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緊急──チーターとの大戦(カチーシェ視点)3
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その笑みは何とも言えず不吉だった。
クレオパトラは、防御しない──なのに、何故笑っているのか私には理解ができない。
「──妾の心臓は、全て破壊することなどできはしない!!」
「……そ、そんなの分からない──」
──ガキンッ!! ヒュルルルル……グサッ。
私のミョルニルハンマーは、ピラミッドに弾かれ砂に突き刺さる。
一度は届いたミョルニルハンマーが、撃ち落とされた。
いや、撃ち落とされたというよりは防がれた。
私が顔しかめると、クレオパトラは両手を翼のように広げる。
「馬鹿よのう! 先は少し甘く見ていただけや。一度あることは二度あるなど言うけど、そないなことはない。一度あったことは二度ないんや。それが妾だ!」
「まさか……自分の防御を捨ててピラミッドに回したっていうの!?」
「その通りや。ただ、妾を直接攻撃してもピラミッドが心臓な訳やでな! アッハハハハッ!!」
クレオパトラにまた笑われ、私は苛立ちを覚え駆け出す。
ふざけるなふざけるなふざけるな──!
防御を戦場(フィールド)に移すなんてこと、あってはならない。
チーターだからできるなど、それはゲームバランスに反する。
ここで私が負けることにより、鼎の命が……。
私の生命なんて関係ない。
だが、だけど──鼎のだけは!!
「──クレオパトラアアアア!!」
「感情に判断能力を持っていかれたようやな! 日本人は頭にきやすいからやりやすいわっ!」
ミョルニルハンマーを拾い、棒高跳びの要領でクレオパトラの前まで飛ぶ。
クレオパトラの目前に迫り、ミョルニルハンマーを大きく振り上げる。
「──怒りの鉄槌!!」
「──死者の箱舟!!」
「これで終わりよお!」
「何をゆかすお前は……。終わるのは、お前や!」
振り上げたミョルニルハンマーが、淡い蒼色のオーラを放ってクレオパトラの顔へと振り下ろされる。
私の全力を持って振り下ろしたミョルニルハンマーは、当たれば確実に防御のできていないクレオパトラとスフィンクスは下敷きよりも薄くなるはずだ。
しかし──どうだろうか?
私のミョルニルハンマーが……幻でも何でもない、事実として粉々に壊れてしまった。
まさか……そんな、ことが!?
「死にいった者共の魂よ。ここに集結し彼女を冥土へと誘うが良い…………死ね、カチーシェ」
「……うそ…………。うそよお!!」
ミョルニルハンマーが粉砕されたことよりも、更に衝撃的な事態が私を襲う。
無数の死者の魂が、砂を掻き集め大きくなり、巨大なゴーレムへと変化した。
──そして、私を地面に叩き落とす。
砂とはいえど、柔らかいとは言えど、背中に激痛が走ると同時に心臓が一瞬止まった。
猛烈な吐き気と全身の痺れに悶えてしまう。
「……愚かや。本当に」
「……っ!」
「声も出やんみたいやな。ほな、最後の一撃を刺してやるわ」
「…………」
死の覚悟──
クレオパトラは杖を生成し、そして私の心臓に目掛けて突き刺す。
「…………なっ!」
「この手は、誰や!?」
目を開けると、まだ私は死んでいなかった。
そして、クレオパトラの手首を掴む男が背後に一人いつの間にか立っていた。
「──クレオパトラ、ようやく見つけた。俺が誰だが分かるか?」
「だ、誰や……知らへん顔や」
「俺の名前はギルガメッシュ。エジプトリアエリアを治める皇帝──太陽神の化身にして黄金時代の英雄だ」
その男は自らをギルガメッシュと名乗る。
金髪の髪、端正に整った顔立ちと、腰から下のみを纏うローブ。
そしてホルス神の杖を右手に持っている。
エジプトリアエリアを治めるギルガメッシュで間違いないが、しかし──彼はNPC。
感情を持たず、プログラムされた一定の動きのみ行えるはずなのに……。
─何故! 何故居るんだギルガメッシュ!!
「ギルガメッシュ……そないな名前聞いたことあらへん」
「そうか。それは少しばかり残念だクレオパトラ。第18代目王朝ファラオ。いや、覇王」
「……なんや妾の名前知っているようやけど、とりあえずこの手離したほうが見のためやで?」
「それはこちらのセリフだ。健全たるプレイヤーに悪行のチーターが危害を加えていならば、完全自立型人工知能である俺が、黙っているとでも思うのか?」
ギルガメッシュは手に力を入れると、クレオパトラを軽々と後ろへ投げ飛ばした。
そして私の前に立つと、ギルガメッシュは杖を空のピラミッドに向ける。
「心臓など、幾つあろうと俺にとって一つに過ぎない。対チーター用抹殺キャラとしても作られた俺だ。クレオパトラ、お前を追放する」
「できるものなら、してみたら良い! できへんで!?」
「黄金の一閃……ゆけ! フェニックス!!」
ギルガメッシュの放った一撃は、金金ありとあらゆるものが集合しフェニックスとなってピラミッドへ飛んでいく。
そして──
フェニックスは幾つもあるピラミッドを全て……破壊した。
「ば、馬鹿なあ……馬鹿なあ!!」
「クレオパトラ。俺を甘く見たな? NPCであろうと、完全自立型である俺は強さも全て自由に変えられる。さきのピラミッドに張った防御の数値すら見える。しかし所詮チーターに、俺の攻撃による数値までは見えない。今、俺の名を持って命ずる──……クレオパトラ、お前追放する!!」
ギルガメッシュがそう言い放つと、クレオパトラは奇声を放ちながらスフィンクス諸共砂となって消えた。
そして戦場も消え、元の──ゲーム世界へと私は帰ってきたのだった。
でも……私は! この手で! 勝てなかった!!
クレオパトラは、防御しない──なのに、何故笑っているのか私には理解ができない。
「──妾の心臓は、全て破壊することなどできはしない!!」
「……そ、そんなの分からない──」
──ガキンッ!! ヒュルルルル……グサッ。
私のミョルニルハンマーは、ピラミッドに弾かれ砂に突き刺さる。
一度は届いたミョルニルハンマーが、撃ち落とされた。
いや、撃ち落とされたというよりは防がれた。
私が顔しかめると、クレオパトラは両手を翼のように広げる。
「馬鹿よのう! 先は少し甘く見ていただけや。一度あることは二度あるなど言うけど、そないなことはない。一度あったことは二度ないんや。それが妾だ!」
「まさか……自分の防御を捨ててピラミッドに回したっていうの!?」
「その通りや。ただ、妾を直接攻撃してもピラミッドが心臓な訳やでな! アッハハハハッ!!」
クレオパトラにまた笑われ、私は苛立ちを覚え駆け出す。
ふざけるなふざけるなふざけるな──!
防御を戦場(フィールド)に移すなんてこと、あってはならない。
チーターだからできるなど、それはゲームバランスに反する。
ここで私が負けることにより、鼎の命が……。
私の生命なんて関係ない。
だが、だけど──鼎のだけは!!
「──クレオパトラアアアア!!」
「感情に判断能力を持っていかれたようやな! 日本人は頭にきやすいからやりやすいわっ!」
ミョルニルハンマーを拾い、棒高跳びの要領でクレオパトラの前まで飛ぶ。
クレオパトラの目前に迫り、ミョルニルハンマーを大きく振り上げる。
「──怒りの鉄槌!!」
「──死者の箱舟!!」
「これで終わりよお!」
「何をゆかすお前は……。終わるのは、お前や!」
振り上げたミョルニルハンマーが、淡い蒼色のオーラを放ってクレオパトラの顔へと振り下ろされる。
私の全力を持って振り下ろしたミョルニルハンマーは、当たれば確実に防御のできていないクレオパトラとスフィンクスは下敷きよりも薄くなるはずだ。
しかし──どうだろうか?
私のミョルニルハンマーが……幻でも何でもない、事実として粉々に壊れてしまった。
まさか……そんな、ことが!?
「死にいった者共の魂よ。ここに集結し彼女を冥土へと誘うが良い…………死ね、カチーシェ」
「……うそ…………。うそよお!!」
ミョルニルハンマーが粉砕されたことよりも、更に衝撃的な事態が私を襲う。
無数の死者の魂が、砂を掻き集め大きくなり、巨大なゴーレムへと変化した。
──そして、私を地面に叩き落とす。
砂とはいえど、柔らかいとは言えど、背中に激痛が走ると同時に心臓が一瞬止まった。
猛烈な吐き気と全身の痺れに悶えてしまう。
「……愚かや。本当に」
「……っ!」
「声も出やんみたいやな。ほな、最後の一撃を刺してやるわ」
「…………」
死の覚悟──
クレオパトラは杖を生成し、そして私の心臓に目掛けて突き刺す。
「…………なっ!」
「この手は、誰や!?」
目を開けると、まだ私は死んでいなかった。
そして、クレオパトラの手首を掴む男が背後に一人いつの間にか立っていた。
「──クレオパトラ、ようやく見つけた。俺が誰だが分かるか?」
「だ、誰や……知らへん顔や」
「俺の名前はギルガメッシュ。エジプトリアエリアを治める皇帝──太陽神の化身にして黄金時代の英雄だ」
その男は自らをギルガメッシュと名乗る。
金髪の髪、端正に整った顔立ちと、腰から下のみを纏うローブ。
そしてホルス神の杖を右手に持っている。
エジプトリアエリアを治めるギルガメッシュで間違いないが、しかし──彼はNPC。
感情を持たず、プログラムされた一定の動きのみ行えるはずなのに……。
─何故! 何故居るんだギルガメッシュ!!
「ギルガメッシュ……そないな名前聞いたことあらへん」
「そうか。それは少しばかり残念だクレオパトラ。第18代目王朝ファラオ。いや、覇王」
「……なんや妾の名前知っているようやけど、とりあえずこの手離したほうが見のためやで?」
「それはこちらのセリフだ。健全たるプレイヤーに悪行のチーターが危害を加えていならば、完全自立型人工知能である俺が、黙っているとでも思うのか?」
ギルガメッシュは手に力を入れると、クレオパトラを軽々と後ろへ投げ飛ばした。
そして私の前に立つと、ギルガメッシュは杖を空のピラミッドに向ける。
「心臓など、幾つあろうと俺にとって一つに過ぎない。対チーター用抹殺キャラとしても作られた俺だ。クレオパトラ、お前を追放する」
「できるものなら、してみたら良い! できへんで!?」
「黄金の一閃……ゆけ! フェニックス!!」
ギルガメッシュの放った一撃は、金金ありとあらゆるものが集合しフェニックスとなってピラミッドへ飛んでいく。
そして──
フェニックスは幾つもあるピラミッドを全て……破壊した。
「ば、馬鹿なあ……馬鹿なあ!!」
「クレオパトラ。俺を甘く見たな? NPCであろうと、完全自立型である俺は強さも全て自由に変えられる。さきのピラミッドに張った防御の数値すら見える。しかし所詮チーターに、俺の攻撃による数値までは見えない。今、俺の名を持って命ずる──……クレオパトラ、お前追放する!!」
ギルガメッシュがそう言い放つと、クレオパトラは奇声を放ちながらスフィンクス諸共砂となって消えた。
そして戦場も消え、元の──ゲーム世界へと私は帰ってきたのだった。
でも……私は! この手で! 勝てなかった!!
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