毎月25日は椿くん感謝デー

佐々森りろ

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3 11月25日

1番の疑問

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「理人先輩」
「ん?」
「どうして、あたしなんかをモデルに使いたいと思ったんですか?」

 あたしの1番の疑問。1度聞いてはあるし、はぐらかされたわけじゃないけど、前に返ってきた理由だけでは、少し納得がいかない。
 あたしは、先輩の知り合いでもなんでもなかったのに、どうしていきなり先輩のモデルに抜擢されたのか。それなりに何かちゃんと理由があるなら、知りたいと思った。
 理人先輩は、鏡越しに小さく笑って困った顔をする。少し悩んでから、ようやく口を開いた。

「全然信用されないからだよ」
「え?」
「椿が、ニコちゃんが椿の一目惚れの相手だって何度説明しても、ぜんっぜん信用してくれないから。だから、俺の手でニコちゃんのことを変えて、さらに普段のニコちゃんも美意識に目覚めさせて、自分がかわいくなれるってことを自覚してもらうために、モデルとして来てもらってたの。俺のシナリオでは、もう最初の変身で次の日からニコちゃんが美少女に生まれ変わって、椿と付き合って美男美女カップル誕生! 晴れてユリカは俺一筋になるって筋書きがあったのに、ニコちゃんってば根っからが暗すぎて、なっかなか変わらないからほんっと困っちゃった」

 あっははーと、理人先輩は乾いた笑いをしてくる。

「本当ならこれ、言うつもりなかったんだけど」

 あたしも、それに対して小さく笑うしかない。いや、でも笑える話ではない。

 え?どう言うこと?

 一旦頭の中で先輩の言葉を整頓しないとよく分かっていない。こんがらがる頭で悩み始めるあたしの肩に、ポンっと理人先輩が手を乗せた。

「だからね、簡単に言うと、結局は俺が椿の協力をしていたってこと」

 完結にまとめて、自身ありげに笑った先輩はあたしにクロスを巻いた。そして、手慣れたように絡まっていたあたしの髪の毛を丁寧にブラッシングし始める。
 鏡の中に映るあたしの顔が、すごく間抜けだ。
 ぜんっぜん理解出来ていない。
 先輩は簡単にまとめてあたしに分かったか! と言い切った表情をしているけれど、あたしは何一つ分かっていない。先輩が何を言っているのか理解し難い。

 理人先輩が椿くんの協力?

 考えれば考えるほど分からずに、だけど、理人先輩の手は止まらずに動き続けて、最終的には軽いメイクまで施され、クロスを外された。

「はい! 完璧! じゃあ椿とユリカ呼ぶね」

 すぐスマホをポケットから取り出して、電話をかけ始めてしまう。

 鏡の中には、巻き髪になったあたしがいる。いつもながら、誰だろうこれは? という現象に陥る。でも、洋服と髪のバランスがちょっと、いや、だいぶおかしい。これじゃああまりにアンバランスだ。









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