでに水を桶に汲んで、持っていく。
精霊具の普及で水道もあるけれど、なぜか井戸水のほうが美味しく感じるんだよなぁ。
「おはよう、カズ!」
「……おはよう。でもなんでこんな朝早くシアがいるんだよ」
庭に面している裏口から入ると、広めのリビングには言わずと知れた残念美女がいた。
戦士系は朝型、法術士系は夜型のイメージがある。もちろん例外はあるけれど、今までの経験ではかなりの確率で当たってる。
実際、チャドも俺も早寝早起きが基本だし、シアは夜遅くまで法術研鑽するタイプだったはず。
「今日は一緒にギルドや図書館に行く予定だったでしょ? 楽しみで早めに来ちゃったわ」
「それにしても早すぎる。って、もしかして徹夜じゃないだろうな?」
「流石にそれはないわよ! ……たまたま朝早く眼が覚めちゃっただけ」
「寝不足は集中力の低下に繋がるぞー」
「昨晩はちゃんと寝たわよ」
ふてくされたように唇を尖らせるシアを見て、少し呆れる。
つまり楽しみだったから、朝早く起きるために寝るのも早かったってことか?
……斜め上への暴走っぷりは健在だなぁ。流石に簡単には治らないか。
第一、そこまで楽しみな理由がいまいち分からない。ただギルドで依頼を確認したり、図書館で調べ物したり、買い物するだけなんだけど。
チャドが笑いながらキッチンの方から声をかけてきた。
朝食がのったプレートを差し出してくる。
「カズマ、これ運んでくれ。シアも食べていくだろう?」
「オッケー」
「ありがとう。いただくわ」
「なに、卵を差し入れしてもらっているからな。お互い様だ」
キッチンとテーブルを往復して配膳する。
パンと目玉焼き、ベーコンと野菜の炒めもの、サラダ、肉だんごが入ったスープ。
鍛錬のあとで空いた腹には、このハーブのいい香りはまさに暴力だ。
作ってくれたチャド、材料を提供してくれたシアに感謝しつつ、たっぷりいただこう。
こうして今日も1日が始まる。
今のところ、トリーシャたちの仕事を手伝いながら、この世界の情報を集めている。
……まだこれといった手がかりもないし、ヴァクーナからの夢通信も途絶えたまま。
第二のフラグって、一体なんなんだ?
「おう、おはようカズマ。あいかわらず朝早いな」
「そういうチャドのほうが早いだろ」
「まぁ、日課だからなぁ」
まだ陽が差す前の庭は夜の領域だ。
精霊具の常夜灯がほのかに辺りを照らしている。
そんな中に盾と斧を構えて立っているチャドは、すでに一汗かいていたようだ。
さすがに一流の戦士だけあって、チャドは毎朝の鍛錬を欠かさない。
それも、常に俺より先に始めている。
結構早く起きているはずなんだけどなぁ。
まぁ、別に競っているわけではないし、自分のペースを崩すほうが色々不都合があるから、ぼやくだけにしておく。
まずはじっくり身体をほぐして、続けて練習用の鉄剣を使って素振りを始める。
チャドもまた、攻撃を受け流しカウンターの一撃を入れる型を何度も繰り返し始めた。
男二人で黙々と基礎鍛錬を続ける。
人族の代表国家「ブリュート王国」の首都「ロンディニム」に着いて、もう20日ほど経っていた。
到着当日。
トリーシャたちが冒険者ギルドに報告と報酬を受け取りに行くときに、俺も登録を済ませた。
階梯は3級。
本来は仮登録から始め、何度か依頼をこなした後、5級として本登録する。
しかし何事にも例外措置はあるもので、一定数の上級者が推薦し、実力がその申請通りなら飛び級も認められるのだ。
トリーシャたちは1級と2級の混在パーティーで、全員で飛び級の推薦をしてくれた。
実技は今回のリンド種魔族とスレイブの討伐協力。そして、イメージワード4の法術を実際に見せることで認められ、3級から出発となった。
……一応、剣士なんだけどなぁ。法術のほうが確認しやすいのは分かるけれど
「秘法術を見せれば1級も可能でしょうに……」
「いきなりそんな目立つのはもうコリゴリだよ」
「そうよねぇ。そのせいでシアにつけ狙われるようになったわけだし」
「トリーシャ、その言い方ひどい! カズも皆もフォローしてよ!」
「あー……」
「……ねぇ」
「皆もひどい!」
シアの評価については、まぁ自業自得ということで。
と言っても、旅の途中で話した「ワードの質を高めるために、日頃から言葉に気をつける」という情報が、彼女の師匠の教えとも一致したことから、マシンガントークはかなり鳴りを潜めた。
もちろん暴走することも多いけれど、出会った当初より随分ましになったといえる。
これについては、トリーシャたちからメチャクチャ感謝された。
今までどんだけだったんだよ、シア……。
報酬の分け前は、なんと本当に7等分にしてくれた。
遠慮したのだけど。
「これから一緒にやっていくんだから、報酬はしっかりケジメつけておかないとトラブルの元! 分かるでしょ?」
と、トリーシャから言われると納得するしかなかった。
ちなみに今回の召喚転生では、装備も所持品もほぼ前世界の状態で再現されている。
魔王と戦う前に現金の一部を宝石にして身につけていたので、換金すればそこそこのお金になるはずだったから、とりあえず困ることはないのだけど。
まぁ、資金は多いほうがいい。
ありがたくもらっておくことにした。
「お、陽が出てきたな。そろそろ終わるか」
東の空が明るくなってきた時分、チャドが汗を拭きながら鍛錬終了を促してきた。
俺も剣を収めて、朝日を拝んで振り返る。
「今日の朝はどっちが食事当番だったっけ」
「たしか俺だな。ちょっと待ってろ」
チャドは身体を拭いた後、庭の片隅にある畑からいくつか野菜を摘んで、先に家の中に入っていった。
俺は今、チャドの家に居候している。
冒険者ギルドでは、田舎から出てきた者に対して賃貸住居の斡旋もしているけれど、金がもったいないだろうとチャドが誘ってくれたのだ。
メインとなる居住区から少し離れたところにある、戦のときにも焼け残った一軒家。遺産相続を放棄した代わりにもらったのだそうだ。
4人程度なら十分快適に過ごせるだけの設備と広さがあって、トリーシャパーティーの集合場所としても使われている。
日本でいうなら6畳ほどの鍵つきの自室ももらったし、チャドは豪快無遠慮に見えて気遣いが丁寧な男だから、プライバシーにも配慮してくれる。
何の身よりもない俺からすると、本当にありがたいこと、この上ない。
井戸で顔を洗い、汗を拭く。
ついでに水を桶に汲んで、持っていく。
精霊具の普及で水道もあるけれど、なぜか井戸水のほうが美味しく感じるんだよなぁ。
「おはよう、カズ!」
「……おはよう。でもなんでこんな朝早くシアがいるんだよ」
庭に面している裏口から入ると、広めのリビングには言わずと知れた残念美女がいた。
戦士系は朝型、法術士系は夜型のイメージがある。もちろん例外はあるけれど、今までの経験ではかなりの確率で当たってる。
実際、チャドも俺も早寝早起きが基本だし、シアは夜遅くまで法術研鑽するタイプだったはず。
「今日は一緒にギルドや図書館に行く予定だったでしょ? 楽しみで早めに来ちゃったわ」
「それにしても早すぎる。って、もしかして徹夜じゃないだろうな?」
「流石にそれはないわよ! ……たまたま朝早く眼が覚めちゃっただけ」
「寝不足は集中力の低下に繋がるぞー」
「昨晩はちゃんと寝たわよ」
ふてくされたように唇を尖らせるシアを見て、少し呆れる。
つまり楽しみだったから、朝早く起きるために寝るのも早かったってことか?
……斜め上への暴走っぷりは健在だなぁ。流石に簡単には治らないか。
第一、そこまで楽しみな理由がいまいち分からない。ただギルドで依頼を確認したり、図書館で調べ物したり、買い物するだけなんだけど。
チャドが笑いながらキッチンの方から声をかけてきた。
朝食がのったプレートを差し出してくる。
「カズマ、これ運んでくれ。シアも食べていくだろう?」
「オッケー」
「ありがとう。いただくわ」
「なに、卵を差し入れしてもらっているからな。お互い様だ」
キッチンとテーブルを往復して配膳する。
パンと目玉焼き、ベーコンと野菜の炒めもの、サラダ、肉だんごが入ったスープ。
鍛錬のあとで空いた腹には、このハーブのいい香りはまさに暴力だ。
作ってくれたチャド、材料を提供してくれたシアに感謝しつつ、たっぷりいただこう。
こうして今日も1日が始まる。
今のところ、トリーシャたちの仕事を手伝いながら、この世界の情報を集めている。
……まだこれといった手がかりもないし、ヴァクーナからの夢通信も途絶えたまま。
第二のフラグって、一体なんなんだ?
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