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第2部
楽しみだった日③
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「部屋、どれにする?」
「こことかどうですか?俺プレイは断然恐怖心を植え付けたい派なんですよね。」
「奇遇だね。私もだ。」
2人の会話を聞いて、ここが第2性用のラブホテルだと悟る。
混乱していた頭が冴えるとともに、一気に全身の血の気が引いた。
ここですることといえばただ一つ。しかもこの3人の中でSubは俺1人。
その意味が分からないほど馬鹿ではない。
「俺、帰ります。」
2人の手を力を込めて振り払おうとしたけれど、男2人分の力には抗えなかった。
このまま部屋に入ったら由良さん以外のDomとプレイをすることになる。
「離してください。離して。」
離してと繰り返す俺の言葉を2人は聞かず、半ば引きずられるようにして部屋の前まで連れて行かれた。
ガチャリ。
ドアノブを下げる音がする。
この中に入ってしまったらきっともう逃げられない。
…嫌だ…。
「嫌だっ!!離して!!助け「Shush. 」
叫ぶ俺に御坂がcommandを放つ。
反射的に自分の唇が縫い付けられたように開かなくなり、声として出すことのできなかった叫びは涙になって頬を伝った。
「すげー、本当にglare効くんだ。先輩本当にSubなんすねー!」
嘲るような仙波君の声。
…どうして俺はこんなにも無力なのだろう。
仙波君、俺の何が不快だった?Subでありながらglareが効かないこと?それともSubであること自体?幾らでも謝るから、その手を離して。
御坂さん、あなたが俺に興味を示す理由はわからないけれど、俺がもしあの日落とし物を拾っていなかったのなら、こうはならなかった?もしあの日に戻れたとしたら、俺はもうあの道を通らない。
心の中でいくら訴えても、言葉にすることすら許されない。
「んんんんっ…!!」
ドアが開いた先の部屋に背中を蹴って押し込まれ、咳込みそうなほどの激痛が走った。
ドアの閉まる無機質な音が響く。
観念して部屋の中を見回し、さらに絶望する。
X字型の拘束台に大きなナイフ、毛羽立った麻縄に蝋燭、他にも使い方のわからない器具がいくつか置いてある。
こんなにも器具が拷問に特化した部屋を見たのは初めてだった。
「kneel. 」
嫌だ。従いたくない。そう思うのに身体が勝手におすわりの体勢をとる。
後輩の前で、しかも由良さん以外の命令によってkneelをするなんて、逃げ出したいほどの屈辱だ。
俯いていると、今度は腹部に強い衝撃が走った。
「主人から目を離すなんて悪い犬だ。お仕置きだね。仙波君、手伝ってくれ。」
御坂がそう言って指差した先は拘束台で、荷物を落とされ、俺は彼に抱えられるようにして無理やりそちらに連れて行かれる。
「んっ、んー!!」
さっきのcommandがまだ解除されていないせいで嫌だとすら言えず、足をばたつかせて抵抗しても2人がかりで押さえられては意味をなさない。
「ああ、声はもう出していいよ。」
俺の様子を見ていた御坂が、口の封印だけは解除してくれた。
「嫌だ、やめてっ!!もう離してっ!!俺が何かしたなら謝るから!!」
御坂に押さえつけられ、優しさのない強い力で仙波に四肢を掴まれ、手首、足と順番に4点をX字型の台に括り付けられる。
嫌だやめてと泣いて叫んでも、ごめんなさいと謝っても、それらは意味をなさなかった。
「仙波君、どれ使いたい?」
「そうですねぇ…。これとかどうですか?」
御坂の問いかけに、心底楽しそうに彼が取りだしたのは真っ赤な蝋燭。
「いいね。」
御坂が笑いながらライターを取り出し、仙波君が手に持った蝋燭に火をつける。
蝋が溶けて血のような赤がぽとりと床に垂れた。
半袖を着ているせいで露出した腕に、容赦なくその赤が垂らされあまりの熱さに身体が跳ねる。
「熱っ…!!」
反射的にでた声は悲鳴に近い。
由良さんなら絶対にしないこと。
由良さんと出会う前だって、せいぜい叩くか殴られるか拘束されるかで、ここまではされたことがなかった。
「いい反応だ。次は利き腕だね。いくよ。」
蝋であることはわかっているが、自分の腕に痛みと共に血のような赤がまとわりつく視覚的な恐怖。
あの熱さが今度は違う場所にもう一度訪れるという絶望。
もうやめてくれとすがるように涙目で御坂の瞳を見たときに、目の前に映し出されたのは歓喜の眼差しだった。
…この人たちは、抵抗するほど喜ぶんだ…。
そう悟った途端に自分の中でぱったりと何かがシャットアウトされた。
熱い。痛い。そう感じているはずなのに、それをどこか切り離してしまっているような不思議な感覚。
まるで自分とそっくりの人形が殴られているのをどこか遠くから見つめているみたいな。
殴られ、蹴られ、肩や頬などの露出した部分の至る所に蝋を垂らされた。
けれど声は出ない。そもそも由良さん以外のDomを喜ばせる声なんて、恐怖なんて、涙なんて要らない。
「風間せーんぱい、黙ってちゃ面白くないでしょっ!!」
イラついたように仙波君がまた俺のお腹を膝で蹴るのが見えた。
御坂も苛立っているのか頬を引きつらせている。
「そうかこの程度の恐怖じゃ足りないか。じゃあこれならどうかな。」
目の前に手入れのされていない毛羽立った麻縄が映る。
…これで縛られたら確実に肌が傷つくだろうな…。
やけに冷静に考えていた矢先、それが首のcollarより上の部分に巻き付けられ、一瞬殺さんばかりの勢いでぐっと絞められた。
「こことかどうですか?俺プレイは断然恐怖心を植え付けたい派なんですよね。」
「奇遇だね。私もだ。」
2人の会話を聞いて、ここが第2性用のラブホテルだと悟る。
混乱していた頭が冴えるとともに、一気に全身の血の気が引いた。
ここですることといえばただ一つ。しかもこの3人の中でSubは俺1人。
その意味が分からないほど馬鹿ではない。
「俺、帰ります。」
2人の手を力を込めて振り払おうとしたけれど、男2人分の力には抗えなかった。
このまま部屋に入ったら由良さん以外のDomとプレイをすることになる。
「離してください。離して。」
離してと繰り返す俺の言葉を2人は聞かず、半ば引きずられるようにして部屋の前まで連れて行かれた。
ガチャリ。
ドアノブを下げる音がする。
この中に入ってしまったらきっともう逃げられない。
…嫌だ…。
「嫌だっ!!離して!!助け「Shush. 」
叫ぶ俺に御坂がcommandを放つ。
反射的に自分の唇が縫い付けられたように開かなくなり、声として出すことのできなかった叫びは涙になって頬を伝った。
「すげー、本当にglare効くんだ。先輩本当にSubなんすねー!」
嘲るような仙波君の声。
…どうして俺はこんなにも無力なのだろう。
仙波君、俺の何が不快だった?Subでありながらglareが効かないこと?それともSubであること自体?幾らでも謝るから、その手を離して。
御坂さん、あなたが俺に興味を示す理由はわからないけれど、俺がもしあの日落とし物を拾っていなかったのなら、こうはならなかった?もしあの日に戻れたとしたら、俺はもうあの道を通らない。
心の中でいくら訴えても、言葉にすることすら許されない。
「んんんんっ…!!」
ドアが開いた先の部屋に背中を蹴って押し込まれ、咳込みそうなほどの激痛が走った。
ドアの閉まる無機質な音が響く。
観念して部屋の中を見回し、さらに絶望する。
X字型の拘束台に大きなナイフ、毛羽立った麻縄に蝋燭、他にも使い方のわからない器具がいくつか置いてある。
こんなにも器具が拷問に特化した部屋を見たのは初めてだった。
「kneel. 」
嫌だ。従いたくない。そう思うのに身体が勝手におすわりの体勢をとる。
後輩の前で、しかも由良さん以外の命令によってkneelをするなんて、逃げ出したいほどの屈辱だ。
俯いていると、今度は腹部に強い衝撃が走った。
「主人から目を離すなんて悪い犬だ。お仕置きだね。仙波君、手伝ってくれ。」
御坂がそう言って指差した先は拘束台で、荷物を落とされ、俺は彼に抱えられるようにして無理やりそちらに連れて行かれる。
「んっ、んー!!」
さっきのcommandがまだ解除されていないせいで嫌だとすら言えず、足をばたつかせて抵抗しても2人がかりで押さえられては意味をなさない。
「ああ、声はもう出していいよ。」
俺の様子を見ていた御坂が、口の封印だけは解除してくれた。
「嫌だ、やめてっ!!もう離してっ!!俺が何かしたなら謝るから!!」
御坂に押さえつけられ、優しさのない強い力で仙波に四肢を掴まれ、手首、足と順番に4点をX字型の台に括り付けられる。
嫌だやめてと泣いて叫んでも、ごめんなさいと謝っても、それらは意味をなさなかった。
「仙波君、どれ使いたい?」
「そうですねぇ…。これとかどうですか?」
御坂の問いかけに、心底楽しそうに彼が取りだしたのは真っ赤な蝋燭。
「いいね。」
御坂が笑いながらライターを取り出し、仙波君が手に持った蝋燭に火をつける。
蝋が溶けて血のような赤がぽとりと床に垂れた。
半袖を着ているせいで露出した腕に、容赦なくその赤が垂らされあまりの熱さに身体が跳ねる。
「熱っ…!!」
反射的にでた声は悲鳴に近い。
由良さんなら絶対にしないこと。
由良さんと出会う前だって、せいぜい叩くか殴られるか拘束されるかで、ここまではされたことがなかった。
「いい反応だ。次は利き腕だね。いくよ。」
蝋であることはわかっているが、自分の腕に痛みと共に血のような赤がまとわりつく視覚的な恐怖。
あの熱さが今度は違う場所にもう一度訪れるという絶望。
もうやめてくれとすがるように涙目で御坂の瞳を見たときに、目の前に映し出されたのは歓喜の眼差しだった。
…この人たちは、抵抗するほど喜ぶんだ…。
そう悟った途端に自分の中でぱったりと何かがシャットアウトされた。
熱い。痛い。そう感じているはずなのに、それをどこか切り離してしまっているような不思議な感覚。
まるで自分とそっくりの人形が殴られているのをどこか遠くから見つめているみたいな。
殴られ、蹴られ、肩や頬などの露出した部分の至る所に蝋を垂らされた。
けれど声は出ない。そもそも由良さん以外のDomを喜ばせる声なんて、恐怖なんて、涙なんて要らない。
「風間せーんぱい、黙ってちゃ面白くないでしょっ!!」
イラついたように仙波君がまた俺のお腹を膝で蹴るのが見えた。
御坂も苛立っているのか頬を引きつらせている。
「そうかこの程度の恐怖じゃ足りないか。じゃあこれならどうかな。」
目の前に手入れのされていない毛羽立った麻縄が映る。
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