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5 12月25日
お昼休み
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あの日以来、あたしは一条さんグループとお弁当を食べる様になっていた。決して仲良しになったわけじゃない。お昼休みになると、決まって一条さんがお弁当と友達2人を引き連れてやってくるのだ。
私の机の周りの机をくっつけて、お弁当を広げて当たり前のように会話が始まる。
一条さんと仲のいい、可愛らしくてお人形みたいな来栖さんとクールで美人モデルみたいな金原さん。あたしとはなんの接点もないのに、不思議とも思わずに一条さんと一緒にやってくるから、こちらもよくわからない状況になっている。
「クリスマスはどうするの?」
12月に入ったから、やはり話題に上がるのはイベント事。3人とも素敵な彼氏がいるらしいのは、話を聞いていると分かる。もちろん一条さんの彼氏は理人先輩だって知っているけど、2人のことは何も知らない。
「もちろん、クリスマスは彼氏と2人で過ごすに決まってるよねー」
来栖さんが楽しそうにはしゃいで言う。それは、あたしも同感だとは思っている。
まぁ、あたしの場合は彼氏ではなく、推しぬいのツバくんと。になるけれど。
椿くん推しになってからの、初めてのクリスマス。太陽堂でキラキラのクリスマスカラーのベロア生地に、この前から目をつけていた。値段はちょっとお高いけれど、その生地にキラキラのスパンコールを縫い付けて、王子様アイドルみたいな衣装を着せようと企てている。もう絶対似合うに決まっている。
「えー、ニコりんも予定ありなのー!?」
チラリとこちらを見た来栖さんが、大きな瞳をさらに大きく見開いて、乗り出す勢いであたしに向かってくる。
「えっ……」
いや、なんでそう思うの? あたしは何の予定もないのに。
慌てて視線を外したけど、今度は金原さんが話に割り込んでくる。
「えー! まさか椿くんと!?」
「にやついちゃってぇー!」
はぁ!?
反論したい気持ちをグッと飲み込んで、あたしは首を横に振るしかない。
そんなわけがない。なんでそこで椿くんの名前が出てくるのか。
2人は彼氏がいてもなお、椿くんのファンらしい。だから、あたしみたいなのが椿くんのダブルデートの相手に選ばれたことをいまだに恨んでいたりするのかもしれない。ニヤついたりしてごめんなさい。
「あの椿くんに気に入られるってすごいよねぇ、ニコりんって」
「マジでそう! ってか、メイクしないで、髪型少し変えただけで可愛くなれるとか反則。こっちは髪型もスタイルもメイクも必死こいてんのにさ。全部手放したらマジフラれるからね。こわっ」
「何言ってんのー、アンもまぁりんもどんな時でもかわいいってば!」
一条さんが2人のことをよしよしと慰めながら励ましている。
あたしだってそう思う。学校で見る2人のことしか分からないけれど、いつ見てもかわいいし、制服も皺なくキレイに自分に似合うように着こなしている。メイクは少し派手かなって思う日もあるけれど、テストの時とか真面目な授業の時にはナチュラルにしている気もするし、毎日同じじゃないから、見ていても楽しい。
「まぁ、メイクも正直まだまだ勉強中だしねー。デートの時は張り切り過ぎてめっちゃ濃くなったりして逆にかわいくないよね」
「ねー! めっちゃわかるー!」
来栖さんも金原さんも、もとからかわいいわけじゃないんだ。ちゃんと、自分を可愛く見せるために努力している。
理人先輩が言っていたな。
『かわいいはね、作れるんだよ』
なるべくしてなるわけじゃないんだ。一軍女子なんて言葉に惑わされていたけど、目の前の3人だって普通の女の子だ。あたしよりもずっと前から、かわいいを作る努力をして来たんだろうな。
そんな2人にまで、理人先輩のおかげでかわいいって言ってもらえている。
『ここから先は、ニコちゃん次第』
ああ、そっか。
今なら理人先輩の言葉の意味がわかるかも知れない。あたしが変わらなきゃ、なにも変わらない。劇的な変化なんて望んでいないけれど、前髪を数センチ切っただけで今まで話すことのなかった人たちと話せるようになった。おしゃれなんて気にもしていなかったけど、ちゃんとかわいいを知って楽しいことをすると、心の底から楽しめるんだってこと。
あたしは、まだその殻を破りきれていない気がする。
12月の椿くん感謝デーは、クリスマスの25日。
さすがに、その日に椿くんに直接感謝は言えないかもしれないけど、でも、勇気を出して言えるように努力してみようかな。
「椿くんにクリスマス、誘われるといいね」
「え!?」
一条さんがにっこり微笑む。
そして、3人は次の話題へ移ってしまった。
だから、「あたしが椿くんに誘われるわけがない」って反論は、出来ずにお昼休みは終わった。
私の机の周りの机をくっつけて、お弁当を広げて当たり前のように会話が始まる。
一条さんと仲のいい、可愛らしくてお人形みたいな来栖さんとクールで美人モデルみたいな金原さん。あたしとはなんの接点もないのに、不思議とも思わずに一条さんと一緒にやってくるから、こちらもよくわからない状況になっている。
「クリスマスはどうするの?」
12月に入ったから、やはり話題に上がるのはイベント事。3人とも素敵な彼氏がいるらしいのは、話を聞いていると分かる。もちろん一条さんの彼氏は理人先輩だって知っているけど、2人のことは何も知らない。
「もちろん、クリスマスは彼氏と2人で過ごすに決まってるよねー」
来栖さんが楽しそうにはしゃいで言う。それは、あたしも同感だとは思っている。
まぁ、あたしの場合は彼氏ではなく、推しぬいのツバくんと。になるけれど。
椿くん推しになってからの、初めてのクリスマス。太陽堂でキラキラのクリスマスカラーのベロア生地に、この前から目をつけていた。値段はちょっとお高いけれど、その生地にキラキラのスパンコールを縫い付けて、王子様アイドルみたいな衣装を着せようと企てている。もう絶対似合うに決まっている。
「えー、ニコりんも予定ありなのー!?」
チラリとこちらを見た来栖さんが、大きな瞳をさらに大きく見開いて、乗り出す勢いであたしに向かってくる。
「えっ……」
いや、なんでそう思うの? あたしは何の予定もないのに。
慌てて視線を外したけど、今度は金原さんが話に割り込んでくる。
「えー! まさか椿くんと!?」
「にやついちゃってぇー!」
はぁ!?
反論したい気持ちをグッと飲み込んで、あたしは首を横に振るしかない。
そんなわけがない。なんでそこで椿くんの名前が出てくるのか。
2人は彼氏がいてもなお、椿くんのファンらしい。だから、あたしみたいなのが椿くんのダブルデートの相手に選ばれたことをいまだに恨んでいたりするのかもしれない。ニヤついたりしてごめんなさい。
「あの椿くんに気に入られるってすごいよねぇ、ニコりんって」
「マジでそう! ってか、メイクしないで、髪型少し変えただけで可愛くなれるとか反則。こっちは髪型もスタイルもメイクも必死こいてんのにさ。全部手放したらマジフラれるからね。こわっ」
「何言ってんのー、アンもまぁりんもどんな時でもかわいいってば!」
一条さんが2人のことをよしよしと慰めながら励ましている。
あたしだってそう思う。学校で見る2人のことしか分からないけれど、いつ見てもかわいいし、制服も皺なくキレイに自分に似合うように着こなしている。メイクは少し派手かなって思う日もあるけれど、テストの時とか真面目な授業の時にはナチュラルにしている気もするし、毎日同じじゃないから、見ていても楽しい。
「まぁ、メイクも正直まだまだ勉強中だしねー。デートの時は張り切り過ぎてめっちゃ濃くなったりして逆にかわいくないよね」
「ねー! めっちゃわかるー!」
来栖さんも金原さんも、もとからかわいいわけじゃないんだ。ちゃんと、自分を可愛く見せるために努力している。
理人先輩が言っていたな。
『かわいいはね、作れるんだよ』
なるべくしてなるわけじゃないんだ。一軍女子なんて言葉に惑わされていたけど、目の前の3人だって普通の女の子だ。あたしよりもずっと前から、かわいいを作る努力をして来たんだろうな。
そんな2人にまで、理人先輩のおかげでかわいいって言ってもらえている。
『ここから先は、ニコちゃん次第』
ああ、そっか。
今なら理人先輩の言葉の意味がわかるかも知れない。あたしが変わらなきゃ、なにも変わらない。劇的な変化なんて望んでいないけれど、前髪を数センチ切っただけで今まで話すことのなかった人たちと話せるようになった。おしゃれなんて気にもしていなかったけど、ちゃんとかわいいを知って楽しいことをすると、心の底から楽しめるんだってこと。
あたしは、まだその殻を破りきれていない気がする。
12月の椿くん感謝デーは、クリスマスの25日。
さすがに、その日に椿くんに直接感謝は言えないかもしれないけど、でも、勇気を出して言えるように努力してみようかな。
「椿くんにクリスマス、誘われるといいね」
「え!?」
一条さんがにっこり微笑む。
そして、3人は次の話題へ移ってしまった。
だから、「あたしが椿くんに誘われるわけがない」って反論は、出来ずにお昼休みは終わった。
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