強く握って、離さないで 〜この愛はいけないと分かっていても、俺はあなたに出会えてよかった〜 

沈丁花

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パートナー試験

パートナー試験⑧

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ぷるる、ぷるる。

相手が出るまでの呼び出し音がしんとした室内に響いている。

プレイ中に彼が電話することなど今まで一度もなかったから、何かあったのだろうかと不安になる。

けれど、彼の表情は特に動揺を示しておらず、ひとまず俺は黙って通話の終了を待つことにした。

”はい、もしもし?”

やがて電話口から男の人の声が聞こえてきた。

「ああ、もしもし?今プレイ中なんだけど、スワッピングしない?」

すわっぴんぐ…?

聞き慣れない単語に首を傾げる。

もちろん盗み聞きは良くないと知っているのだが、勝手に聞こえてくるのものは仕方がない。

”ちょっと待って。パートナーに聞いてみる。……….OKだって。咲のバーでいい?”

「うん。ありがとう。じゃあ一時間後に。」

“ああ。楽しみにしてるな。”

「僕も楽しみにしているよ。じゃあ、切るね。」

通話が終わり、由良さんが俺の方に視線を向ける。

彼の唇には大人の余裕をたっぷり纏った意地悪な笑みが浮かべられていて、まだプレイが続いているのだと理解した。

次は何が待っているのだろう。

過激になるとは言っていたけど、さっきしたこと以上に過激なことなんて、俺には想像できない。

「さっきの電話、聞いていた?」

唐突に尋ねられ、ひとまず首を縦にふる。

肝心な単語が理解できなかったから本筋はわからなかったけれど、聞いてはいた。

「じゃあ、話は早いね。今からバーに行ってスワッピングしよう。」

「スワッピング…って、なんですか?」

「パートナーを交換することだよ。僕の友達と友達のパートナーと僕と君の4人で集まって、幹斗は僕の友達のDomとプレイするんだ。」

「えっ…?」

あり得ない説明で、頭が真っ白になる。

由良さん以外のDomとプレイをするなんて、そんなの嫌だ。

…でも、由良さんはそれを望んでいるみたいだ。友達と話し合って、すでに約束まで漕ぎ着けてしまっている。

「どうしたの?幹斗。」

言いながら由良さんが再びこちらへと歩いてきて、どうしていいかわからずに俯いた俺の顔をそっと上に向けさせた。
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