強く握って、離さないで 〜この愛はいけないと分かっていても、俺はあなたに出会えてよかった〜 

沈丁花

文字の大きさ
65 / 261

10-5

しおりを挟む
※これ以降お届けするプレイは、危険ですので決して真似しないでください

「うわぁ… 」

部屋の中に入った瞬間、思わずため息と共に声が漏れた。

暗い青を基調とした内装は、“マリンホテル”という名の通り深海の中を思わせる。

中央にある大きな貝殻ベッド、壁一面にプロジェクターで映し出された波。

そして何より目を引くのは、ドアを開けた途端に視界に映り込む、階段のついた大きな水槽。高さは俺の背よりも高い。

「…本当にいいんだね…?」

もう何度もいいと言っているのに、背中側にいた由良さんが再び確認してくる。

「俺がしてほしいんです。」

振り返り、由良さんを見上げてきっぱりと言った瞬間、視界に彼の瞳が映りこんだ。この部屋と同じ、海の底のような深い青。

「わかった。でも無理になったら絶対に言うんだよ。僕もしたことがないから、無理をさせてしまうかもしれない。」

困ったような、でも期待もしているような、難しい表情で由良さんが言った。

「初めてなんて、嬉しいです。」

「…そんなに煽らないで。」

「んぅっ… 」

立ったままぐっと引き寄せられ、噛みつくようなキスをされる。

余裕のない表情の由良さんが、俺は嬉しくてたまらないし、さらに今からのプレイを思うと、期待を隠せずにはいられない。

この部屋の水槽には、水すら入っていない。入っているのは頑丈そうな檻が一つだけ。

その檻に入るのは、魚ではなく、人だ。

この水槽は、臨死調教用に作られたもの。鍵付きの檻に人を入れて逃げ道を奪い、その周りから水を満たしていく。

苦しくても檻の中ではどうすることもできず、ただもがきながら、相手が水を抜くのを待つしかない。

つまり、相手に命を委ねることで、深い忠誠を示す。それがこの調教の醍醐味である。

「一応システムを確認しておこうか。」

由良さんが説明書を読みながら、檻に鍵をかけ、赤いボタンを押した。

少しずつ中に水が満たされていく。もう一度赤いボタンを押すと水が止まり、赤いボタンの下にある青いボタンを押すと、排水が始まる。

俺は自分がこの中に入っていることを考え、ぞくりとした。

水が檻を全て覆ったとき、俺は呼吸ができなくなる。

そして由良さんの助けなしには、そこから出られないのだ。

…どうしよう、それって絶対に、気持ちいい。

「…くん、幹斗君?」

突然身体が揺さぶられ、自分がぼうっとしていたことに気がつく。

「僕が見たところシステムに不具合はなさそうだけれど、大丈夫?」

「はい。」

「本当に無理だと思ったら、セーフワードのかわりに檻を3回内側から叩くこと。

僕もそうならないように気をつけるけど、一応、ね。」

俺は再び首を縦に振った。

身構え過ぎたとも思うが、このくらい注意を払ってくれた方が、安心して任せられる。

「プレイの前に何か食べておく?」

「…いえ、来る前に軽く食べたので…。由良さんが食べるの、待ってます。」

「僕も少し入れてきたから、プレイの後にしようか。…じゃあ、始めていい?」

「よろしくお願いします。」

「幹斗、kneelお座り. 」

圧を持った低い声が防音の室内に轟く。

俺は吸い込まれるようにして、由良さんの足元に跪いた。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

待てって言われたから…

ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

処理中です...