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映画は1時間ちょっとで、見終わる頃には谷津が号泣していた。
そう言えば由良さんとも映画見たっけ…
あの時のデート、幸せだったな。
そんなことを考え、呆然とする。もう戻れない関係ならばいっそ忘れてしまいたいと思うのに、忘れようとすればするほど、かえって楽しかった日々が思い出される。
「みーきーとっ!!」
突然横から谷津に呼ばれた。
「ん?...あ、ティッシュはあっち。」
多分忘れたんだろうと思いティッシュの場所を教えたが、彼はそうじゃない、と言い、自分のリュックからティッシュを取り出す。
そして盛大に鼻をかんだ後に、俺の名前をもう一度呼んだ。
「…ねえ、由良さん?の話、聞かせてよ。」
「…えっ?」
「少し吐き出した方がいい。ずっと一人で抱えてたんでしょ?俺も一回、そういう時あったから。」
とても真剣な声で言われた。谷津が真面目に話していると、調子が狂う。
でも同時に、話したいという欲求が湧いてきた。
「…聞いてくれる?」
「そう言ってるじゃん。」
それから俺は谷津に、由良さんと出会ってからの出来事で、まだ話していないことを詳しく話した。
色々プレイをする中で、どんどん知らない自分が目覚めていくのが幸せだったこと、彼に子供がいると聞いた時にはびっくりしたが、彼はとても優しくて臆病な人間で、そんな彼とやっぱり一緒にいたいと願ったこと。
話しているうちに自然と泣いていて、そう言えばフラれた直後以来泣くのは初めてだったことに気がつく。
「そっか。」
谷津は素っ気なく返事をして、そのまま空を仰いだ。
「幹斗さ、由良さんに会ってから少しずつ変わったこと、気づいてる?」
「…いや、何も変わってないけど。」
交友関係は東弥が増えただけだし、特に何も思い当たる節がない。
「お前何もかも諦めてるみたいで、いっつも無表情で、なんか機械みたいで。
いつか壊れちゃうんじゃないかって心配になった。
でもそれが、こんな風に悩んで、もがいて。彼のこと、大事にしたいって思ってたんだろ?
だったらこの恋は、幹斗にとって絶対に大切なものだった。だから、忘れなくていいんだよ。」
続いた谷津の言葉に驚いたが、同時に、そうかもしれない、と少し思う。
由良さんに出会って、俺は多分、今までより感情を表に出すことができるようになった。もしかしたらそれは、俺にとって必要なことだったかも知れなくて。
忘れないでいい、という言葉を、頭の中で何度も何度も反芻した。そっか、忘れなくていいんだ。
俺には今、悲しむ理由がたくさんあって、その中には、彼を忘れなければならないという焦りと、由良さんと過ごした時間が無になってしまうことへの恐れがあったのだろう。
でも、その恐れが今の谷津の言葉で取り除かれた気がした。
…そっか、今の俺を由良さんとの日々が構成しているのだったら、少なくともなかったことにはならないんだ。それに、由良さんとのこと、忘れなくていいんだ。
「ありがとう。…ハー○ン奢る…。」
「じゃあ学祭の分帳消しな。」
「うん…。」
夜は、一緒に床の上に眠った。タオルケットを下に敷いた上に横になったから、朝起きたらすごく腰が痛くなってたけど、気持ちは軽くなっていた。
少しだけだけど、大事な少し。初めの一歩。
たとえこの先由良さんと付き合うことができなくても、俺は彼を思い続けようと思った。
もしも何か天変地異でも起こって由良さんからもう一度求められたら喜んで付き合うけれど、つきまとって彼に嫌がられることはしない。
思うだけ。それだけなら、
きっと彼も許してくれるだろう。
そう言えば由良さんとも映画見たっけ…
あの時のデート、幸せだったな。
そんなことを考え、呆然とする。もう戻れない関係ならばいっそ忘れてしまいたいと思うのに、忘れようとすればするほど、かえって楽しかった日々が思い出される。
「みーきーとっ!!」
突然横から谷津に呼ばれた。
「ん?...あ、ティッシュはあっち。」
多分忘れたんだろうと思いティッシュの場所を教えたが、彼はそうじゃない、と言い、自分のリュックからティッシュを取り出す。
そして盛大に鼻をかんだ後に、俺の名前をもう一度呼んだ。
「…ねえ、由良さん?の話、聞かせてよ。」
「…えっ?」
「少し吐き出した方がいい。ずっと一人で抱えてたんでしょ?俺も一回、そういう時あったから。」
とても真剣な声で言われた。谷津が真面目に話していると、調子が狂う。
でも同時に、話したいという欲求が湧いてきた。
「…聞いてくれる?」
「そう言ってるじゃん。」
それから俺は谷津に、由良さんと出会ってからの出来事で、まだ話していないことを詳しく話した。
色々プレイをする中で、どんどん知らない自分が目覚めていくのが幸せだったこと、彼に子供がいると聞いた時にはびっくりしたが、彼はとても優しくて臆病な人間で、そんな彼とやっぱり一緒にいたいと願ったこと。
話しているうちに自然と泣いていて、そう言えばフラれた直後以来泣くのは初めてだったことに気がつく。
「そっか。」
谷津は素っ気なく返事をして、そのまま空を仰いだ。
「幹斗さ、由良さんに会ってから少しずつ変わったこと、気づいてる?」
「…いや、何も変わってないけど。」
交友関係は東弥が増えただけだし、特に何も思い当たる節がない。
「お前何もかも諦めてるみたいで、いっつも無表情で、なんか機械みたいで。
いつか壊れちゃうんじゃないかって心配になった。
でもそれが、こんな風に悩んで、もがいて。彼のこと、大事にしたいって思ってたんだろ?
だったらこの恋は、幹斗にとって絶対に大切なものだった。だから、忘れなくていいんだよ。」
続いた谷津の言葉に驚いたが、同時に、そうかもしれない、と少し思う。
由良さんに出会って、俺は多分、今までより感情を表に出すことができるようになった。もしかしたらそれは、俺にとって必要なことだったかも知れなくて。
忘れないでいい、という言葉を、頭の中で何度も何度も反芻した。そっか、忘れなくていいんだ。
俺には今、悲しむ理由がたくさんあって、その中には、彼を忘れなければならないという焦りと、由良さんと過ごした時間が無になってしまうことへの恐れがあったのだろう。
でも、その恐れが今の谷津の言葉で取り除かれた気がした。
…そっか、今の俺を由良さんとの日々が構成しているのだったら、少なくともなかったことにはならないんだ。それに、由良さんとのこと、忘れなくていいんだ。
「ありがとう。…ハー○ン奢る…。」
「じゃあ学祭の分帳消しな。」
「うん…。」
夜は、一緒に床の上に眠った。タオルケットを下に敷いた上に横になったから、朝起きたらすごく腰が痛くなってたけど、気持ちは軽くなっていた。
少しだけだけど、大事な少し。初めの一歩。
たとえこの先由良さんと付き合うことができなくても、俺は彼を思い続けようと思った。
もしも何か天変地異でも起こって由良さんからもう一度求められたら喜んで付き合うけれど、つきまとって彼に嫌がられることはしない。
思うだけ。それだけなら、
きっと彼も許してくれるだろう。
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