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5 12月25日
おまかせします。
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ヘアーサロンまりあに着くと、今日は定休日らしく入口にはクローズの看板がある。それでも、一条さんは入口ドアに手をかけると、いつも通りに開いた。
「リヒに、開いてるからって言われていたの」
自分だけが知っている特別感に、一条さんは嬉しそうに微笑む。なんだかそんな姿がかわいく見える。
中に入ると、必要最小限の照明と暖房が効いていてあたたかい。
「いらっしゃい、ユリカ、ニコちゃん」
すぐに理人先輩がお店に入ってくる。気合が入っているのか、デニムにシャツを着て、腕をまくっている。
「ユリカは隣の椅子で見守っていてね」
「うん、楽しみーっ」
あたしを手前の椅子に誘導してから、理人先輩は一条さんにも隣の椅子を示して笑った。
そして、鏡の中のあたしにも理人先輩が微笑む。
「なにか希望はある?」
優しく聞かれて、あたしはすぐに首を横に振った。
「おまかせします。たぶん、あたしよりも理人先輩や一条さんの方が似合わせ方を分かっていると思うので」
「わぁ、信頼されてるぅ~」
パッと顔を明るくして、理人先輩が大袈裟なくらいに喜ぶ。
「最初の頃はあんなに不審がってたのに、まさかおまかせします。なんて言葉が聞けるなんて思わなかったよ俺。めっちゃ感動。泣きそう」
鏡越しでも分かるくらいに本当に目元が潤み出すから、あたしは驚いてしまう。
「もう。リヒ最近涙腺緩くない? 歳?」
「もうさ、なんか赤ちゃんだった娘が一人前になる瞬間を見てるくらいの大感動なんだけど」
「やば。それ、マジでやばいから。リヒおじさんじゃん!」
あははと笑い出す一条さんに、理人先輩がなに!? と怒るけど、本気じゃなくて優しいからなんだか微笑ましい。
「とにかく、俺の手でニコちゃんの見た目は変えてあげるよ。何度もいうけど、中身はニコちゃん次第。俺とユリカは椿にめちゃくちゃ推してるから!」
グッと親指を上げて言い切った理人先輩は満足げな顔をして鏡の中に映っている。
え? 椿くんに推してる? 理人先輩と一条さんが? え?
頭の中が理解に追いつかない。
「あー! ダメでしょリヒってば! 核心つかないで! あたしまで巻き込み事故ってんだけどー! 信じらんない」
椅子から立ち上がって、一条さんが怒っている。
「なにそんな怒んなよ」
「決定的なとこは本人同士が決めるの! もうあと一歩まで頑張ってるんだから邪魔しちゃダメだよリヒ! そういうとこもおじさんじゃん!」
本気で怒っているように見える一条さんに、あたしは慌てて立ち上がった。
「あ、あのっ、あたしのせいで喧嘩しないでくださいっ」
いや、今の台詞はなんか違う気がする……悲劇のヒロインじゃないんだあたしは。言ってから後悔してしまう。
「ニコりん、ごめんね。なんでそんなかわいいこと言えちゃうの? かわいすぎて嫉妬しちゃう」
「あははっ、マジだよな。俺も言ってみたい! 俺のせいで喧嘩しないで!?」
あたしの真似をするみたいに理人先輩が両手を広げて必死な顔であたしと一条さんを見るから、途端に恥ずかしくなってしまう。
顔がカッと熱くなって、あたしは無言のまま椅子に座り直した。
「ごめんね、ニコちゃん。ちょっとふざけすぎちゃったね。でも、ニコちゃんが俺たちのこと頼ってくれてるのが嬉しいからつい。ここからは、真面目にいこうか」
そっとあたしの髪に触れて、理人先輩は真剣な瞳で鋏を動かし始めた。
「リヒに、開いてるからって言われていたの」
自分だけが知っている特別感に、一条さんは嬉しそうに微笑む。なんだかそんな姿がかわいく見える。
中に入ると、必要最小限の照明と暖房が効いていてあたたかい。
「いらっしゃい、ユリカ、ニコちゃん」
すぐに理人先輩がお店に入ってくる。気合が入っているのか、デニムにシャツを着て、腕をまくっている。
「ユリカは隣の椅子で見守っていてね」
「うん、楽しみーっ」
あたしを手前の椅子に誘導してから、理人先輩は一条さんにも隣の椅子を示して笑った。
そして、鏡の中のあたしにも理人先輩が微笑む。
「なにか希望はある?」
優しく聞かれて、あたしはすぐに首を横に振った。
「おまかせします。たぶん、あたしよりも理人先輩や一条さんの方が似合わせ方を分かっていると思うので」
「わぁ、信頼されてるぅ~」
パッと顔を明るくして、理人先輩が大袈裟なくらいに喜ぶ。
「最初の頃はあんなに不審がってたのに、まさかおまかせします。なんて言葉が聞けるなんて思わなかったよ俺。めっちゃ感動。泣きそう」
鏡越しでも分かるくらいに本当に目元が潤み出すから、あたしは驚いてしまう。
「もう。リヒ最近涙腺緩くない? 歳?」
「もうさ、なんか赤ちゃんだった娘が一人前になる瞬間を見てるくらいの大感動なんだけど」
「やば。それ、マジでやばいから。リヒおじさんじゃん!」
あははと笑い出す一条さんに、理人先輩がなに!? と怒るけど、本気じゃなくて優しいからなんだか微笑ましい。
「とにかく、俺の手でニコちゃんの見た目は変えてあげるよ。何度もいうけど、中身はニコちゃん次第。俺とユリカは椿にめちゃくちゃ推してるから!」
グッと親指を上げて言い切った理人先輩は満足げな顔をして鏡の中に映っている。
え? 椿くんに推してる? 理人先輩と一条さんが? え?
頭の中が理解に追いつかない。
「あー! ダメでしょリヒってば! 核心つかないで! あたしまで巻き込み事故ってんだけどー! 信じらんない」
椅子から立ち上がって、一条さんが怒っている。
「なにそんな怒んなよ」
「決定的なとこは本人同士が決めるの! もうあと一歩まで頑張ってるんだから邪魔しちゃダメだよリヒ! そういうとこもおじさんじゃん!」
本気で怒っているように見える一条さんに、あたしは慌てて立ち上がった。
「あ、あのっ、あたしのせいで喧嘩しないでくださいっ」
いや、今の台詞はなんか違う気がする……悲劇のヒロインじゃないんだあたしは。言ってから後悔してしまう。
「ニコりん、ごめんね。なんでそんなかわいいこと言えちゃうの? かわいすぎて嫉妬しちゃう」
「あははっ、マジだよな。俺も言ってみたい! 俺のせいで喧嘩しないで!?」
あたしの真似をするみたいに理人先輩が両手を広げて必死な顔であたしと一条さんを見るから、途端に恥ずかしくなってしまう。
顔がカッと熱くなって、あたしは無言のまま椅子に座り直した。
「ごめんね、ニコちゃん。ちょっとふざけすぎちゃったね。でも、ニコちゃんが俺たちのこと頼ってくれてるのが嬉しいからつい。ここからは、真面目にいこうか」
そっとあたしの髪に触れて、理人先輩は真剣な瞳で鋏を動かし始めた。
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