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明日の君が笑顔なら⑦
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家では母親から虐待を受け、話すと殴られるから話さなくなってしまったこと、学校でもいじめられて話せなくなってしまったこと。
10年前からずっと、唯一礼人とだけ話すことができ、一緒にいる時間が楽しくてたまらなかったこと。
北瀬が本で読んだ知識を教えたとき、礼人が楽しそうに目を輝かせる姿に、恋愛感情を抱いたこと。
礼人に過去を思い出させたくなくて、2人以上の前では話せないと嘘をついたこと。
北瀬が今話した内容は、全て初めて聞いたことだった。
同時に、ここまでの想いを何年も抱え続けたのは、どれだけ苦しいことだったかと疑問に思う。
北瀬と別れてから、たった2週間でも礼人には地獄の日々だった。
それを、10年間も抱えていたのだから、想像を絶する苦しさだっただろう。
「過去のこと、全部僕が悪いのに…。」
話を聞いたあと口をついた第一声は、そんな素直な気持ちだった。
「俺が悪いです。君を傷つけた。」
すかさず北瀬が否定する。
「そんなことないです。僕が、家出しなければ…。」
「俺があの時流れ星の話をしなければ。」
「いえ、僕が……ふふっ、これ、堂々巡りですね。 」
自然と笑ってしまった。
別れた日々は辛かったけれど、全ての理由がわかると愛おしささえ込み上げてくる。
“ですね”、と北瀬もくすぐったそうに笑い、それからしばらく2人して笑っていた。
今までで1番、北瀬が幸せそうな表情で笑っている。そのことが礼人にはとても嬉しい。
「これからもずっと、俺とお付き合いしてくれますか?」
「はい。僕の方こそお願いします。」
「…これからは、あや、と呼んでもいいですか?」
「はい。敬語もやめてください。僕も莉杜さんって呼んでいいですか?」
「…うん。」
10年前からずっと、唯一礼人とだけ話すことができ、一緒にいる時間が楽しくてたまらなかったこと。
北瀬が本で読んだ知識を教えたとき、礼人が楽しそうに目を輝かせる姿に、恋愛感情を抱いたこと。
礼人に過去を思い出させたくなくて、2人以上の前では話せないと嘘をついたこと。
北瀬が今話した内容は、全て初めて聞いたことだった。
同時に、ここまでの想いを何年も抱え続けたのは、どれだけ苦しいことだったかと疑問に思う。
北瀬と別れてから、たった2週間でも礼人には地獄の日々だった。
それを、10年間も抱えていたのだから、想像を絶する苦しさだっただろう。
「過去のこと、全部僕が悪いのに…。」
話を聞いたあと口をついた第一声は、そんな素直な気持ちだった。
「俺が悪いです。君を傷つけた。」
すかさず北瀬が否定する。
「そんなことないです。僕が、家出しなければ…。」
「俺があの時流れ星の話をしなければ。」
「いえ、僕が……ふふっ、これ、堂々巡りですね。 」
自然と笑ってしまった。
別れた日々は辛かったけれど、全ての理由がわかると愛おしささえ込み上げてくる。
“ですね”、と北瀬もくすぐったそうに笑い、それからしばらく2人して笑っていた。
今までで1番、北瀬が幸せそうな表情で笑っている。そのことが礼人にはとても嬉しい。
「これからもずっと、俺とお付き合いしてくれますか?」
「はい。僕の方こそお願いします。」
「…これからは、あや、と呼んでもいいですか?」
「はい。敬語もやめてください。僕も莉杜さんって呼んでいいですか?」
「…うん。」
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