VRMMOの世界で薬屋を開いたレベル1の薬師

永遠ノ宮

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次の日にお店を建てた

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「薬師なら……薬屋開こうよ!」
「薬局的なやつですか?」
「そうそう! リミアちゃんと私達で薬剤師したら多分儲かるよ? 色々と体張るけどね!」
「「稼ぐというか──それ違う!」」

 昨日にこの今私のいるVRMMORPG【ディーヴェルクオンライン】をやり始め、カリーシェさんとルルさんに出会った。
 そして今日、フレンドになってくれた二人と私の三人でお店を始めようとしている。

「とりあえず資金は100万ロト。なら私は全額出すから──ルルは内装代全額いける?」
「余裕余裕!」
「じゃあリミアちゃんが機材や家具お願いできる? ログインボーナスで20万ロト入ってると思うから!」

 ロト……ディーヴェルクオンライン内での仮想通貨。
 日本円で1ロト=1.8円。
 そして、カリーシェさんとルルさんは私の為にお店の資金援助をしてくれた。

「とりあえず運営にはロトをしっかりとタブレットで払ったから待つのみだね! 5分位でできる話を──」
「私! 今日たまたま学内でリミアちゃんに似た人見た!」
「そう言えば見た見た! リミアちゃんってどこ大!?」
「早稲田大学です! て、言ってもそれだけなんですけどね?」
「「同じ大学だったやっぱり──!」」

 そう、カリーシェさんとルルさんは同じ19歳で、毎日一緒にいるカレカノに近い存在らしく……たまたま学内のファミレスやコンビニで見かけたから気になっていたらしい。
 ゲーム内で大学の先輩と知り合う……ネットが年々恐ろしさを増している気がしてきた。

「本当にまんまだったからビックリだったよ!」
「本当その通りだよ!」
「明日にでも学内で喋りたいです! ──ルルさんって学内で有名な……幼女戦姫ですか?」
 
 体育全般最強で、大学では珍しい体育祭ではどの競技においても最強のちびっ子天才生と呼ばれる幼女戦姫。
 キャラクター容姿が幼女だから気になってしまって聞いたけど、もしそうだったら私は凄い人達と関わっていることになる。

「そうそう! 私が戦姫!」
「コイツ凄いんだよ!? この間チア部が全国行ったじゃん!? あれ助っ人で入って練習無しで完璧に踊りきってきててさ!」
「凄いです! 尊敬します本当に! ──お店できてますね」

 家やお店などの建造物が建つのにかかる時間は5分。
 建物のアップグレードは、する度に時間が増えていくから、ある程度の冒険で時間を潰せるようになってからじゃないとお店のアップグレードはできないから不便だと思う最近のゲーム。

「じゃあ内装を僕がお金払っておいたからいい感じだね!」
「素敵です! 海外旅行で雑貨屋さんに入った気分です!」
「これはいい雰囲気で好きだよ私も!」

 ロンドンなんかに行くとありそうな雑貨屋さんに似ているとても落ち着く素敵な内装。
 ゲルニカの木をワックスでむらなくコーティングされた木材の匂いがなんとも言えなくいい匂いで気に入った。
 ルルさんのセンスは凄いものを感じる。

「じゃあ家具は全部空間転送で送り届けて貰ってあるので置いていきますね。薬師って……他のゲームでは見ない職業ですよね?」
「それ思った思った! 見たことないから私もどんなか思ってて」
「なら試してみよう!? ここに薬師がいるからポーション術を目にしておこうよ!」
「じゃあ秘薬を作ってもらうとしよう! アムルバの角と鷹の爪に……マグル草をはい、リミアちゃん生成生成!」

 確かに、薬師になったのに昨日も特に何もせずに終わっていたから生成してみよう。
 秘薬だから、一定時間能力を全般上げる粉だったはず。
 MHとかでもそんな感じだったけど──いざ自分でとなると失敗の危険が……。

「じゃあさっそく──」
「その前に! 爆発してもいいように魔法で内から防衛をしておくね!」
「やめたほうが良くないですかそれ!?」
「大丈夫大丈夫! 僕の言うとおりにして?」


 『生産の手順』

 準備する物

 ビーカー×1 フラスコ×1 すり鉢×1 ニードルスピア×1


 手順1

 ビーカーにお湯を入れ、鷹の爪から辛子を抽出する。
 抽出した辛汁をすり鉢に移す。

 手順2

 マグル草を水の入ったフラスコに漬けて沸騰するまで待つ。
 沸騰したお湯とマグル草をすり鉢へ。

 手順3
 
 ニードルスピアで粉にしたアムルバ角粉をすり鉢に入れてニードルスピアの刃を回転させながら混ぜる。


「さぁ、最終だよ! ポーション術を唱えて!」
「我は薬を操る者! 魔力の全てをここに結集させて秘薬のポーションへと変えたまえ! ポーションジェネレーションポーション生成!」

 ボフンッ……と煙を上げて、すり鉢内のドス黒かった液体が透明な炭酸水の様な液体へと変わった。
 初めての生成で、成功した。
 嬉しいけど……結構な疲労を伴う作業だった。 
 魔力が全くないのが原因なのは分かっているけど、レベルが上がらなければ魔力は増えない。
 ──レベル1固定スキル……侮れない。

「成功だよ! これで頑張れば明後日にはお店開業だよ!?」
「一発で成功とは……やっぱりステータス凄いね!」
「やり方間違えてたらどうなってたんですか?」
「「ドカーン!」」

 ──ちゃんと成功してくれて良かったと……思わず胸を撫で下ろしてしまった。
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