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手作りお菓子といとこ①
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“5時くらいに家に行って昨日言ってたレポートを見てあげる。”
そう葵から連絡が来たのは講義が終わり家で小説を読んで過ごしている時だった。
そういえば一昨日、葵に話をはぐらかすために英語のレポートが難関だと言ったが、実の所礼人はまだ手をつけていないからレポートの内容すら把握していない。
慌ててレポートの内容を確認すると、A4サイズの紙に英語で書かれた5ページの文章を読んで要約しろというものだった。
英語が苦手な礼人は内容の面倒臭さに思い切り顔をしかめる。
でも同時に、これなら難しいと言ったのも嘘にならないなと少し安心した。
5時くらいと言っていたのでそれまでに1時間ほど時間がある。
それでもこの課題に1人でこれ以上向き合う気にはなれない。
__クッキーでも焼こうかな…。
せめて教えてもらうお礼をしようと礼人はクッキーの材料を取り出した。
ボウルに小麦粉を振るい、別のボウルにはバターや砂糖、卵などを入れて一生懸命混ぜて…。
菓子を焼く甘い香りが部屋の中に充満した頃、玄関のチャイムが鳴った。
「あーや!」
インターホンを確認すると長いブロンドの髪を綺麗にツインテールにした葵が立っている。
「いらっしゃい。もうすぐクッキー焼けるよ。」
「嘘!焼き立てのクッキー大好き!お礼にレポート頑張って協力するねー!」
「うん、すごく助かる。」
ドアを開けるなり中に入ってきた葵はそのまま机の上のレポートを持ってソファーに身体を投げた。
ふわふわのワンピースの裾がふぁさりと舞い上がる。
男ばかりの礼人の学科とは違いお洒落な男女が揃う国際学科でも、葵はひと頭抜けて可愛いと言われているらしい。
「えっと…。確かにちょっと文章堅いねー。電子辞書ある?」
「リュックの中かな?」
「了解ー!」
紅茶とクッキーを準備してから葵の隣に座れば、葵は電子辞書と睨めっこしながら魔法のように綺麗に英文を読み解いてくれた。
そう葵から連絡が来たのは講義が終わり家で小説を読んで過ごしている時だった。
そういえば一昨日、葵に話をはぐらかすために英語のレポートが難関だと言ったが、実の所礼人はまだ手をつけていないからレポートの内容すら把握していない。
慌ててレポートの内容を確認すると、A4サイズの紙に英語で書かれた5ページの文章を読んで要約しろというものだった。
英語が苦手な礼人は内容の面倒臭さに思い切り顔をしかめる。
でも同時に、これなら難しいと言ったのも嘘にならないなと少し安心した。
5時くらいと言っていたのでそれまでに1時間ほど時間がある。
それでもこの課題に1人でこれ以上向き合う気にはなれない。
__クッキーでも焼こうかな…。
せめて教えてもらうお礼をしようと礼人はクッキーの材料を取り出した。
ボウルに小麦粉を振るい、別のボウルにはバターや砂糖、卵などを入れて一生懸命混ぜて…。
菓子を焼く甘い香りが部屋の中に充満した頃、玄関のチャイムが鳴った。
「あーや!」
インターホンを確認すると長いブロンドの髪を綺麗にツインテールにした葵が立っている。
「いらっしゃい。もうすぐクッキー焼けるよ。」
「嘘!焼き立てのクッキー大好き!お礼にレポート頑張って協力するねー!」
「うん、すごく助かる。」
ドアを開けるなり中に入ってきた葵はそのまま机の上のレポートを持ってソファーに身体を投げた。
ふわふわのワンピースの裾がふぁさりと舞い上がる。
男ばかりの礼人の学科とは違いお洒落な男女が揃う国際学科でも、葵はひと頭抜けて可愛いと言われているらしい。
「えっと…。確かにちょっと文章堅いねー。電子辞書ある?」
「リュックの中かな?」
「了解ー!」
紅茶とクッキーを準備してから葵の隣に座れば、葵は電子辞書と睨めっこしながら魔法のように綺麗に英文を読み解いてくれた。
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