強く握って、離さないで 〜この愛はいけないと分かっていても、俺はあなたに出会えてよかった〜 

沈丁花

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番外編 〜2人の夏休み〜

異国の地で③

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(由良side)
一度支店バスで旅行会社の支店まで行って旅行の段取りや注意点を確認したあと、旅行中泊まるホテルの部屋に案内された。

カーテンを開ければ目の前にビルやトラム(路面電車)、海が見える。

それらを目にした幹斗君は檜肌色ひはだいろの瞳を子供みたいにキラキラと輝かせた。

「由良さん、すごい。ビルの形が独特ですね!それに、向こう側に海が見える!」

普段冷静で恥ずかしがり屋な彼の、興奮気味に話すところ。

そのあまりの愛らしさに口元が綻ぶ。

秘密でアップグレードしておいてよかった。こんなにも可愛らしい彼の表情が見られるなら、いくら払っても惜しくない。

それに、年甲斐もなく僕もとてもこの旅行を楽しんでいる。

たまらず背中から抱きしめれば、彼は振り返り驚いたような表情を浮かべた後顔を赤くして俯いてしまった。

いつまで経っても初心な反応をする、そんなところも大好きで、いつまでもそのままでいて欲しいとも思うし、いつか慣れてきて彼の方から僕に抱きついてキスをして甘えて欲しいとも思う。どっちにしろ彼ならば底無しに愛しい。

本当に、ここへ来て正解だった。

彼自身は気づかないようだが、あの事件があってから幹斗君はやはり外では足取りが重く、帰宅すると以前よりずっと疲れて帰ってくる。

だから2人の面影がないこの環境に僕と幹斗君だけで行って羽を伸ばしてもらいたかった。

思った通り、家の外で楽しげに振る舞う幹斗君を見られてとても嬉しい。

「ここのビーチでは水、金、日曜日にナイトマーケットで出店が出るみたいだよ。明日行ってみようか。」

「はっ、はいっ…。」

焦って口からとっさに出したらしく彼の声は上ずっている。

そんな反応をされたら余計に触れたくなってしまうことを、きっと彼は知らない。

「お昼までまだ少し時間があるから、飛行機でできなかった分君に触れてもいい?」

「はいっ…えっ…?」

おそらくあまり考えずに口に出したのだろうが、肯定は肯定だ。

彼の身体を持ち上げ優しくベッドに押し倒す。

じっと僕の目を見て固まっている幹斗君の薄い唇に口づけを落とし、collarをずらして普段その下に隠されているうなじを緩く擦れば、彼は快楽を逃すかのように吐息で甘く喘ぎを漏らした。

そのまま華奢な身体をしばらく抱きしめてから彼を解放する。

「お昼なににするか一緒に決めようか。」

「えっ……じゃなくて、はいっ!」

幹斗君が名残惜しげにこちらを覗いてくるのを、なんとか欲望を押し殺し、頭を撫でて彼を宥めた。

本当は今すぐにでもシャツの襟から手を入れて淡い突起に悪さをしたいし、白く滑らかな肌を暴きたい。

でもせっかくここまで来たのだから、疲れた状態で観光はもったいない。

2人で周辺の店について話し合い、お昼は近くの有名なハンバーガーショップにすることを決めた。
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