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1 5月25日
16歳の誕生日
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5月25日。今日は私、如月虹子16歳の誕生日。
いつも通りにお寿司やオードブルを買って、ケーキを食べて、家族と一緒にお家で誕生日のお祝いをしてもらえればそれで良かったんだけど……。
「お母さん、これはどういうこと?」
連れられるがままにやって来たヘアーサロンまりあ。母御用達の美容室だ。あたしも小さい頃からお世話になっているのだけれど、今日は美容師のまりあさんもやけに気合いが入っている。ほぼ寝起きのまま来たあたしの頭は、ヘアケアから始まり、メイク、全身コーディネートまで完璧に仕上げてくれた。
「かわいいー! ニコちゃんっ」
「……いや、これどういう」
あたしの質問にも答えずに、お店の入り口付近にあたしを立たせて、母はスマホのカメラを連写する。
「お誕生日だもの。今日はとびきりおしゃれをして、パーティーするのよ」
次は母の番のようで、唖然とするあたしを置いて、まりあさんと話し始めてしまった。
着慣れないふんわりとした淡いピンクのワンピース。肩にはリボンが付いていてワンショルダーになっているから、可愛らしいけれど大人っぽくも見える。
何より、今まで前髪なんて上げたことがないのにポンパドールにして顔が全面に出てしまっているし、メイクで誰だこれ状態になっている。アイロンでくるくるに巻いた髪型の自分が信じられない。鏡に映る姿がまるで他人だ。
誕生日を迎えて別人になるとか、どんな状況?
「あ、ニコちゃん。お母さんが終わるまでまだ時間がかかるから、お散歩してきても良いわよ。今日とっても良い天気だもの。そこに用意していたヒール履いてね」
手を動かしながら、まりあさんがあたしの方を見てお店の出入り口の前に置かれた靴に視線を送った。
見ると、キラキラしたビジューの装飾された5センチは余裕であるヒール。見たことはあっても履いたことなんて一度もない。
もうここまで来たらどうにでもなれと、足をそっと入れ込む。
あたしのための靴かと思うくらいにサイズがピッタリで、なんだか少しだけ嬉しくなった。
「外、歩いてくる」
もしかしたら、これは全部両親からの誕生日プレゼントなのかもしれない。
一人っ子のあたしは、小さい頃から友達作りが下手だった。話しかけられても相手の目が見られなくてどもってしまう。話しかけるなんてもってのほかで、あたしは一人でいることが多かった。
はっきり言っちゃえば、かなり暗い。学校の教室は、あたしのところだけ闇に囲まれているんじゃないかってくらいに人が寄りつかないし、静かだった。
高校でもそれは変わらない。入学してから2ヶ月が経とうとしているのに、あたしにはまだ友達がいない。
だけど、なんだかそんな状況に慣れつつあるのが少し切ない。寂しいとか、いいなぁとか、そういうことをあんまり思わなくなった。
中学の頃は悩んで母にどうしたら良いんだろうって相談もしていたけど、最近は特になにも話していない。
もしかして、それを心配してこんなことをしてくれたのかな?
いつも通りにお寿司やオードブルを買って、ケーキを食べて、家族と一緒にお家で誕生日のお祝いをしてもらえればそれで良かったんだけど……。
「お母さん、これはどういうこと?」
連れられるがままにやって来たヘアーサロンまりあ。母御用達の美容室だ。あたしも小さい頃からお世話になっているのだけれど、今日は美容師のまりあさんもやけに気合いが入っている。ほぼ寝起きのまま来たあたしの頭は、ヘアケアから始まり、メイク、全身コーディネートまで完璧に仕上げてくれた。
「かわいいー! ニコちゃんっ」
「……いや、これどういう」
あたしの質問にも答えずに、お店の入り口付近にあたしを立たせて、母はスマホのカメラを連写する。
「お誕生日だもの。今日はとびきりおしゃれをして、パーティーするのよ」
次は母の番のようで、唖然とするあたしを置いて、まりあさんと話し始めてしまった。
着慣れないふんわりとした淡いピンクのワンピース。肩にはリボンが付いていてワンショルダーになっているから、可愛らしいけれど大人っぽくも見える。
何より、今まで前髪なんて上げたことがないのにポンパドールにして顔が全面に出てしまっているし、メイクで誰だこれ状態になっている。アイロンでくるくるに巻いた髪型の自分が信じられない。鏡に映る姿がまるで他人だ。
誕生日を迎えて別人になるとか、どんな状況?
「あ、ニコちゃん。お母さんが終わるまでまだ時間がかかるから、お散歩してきても良いわよ。今日とっても良い天気だもの。そこに用意していたヒール履いてね」
手を動かしながら、まりあさんがあたしの方を見てお店の出入り口の前に置かれた靴に視線を送った。
見ると、キラキラしたビジューの装飾された5センチは余裕であるヒール。見たことはあっても履いたことなんて一度もない。
もうここまで来たらどうにでもなれと、足をそっと入れ込む。
あたしのための靴かと思うくらいにサイズがピッタリで、なんだか少しだけ嬉しくなった。
「外、歩いてくる」
もしかしたら、これは全部両親からの誕生日プレゼントなのかもしれない。
一人っ子のあたしは、小さい頃から友達作りが下手だった。話しかけられても相手の目が見られなくてどもってしまう。話しかけるなんてもってのほかで、あたしは一人でいることが多かった。
はっきり言っちゃえば、かなり暗い。学校の教室は、あたしのところだけ闇に囲まれているんじゃないかってくらいに人が寄りつかないし、静かだった。
高校でもそれは変わらない。入学してから2ヶ月が経とうとしているのに、あたしにはまだ友達がいない。
だけど、なんだかそんな状況に慣れつつあるのが少し切ない。寂しいとか、いいなぁとか、そういうことをあんまり思わなくなった。
中学の頃は悩んで母にどうしたら良いんだろうって相談もしていたけど、最近は特になにも話していない。
もしかして、それを心配してこんなことをしてくれたのかな?
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