72 / 261
11-2
しおりを挟む
由良さんにいざ連絡しようと思っても、なにを書いていいのかわからない。
おはようとお休みを繰り返すだけで、最後に会ってからもう10日が経っていた。
“お仕事の調子はどうですか?俺は今試験勉強中です。早く会い…”
スマホの画面と睨めっこしながら、文字を打っては消し、打っては消しを繰り返し、結局なにも送信せず仕舞い。
おはようのLINEは俺が打つけれど、お休みはいつも由良さんがしてくれるから、スマホの通知音量を最大にして、そのままベッドに横になった。
…こんなに会いたくなるのなら、写真の一つや二つ撮っておけばよかったな。そうすればそれを見て、少しは気が紛れたかもしれない。
「わわっ…!!」
いきなり予期せぬ音が鳴って、思わず声を上げた。電話の着信音だ。
こんな時間に一体誰が…。思いながら手を伸ばす。
谷津がまた彼女と喧嘩でもしたのだろうか。
スマホを手に取ると、画面には“秋月由良”の文字。
びっくりしてスマホを落としそうになったが、床にダイブする寸前でなんとか受け止める。
混乱しながら、とりあえず受話器を上げるマークを押し、耳にスマホを当てた。
『幹斗君、突然ごめんね。今大丈夫?』
久しぶりに聞く由良さんの声に、身体全身が歓喜で震える。
顔を合わせているわけでもないのに、胸がきゅっと締め付けられた。どうしよう、嬉しい。
「大丈夫、です。…あの、どうしたんですか?」
自分の声が上ずっているのがわかり、恥ずかしくなった。俺の慌てようだとか、喜びだとかを全てわかっているように、受話器の向こうで由良さんがくすりと笑む。
『声が聞きたくなって。迷惑だったかな?』
「!?」
そんなの嬉しいに決まっている。ベッドにごろごろと転がって、今にも叫び出してしまいたいくらいに。
「あ、の、俺もっ、…声、聴きたかったですっ!」
最後の方は声が裏返ってしまった。
『それは嬉しいな。…ところで幹斗君、溜まってない?ダイナミクスの欲求とか。』
痛いところを突かれ、言葉に詰まる。
由良さんと会うまでは1ヶ月に1回でも支障なく我慢できたのに、今では由良さんにプレイされたくて堪らず、由良さんのことで頭がいっぱいになることがあって。
「…えっと、その…、、…してます…。 」
無意識に声が小さくなる。
『じゃあ、今からプレイしようか。』
「えっ?…と…?」
今からプレイって、どういうことだ…?状況がうまく予測できない。
『僕が幹斗君に電話で命令をして、幹斗君はそれに従う。どうかな?』
芽生えた興味に、たっぷりと妖艶な響きを含んだ由良さんの声が拍車をかける。
「…お願いします。」
『いい子。じゃあ幹斗、Strip.』
いい子、のあとはいつもよりワントーン低い声。
glareもないのに、俺はそれに従う。
ただ、由良さんに支配されているという事実に、ひどく高揚しながら。
おはようとお休みを繰り返すだけで、最後に会ってからもう10日が経っていた。
“お仕事の調子はどうですか?俺は今試験勉強中です。早く会い…”
スマホの画面と睨めっこしながら、文字を打っては消し、打っては消しを繰り返し、結局なにも送信せず仕舞い。
おはようのLINEは俺が打つけれど、お休みはいつも由良さんがしてくれるから、スマホの通知音量を最大にして、そのままベッドに横になった。
…こんなに会いたくなるのなら、写真の一つや二つ撮っておけばよかったな。そうすればそれを見て、少しは気が紛れたかもしれない。
「わわっ…!!」
いきなり予期せぬ音が鳴って、思わず声を上げた。電話の着信音だ。
こんな時間に一体誰が…。思いながら手を伸ばす。
谷津がまた彼女と喧嘩でもしたのだろうか。
スマホを手に取ると、画面には“秋月由良”の文字。
びっくりしてスマホを落としそうになったが、床にダイブする寸前でなんとか受け止める。
混乱しながら、とりあえず受話器を上げるマークを押し、耳にスマホを当てた。
『幹斗君、突然ごめんね。今大丈夫?』
久しぶりに聞く由良さんの声に、身体全身が歓喜で震える。
顔を合わせているわけでもないのに、胸がきゅっと締め付けられた。どうしよう、嬉しい。
「大丈夫、です。…あの、どうしたんですか?」
自分の声が上ずっているのがわかり、恥ずかしくなった。俺の慌てようだとか、喜びだとかを全てわかっているように、受話器の向こうで由良さんがくすりと笑む。
『声が聞きたくなって。迷惑だったかな?』
「!?」
そんなの嬉しいに決まっている。ベッドにごろごろと転がって、今にも叫び出してしまいたいくらいに。
「あ、の、俺もっ、…声、聴きたかったですっ!」
最後の方は声が裏返ってしまった。
『それは嬉しいな。…ところで幹斗君、溜まってない?ダイナミクスの欲求とか。』
痛いところを突かれ、言葉に詰まる。
由良さんと会うまでは1ヶ月に1回でも支障なく我慢できたのに、今では由良さんにプレイされたくて堪らず、由良さんのことで頭がいっぱいになることがあって。
「…えっと、その…、、…してます…。 」
無意識に声が小さくなる。
『じゃあ、今からプレイしようか。』
「えっ?…と…?」
今からプレイって、どういうことだ…?状況がうまく予測できない。
『僕が幹斗君に電話で命令をして、幹斗君はそれに従う。どうかな?』
芽生えた興味に、たっぷりと妖艶な響きを含んだ由良さんの声が拍車をかける。
「…お願いします。」
『いい子。じゃあ幹斗、Strip.』
いい子、のあとはいつもよりワントーン低い声。
glareもないのに、俺はそれに従う。
ただ、由良さんに支配されているという事実に、ひどく高揚しながら。
11
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件
ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。
せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。
クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom ×
(自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。
『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。
(全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390
サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。
同人誌版と同じ表紙に差し替えました。
表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる