6 / 261
2-5
しおりを挟む
「落ち着いたかな…?」
何か言わないと、と思ってあたふたしていたら、彼が先に沈黙を断ってくれた。
「はい…。」
恥ずかしくて気まずくて、答える声が自然と小さくなってしまう。
「僕は秋月由良。君は?」
由良さんっていうのか。かっこいい名前だな。
「…風間幹斗です…。」
「そっか、幹斗くん。違ったらごめんね。君はSub?」
依然として穏やかな声で尋ねられる。
「…はい…。」
「さっき、どうしていきなりkneelしたのか、差し支えなければ聞いてもいいかな?僕、glareは出してなかったと思うけど…。」
「… 」
「言いたくなかった言わなくていいからね。」
…優しい。
由良さんの口調や声が優しい雨みたいに感じられて、自分の支配権を彼に握って欲しいという衝動が俺の中で再び募った。
“あなたの目を見た途端に本能で支配されたいと思いました。俺をあなたのパートナーにしてください”
そう言いたいけれど、先程の愚行を考えると、こんなことを言ったら今度こそ捨てられてしまうのではないかと、怖い。
「ああ、泣かないで。嫌なことを聞いてしまったかな?」
慌てたような彼の声。気付けば涙が溢れていた。
…違う。言いたい。言いたいけど怖くて言えない…。
言おうとして口を動かしても、声は出ない。
しばらくそうしていると、ちょっとごめんね、と言う声とともに由良さんが立ち上がり、顎を掴まれ、上をむかされた。
刹那、身体中を刺激が駆け巡った。
杭で打ち付けられたように、彼の目から視線を逸らせない。これがglareだと、Subの本能が教えてくれた。glareが効くと、こんな風になってしまうのか。
…このままその視線を注がれ続けたら、おかしくなってしまいそうだ。
恐怖なのか快楽なのかは判断がつかないが、なんというかもう脳が気持ちいい。
これ以上脈打ったら死んでしまうのではないかと思うのに、鼓動はなおも加速し続ける。
彼の指が触れたところが、熱い…。
彼の唇が開いていく、その様子がやけにゆっくりと見えて。
「Say. 」
…command!?
「…あなたに、…支配、された、くて… 」
気付いた時にはもう遅く、俺は自分の意思と関係なしに全てを話してしまっていた。
何か言わないと、と思ってあたふたしていたら、彼が先に沈黙を断ってくれた。
「はい…。」
恥ずかしくて気まずくて、答える声が自然と小さくなってしまう。
「僕は秋月由良。君は?」
由良さんっていうのか。かっこいい名前だな。
「…風間幹斗です…。」
「そっか、幹斗くん。違ったらごめんね。君はSub?」
依然として穏やかな声で尋ねられる。
「…はい…。」
「さっき、どうしていきなりkneelしたのか、差し支えなければ聞いてもいいかな?僕、glareは出してなかったと思うけど…。」
「… 」
「言いたくなかった言わなくていいからね。」
…優しい。
由良さんの口調や声が優しい雨みたいに感じられて、自分の支配権を彼に握って欲しいという衝動が俺の中で再び募った。
“あなたの目を見た途端に本能で支配されたいと思いました。俺をあなたのパートナーにしてください”
そう言いたいけれど、先程の愚行を考えると、こんなことを言ったら今度こそ捨てられてしまうのではないかと、怖い。
「ああ、泣かないで。嫌なことを聞いてしまったかな?」
慌てたような彼の声。気付けば涙が溢れていた。
…違う。言いたい。言いたいけど怖くて言えない…。
言おうとして口を動かしても、声は出ない。
しばらくそうしていると、ちょっとごめんね、と言う声とともに由良さんが立ち上がり、顎を掴まれ、上をむかされた。
刹那、身体中を刺激が駆け巡った。
杭で打ち付けられたように、彼の目から視線を逸らせない。これがglareだと、Subの本能が教えてくれた。glareが効くと、こんな風になってしまうのか。
…このままその視線を注がれ続けたら、おかしくなってしまいそうだ。
恐怖なのか快楽なのかは判断がつかないが、なんというかもう脳が気持ちいい。
これ以上脈打ったら死んでしまうのではないかと思うのに、鼓動はなおも加速し続ける。
彼の指が触れたところが、熱い…。
彼の唇が開いていく、その様子がやけにゆっくりと見えて。
「Say. 」
…command!?
「…あなたに、…支配、された、くて… 」
気付いた時にはもう遅く、俺は自分の意思と関係なしに全てを話してしまっていた。
21
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
待てって言われたから…
ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件
ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。
せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。
クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom ×
(自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。
『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。
(全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390
サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。
同人誌版と同じ表紙に差し替えました。
表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる