輪廻、六つの道、いずれ誰が為にも不成(ならず)

獅子野 れいら

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序話

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 戦線恐々としたこの土地で、俺はいくつもの死線を乗り越えて来た。窮地に立たされる事も多い中、潜り抜ける度に、仲間達が死んでいく様を幾度と無く目の当たりにした。辛く、悲しい現実を受け止めなければいけないのは百も承知だが、俺は、俺自身が今この場で踏みとどまるわけにはいかないと、皆はそれを分かっていながら、この背中を笑顔で押し出してくれた。

「リク!頼んだぞ!——」

「りっくん!ここは私達に任せて、さあ!——」

「僕の分まで……その背中に託します……よ——」

「ハヤテ……お前のその勾玉には、いつだって俺達の魂が宿ってる。だから、思う存分前に進め——」

「クソ……クソ……、クッソおおぉぉぉぉ!」

 我武者羅で振り翳したその両手の先から、無数の魂が木霊する。俺と今まで闘ってきた者達、俺の事を息子の様だと言ってくれた宿主達や、お世話になった人々もみんな、この魂の中で、俺の心のバランスがブチ壊れる程に集まり、溢れている。

「お前だけは、お前だけはぁぁぁあ!」

「世界を統べるモノの力にお前ヒトリの力でどう戦況が変わるという」

「やってみなきゃわかんねぇだろうが!」

「いいや、もう答えはそこに出ている……」

 「は?」と、そう言う間も無く、気がついた時には、奴の腕が俺の身体の中に入っていく。

「うがぁぁぁ!」

 拒絶反応を起こした俺は、宿ったの魂を全て削ぎ落として、せめてもの思いで、元の場所へ帰す。

「みんな……ごめん。守れなくて……ごめん……!」

「今更乞うても遅い……あの世もこの世も無い『無』へと、お前は帰るのだ、この先もずっと生まれ変わる事無く、な——」
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