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番外編ss
誓いのピアス⑥
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ただ直接触れたくて、一番近くに感じたくて、だから言っただけなのに、苦しめてしまった。そのことに罪悪感が湧く。
しかしそれよりも、寂しい、と思った。
意味がない?少なくともそれは違う。
彼の雄が欲しくてたまらなくて、身体からはだらだらと蜜が止まらない。全身が疼いてたまらなくて、でも、その言葉はちゃんと、否定しなければいけないと思った。
「意味がないって、それはひどい。」
しっかりと目を見合わせて、きっぱりと言い切る。少なくとも、この行為に意味がないなんて、そんなわけがないから。
アランは黙って俯いた。その頬に手を添えて。
「生産性がなくても愛を感じることができるし、
…それに、子孫を残すという多くの人が持つ目的を差し置いて一緒にいたいと思えるなら、その繋がりはなによりも深いでしょう…?
俺はアランさんを直接感じたい。」
彼は自分のことを卑下するけれど、人として、俺が誰よりも一緒にいたいと思える存在だ。この行為が、少なくとも俺たちにとって意味があるものだとわかって欲しい。
顔を上げた彼は静かに笑って、俺のことを抱きしめた。
ふわり、甘い香りがする。長い指でうなじを緩やかにこすられ、そこから甘美な刺激が走って。
「…アルはいつも、欲しい言葉以上のものをくれる。」
耳元で低い声が囁いた。その美声に、思わずびくりとしてしまう。
「思ったことを言っただけ。」
「ならそれがほしい言葉だ。
…アル。」
彼の声がすがるような色を帯びた。
「うん。いいよ、早く。」
そう答えて。
彼を迎え入れるために足を大きく開く。恥ずかしいだとかそういう気持ちは、今だけは心の奥底にしまって。
「ぁっ… 」
ずるり、彼の大きな質量が中に入って、俺の胎内を熱で満たした。求めて止まなかった久しぶりの快楽に、歓喜に震えた後孔が、ひくりと一回収縮する。
ヒート中以外の彼の行為は、どこまでも優しい。俺の気持ちいいところを探して、それに寄り添うように侵してくる。
先端の段差で前立腺を擦って、そこから一気に挿入して、奥を穿って。
一回ですら達しそうになってしまうその快楽を、幾度となく与えられればすぐに達してしまいそうになる。
「あっ…、あぁっ…、んっ…!!」
快楽の並みの予兆、奥に熱が集まりかけたと同時に、彼の腰の動きが加速した。
そのまま引き抜くのをやめ、奥をグリグリと刺激されて。
規則的な律動は、いつも決まって俺が達しそうになる瞬間に決まって早くなる。それはきっと、彼のその聡明で美しい青い瞳が、行為の最中俺だけをしっかり見据えているからだろう。
…けれど。
「アランさん、も、気持ち…い…?」
出した言葉は声にならなくて、途切れ途切れの吐息として漏れた。不安になってしまう。彼が俺ばかりに気を使うから。
「もちろん。…アルの中は気持ちよくて、いつでも達しそうになる。」
俺が達してしまわぬように、一時的に彼が動きを止めた。その熱が、わずかに中で脈打って。
そのまま抱きしめられ、熱く口付けられる。
緩く閉じた俺の唇を彼の舌がこじ開けて、その舌に口内を侵された。
「ふぅっ…、ぁっ… 」
うわ歯茎を撫でるように滑って、そのまま奥へ。なぞられたところ全てが敏感になり、声が漏れる。
舌先が喉の入り口に触れて。
…甘い甘い、彼の香り。口内がその香に満たされて、脳に痺れるような快楽が溢れる。
…息が苦しい。でも、彼から与えられる空気に溺れ、窒息するなら本望だ。そうとすら思わせてしまう。
その行為は激しい一方でひどく優しくて、苦しささえも官能の刺激に変えてしまうから。
頭が、ぼんやりする…。
「…綺麗だ。」
低い囁きとともに、彼の唇が離れていった。2人の間に、だらしなく唾液が銀の糸を引く。
開いた唇の隙間から、一心不乱に息を吸い込んだ。ぼやける視界に映るのは、俺の目をじっと覗き込む深海のような青い瞳。
そのままそっと、彼の唇が俺の瞼に降ろされて。
続いて降ってきた額への口づけを合図に、奥への刺激が再開される。
「…くっ…、出していいか…?」
自分の身体にもかかわらず、そこだけマグマの様に熱く感じた。
「…もっ…、早くっ…!!」
内部が彼の熱を欲している。一緒にイクことができたなら、どれ程の快感なのだろう。そんな考えが、脳裏をよぎって。
「くっ… 」
「ぁっ… 」
閉めた喉から漏れ出たような苦し紛れのアランの声とともに、際奥に愛欲が勢いよく放たれた。その熱で、俺の中も収縮を繰り返す。
互いのピアスがぶつかって、かちゃりと小さな音を立てた。誓いの音。なんとなく、そんな気がした。
快楽の狭間で、頭の中がより一層ぼんやりとしてきて。
「あとは俺がしておくから、ゆっくり休んで。」
その声を最後に、ぱったりと意識を手放した。
起きた俺が彼に対して自己評価が低すぎるとごねたことは、また別の話だ。
しかしそれよりも、寂しい、と思った。
意味がない?少なくともそれは違う。
彼の雄が欲しくてたまらなくて、身体からはだらだらと蜜が止まらない。全身が疼いてたまらなくて、でも、その言葉はちゃんと、否定しなければいけないと思った。
「意味がないって、それはひどい。」
しっかりと目を見合わせて、きっぱりと言い切る。少なくとも、この行為に意味がないなんて、そんなわけがないから。
アランは黙って俯いた。その頬に手を添えて。
「生産性がなくても愛を感じることができるし、
…それに、子孫を残すという多くの人が持つ目的を差し置いて一緒にいたいと思えるなら、その繋がりはなによりも深いでしょう…?
俺はアランさんを直接感じたい。」
彼は自分のことを卑下するけれど、人として、俺が誰よりも一緒にいたいと思える存在だ。この行為が、少なくとも俺たちにとって意味があるものだとわかって欲しい。
顔を上げた彼は静かに笑って、俺のことを抱きしめた。
ふわり、甘い香りがする。長い指でうなじを緩やかにこすられ、そこから甘美な刺激が走って。
「…アルはいつも、欲しい言葉以上のものをくれる。」
耳元で低い声が囁いた。その美声に、思わずびくりとしてしまう。
「思ったことを言っただけ。」
「ならそれがほしい言葉だ。
…アル。」
彼の声がすがるような色を帯びた。
「うん。いいよ、早く。」
そう答えて。
彼を迎え入れるために足を大きく開く。恥ずかしいだとかそういう気持ちは、今だけは心の奥底にしまって。
「ぁっ… 」
ずるり、彼の大きな質量が中に入って、俺の胎内を熱で満たした。求めて止まなかった久しぶりの快楽に、歓喜に震えた後孔が、ひくりと一回収縮する。
ヒート中以外の彼の行為は、どこまでも優しい。俺の気持ちいいところを探して、それに寄り添うように侵してくる。
先端の段差で前立腺を擦って、そこから一気に挿入して、奥を穿って。
一回ですら達しそうになってしまうその快楽を、幾度となく与えられればすぐに達してしまいそうになる。
「あっ…、あぁっ…、んっ…!!」
快楽の並みの予兆、奥に熱が集まりかけたと同時に、彼の腰の動きが加速した。
そのまま引き抜くのをやめ、奥をグリグリと刺激されて。
規則的な律動は、いつも決まって俺が達しそうになる瞬間に決まって早くなる。それはきっと、彼のその聡明で美しい青い瞳が、行為の最中俺だけをしっかり見据えているからだろう。
…けれど。
「アランさん、も、気持ち…い…?」
出した言葉は声にならなくて、途切れ途切れの吐息として漏れた。不安になってしまう。彼が俺ばかりに気を使うから。
「もちろん。…アルの中は気持ちよくて、いつでも達しそうになる。」
俺が達してしまわぬように、一時的に彼が動きを止めた。その熱が、わずかに中で脈打って。
そのまま抱きしめられ、熱く口付けられる。
緩く閉じた俺の唇を彼の舌がこじ開けて、その舌に口内を侵された。
「ふぅっ…、ぁっ… 」
うわ歯茎を撫でるように滑って、そのまま奥へ。なぞられたところ全てが敏感になり、声が漏れる。
舌先が喉の入り口に触れて。
…甘い甘い、彼の香り。口内がその香に満たされて、脳に痺れるような快楽が溢れる。
…息が苦しい。でも、彼から与えられる空気に溺れ、窒息するなら本望だ。そうとすら思わせてしまう。
その行為は激しい一方でひどく優しくて、苦しささえも官能の刺激に変えてしまうから。
頭が、ぼんやりする…。
「…綺麗だ。」
低い囁きとともに、彼の唇が離れていった。2人の間に、だらしなく唾液が銀の糸を引く。
開いた唇の隙間から、一心不乱に息を吸い込んだ。ぼやける視界に映るのは、俺の目をじっと覗き込む深海のような青い瞳。
そのままそっと、彼の唇が俺の瞼に降ろされて。
続いて降ってきた額への口づけを合図に、奥への刺激が再開される。
「…くっ…、出していいか…?」
自分の身体にもかかわらず、そこだけマグマの様に熱く感じた。
「…もっ…、早くっ…!!」
内部が彼の熱を欲している。一緒にイクことができたなら、どれ程の快感なのだろう。そんな考えが、脳裏をよぎって。
「くっ… 」
「ぁっ… 」
閉めた喉から漏れ出たような苦し紛れのアランの声とともに、際奥に愛欲が勢いよく放たれた。その熱で、俺の中も収縮を繰り返す。
互いのピアスがぶつかって、かちゃりと小さな音を立てた。誓いの音。なんとなく、そんな気がした。
快楽の狭間で、頭の中がより一層ぼんやりとしてきて。
「あとは俺がしておくから、ゆっくり休んで。」
その声を最後に、ぱったりと意識を手放した。
起きた俺が彼に対して自己評価が低すぎるとごねたことは、また別の話だ。
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