毎月25日は椿くん感謝デー

佐々森りろ

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5 12月25日

クリスマスプレゼント

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 そして12月25日。クリスマス当日。

「え、ニコ。それはかわいすぎじゃないか?」

 出かける準備を整えてリビングに降りていくと、父が驚いた顔で動きを止めた。

「えー! かわいいニコちゃんっ」

 母は近くにきて服装もメイクも褒めてくれるから、嬉しくなる。

「楽しんできてね」
「遅くならないように帰ってくるんだよ」
「うん、わかった。行ってきます」

 玄関まで見送ってくれて、あたしは外に出た。ホワイトクリスマスを期待したけれど、今日はとてもいい天気だ。青い空にきらめく太陽を見上げて目を細める。吐き出した息が白く昇っていく。吸い込んだ空気はひんやりしている。首元に巻いたマフラーを口元まで上げて、あたしは歩き出した。
 待ち合わせは学校。いつもの場所が特別に感じる。
 辿り着くと、校庭を走る人影を見つけた。今日は部活動はない日だったけど。そう思いながら近づいていくと、すぐに走っているのが誰か分かった。

 椿くん?

 綺麗なフォームはいつも眺めていたから、ぴったり当てはまってすぐにわかってしまう。
 走り切った椿くんは、ゆっくり立ち止まって空を見上げている。
 ずっと、その姿を見つめていたい。そんな風に思ったけど、それじゃあ今までのあたしとおんなじだ。一歩、踏み出さなければ。
 心を決めて、あたしは椿くんの方に足を進めた。

「椿、くん」

 声をかけるのにも、勇気がいる。
 目を閉じたまま立ち尽くしている椿くんの名前をそっと呼んでみた。

「はっ!? あ、如月さん!?」

 肩をビクッと震わせてから、椿くんがこちらに振り返った。
 そんなに驚くと思わなかったから、あたしまで驚く。「ごめんなさい」と困ってしまうと、すぐに椿くんはあたしの目の前に近づいてきてくれた。

「来てくれてありがとう!」

 驚いた顔もだけど、満面のその笑顔も、あたしには初めてみる表情で、ドキドキと胸が高鳴っていく。

「来なかったらどうしようって、いてもたってもいられなくて、走ってた」

 あははと笑いながら照れている椿くんが、全部全部、尊いのだけれど!
 来なかったら。なんて考えていたなんて。なんか、あたしが思っているよりもあたしのことを考えてくれているんじゃないかと、恥ずかしくなる。

「如月さん」
「は、はいっ!?」
「あ……」

 驚いてつい大きな声で返事をしてしまった。そんなあたしに驚いたかと思うと、椿くんはふっと目を細めて微笑んだ。

「今日は、俺の誘いにのってくれてありがとう。俺、なんでもいいから如月さんのこと知りたくて、理人先輩に如月さんは手先が器用だって聞いたんだ。で、実は俺もけっこう器用でさ、張り合うわけじゃないんだけど……」

 たくさん話してくれる椿くんにあたしは圧倒されてしまう。
 そして、階段に置いていた荷物を取りに行った椿くんは、すぐに小さな紙袋を手に持って戻ってきた。

「これ、クリスマスプレゼント……受け取ってくれると嬉しい、です」

 照れながら差し出してくれるから、あたしは椿くんのことをじっと見て動けなくなってしまう。
 どうしよう。椿くんがあたしにクリスマスプレゼント!?
 自分の準備ばかりに気を取られて、プレゼントを用意してくれているなんて、そんな嬉しい展開考えていなかった。

「あ、あたし。何もプレゼント用意してなくて……」

 ごめんなさいと俯いたあたしに、椿くんが近づく。

「いいんだよ。如月さんはきてくれただけで俺にとってはプレゼントだから」

 差し出された手から視線を上げていくと、微笑む椿くんの顔。
 もうその笑顔だけでもあたしにとってプレゼントなのですが。それに、推しの好意を無駄には出来ないから、喜んで受け取らせていただきます!

「あっ、ありがとうございますっ」

 椿くんの手に触れないように、そっと慎重にプレゼントを受け取る。
 開きかけている中身が少し見えて、あたしは息を呑んだ。

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