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第2部
手紙①
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事件のあった暗い日々は、あっという間に終わった。
今ではもうあの事件が本当に存在していたのかすら俺の中で曖昧になっている。
当たり前のようにまた研究を重ねながら9月が過ぎ、10月になって授業が始まり、そろそろ就職活動も…と考え始めた頃、ポストに一通の手紙が届いた。
…俺宛の手紙…。
和紙でできた薄茜色の封筒に何かの記念切手が貼ってある。
誰だろうと思い裏を返すと、そこには祖母の名前があった。
大学に入ってからは、年に一度正月に会う以外に祖父母とコンタクトを取ることはなく、何かあったのだろうかと不安になる。
「…痛っ…!!」
封を開け便箋を取り出す際に紙で指を切ってしまった。ますます不穏だ。
封筒と同じ秋色の便箋を恐る恐る開いていく。
“幹斗、おじいちゃんが間質性肺炎という難しい病気にかかりました。今私たちは雪菜おばさんのところに住んでいて、幹斗に苦労をかけるつもりはありません。けれど、おじいちゃんが会いたがっています。
パートナーがいると言っていたわね?一緒に来てもらえたら嬉しいです。でも無理はしないでね。”
すとん、と手紙が落ちる音がしてはじめて自分の手からそれが落ちたことに気がついた。
生まれた時からずっと育ててくれた人が難病にかかったなんてすぐには受け入れることができない。
それに、同居している相手が男性だということをまだなんとなく俺は祖父母に言い出せずにいて。
どうしよう。怖くてたまらない。
今日は午後から講義で、そのあと就活を終えた先輩と2人で実験をする約束だ。
今から学校に行って学食をお腹に詰め込んで、講義に行かなくてはならない。
なのに足がすくんでしまう。
ふと疑問に思った。
俺がより恐れているのはパートナーとして男性を連れていくことなのか、それとも祖父が難病にかかったことなのか。
そしてどちらかという問いかけに素直に後者だと断言できなかった自分にがっかりして、ため息を漏らした。
追い討ちのように降ってきた雨は、酷く冷たい。
今ではもうあの事件が本当に存在していたのかすら俺の中で曖昧になっている。
当たり前のようにまた研究を重ねながら9月が過ぎ、10月になって授業が始まり、そろそろ就職活動も…と考え始めた頃、ポストに一通の手紙が届いた。
…俺宛の手紙…。
和紙でできた薄茜色の封筒に何かの記念切手が貼ってある。
誰だろうと思い裏を返すと、そこには祖母の名前があった。
大学に入ってからは、年に一度正月に会う以外に祖父母とコンタクトを取ることはなく、何かあったのだろうかと不安になる。
「…痛っ…!!」
封を開け便箋を取り出す際に紙で指を切ってしまった。ますます不穏だ。
封筒と同じ秋色の便箋を恐る恐る開いていく。
“幹斗、おじいちゃんが間質性肺炎という難しい病気にかかりました。今私たちは雪菜おばさんのところに住んでいて、幹斗に苦労をかけるつもりはありません。けれど、おじいちゃんが会いたがっています。
パートナーがいると言っていたわね?一緒に来てもらえたら嬉しいです。でも無理はしないでね。”
すとん、と手紙が落ちる音がしてはじめて自分の手からそれが落ちたことに気がついた。
生まれた時からずっと育ててくれた人が難病にかかったなんてすぐには受け入れることができない。
それに、同居している相手が男性だということをまだなんとなく俺は祖父母に言い出せずにいて。
どうしよう。怖くてたまらない。
今日は午後から講義で、そのあと就活を終えた先輩と2人で実験をする約束だ。
今から学校に行って学食をお腹に詰め込んで、講義に行かなくてはならない。
なのに足がすくんでしまう。
ふと疑問に思った。
俺がより恐れているのはパートナーとして男性を連れていくことなのか、それとも祖父が難病にかかったことなのか。
そしてどちらかという問いかけに素直に後者だと断言できなかった自分にがっかりして、ため息を漏らした。
追い討ちのように降ってきた雨は、酷く冷たい。
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