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第八章 暁を呼ぶ者
2-1 二手に別れての探索
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(愚兄が)
アルティスは心の中で毒づく。これ以上、他国の客人に対し、サンジェイラの王族として品性を疑われるような発言はしないで欲しかった。
しかし、レインのにやにやとした厭らしい顔を殴り飛ばすかと思われたリュセルだったが、彼の顔を不思議そうな顔で見つめると疑問を投げ掛けた。
「何をそんなに焦ってるんだ?」
「……」
リュセルの言葉を聞き、わずかにレインが息を飲んだのをレオンハルトだけが感じ取っていた。
「口にするのも憚られるような妄想でうまく隠していたみたいだったが、お前の中の奥底に、一瞬だけ、焦りと不安を感じた。ユリエ姫がどうしたんだ?」
ユリエの名を出した途端、誰の目にも分かる程あからさまに、レインの顔が強張る。
「彼女を何故、そんなにも心配する?……国の現状を把握し、憂いている者達がいるのは喜ばしい事だが、ユリエ姫は、何か、危険な事をしようとしているのか?」
立て続けに響いた衝撃的な事実。ローウェンとアルティスは驚きに大きく目を見開き、レオンハルトは畏怖の眼差しで弟を見つめるレインを見つめていた。
「ははははは、それも女神の息子の力ですか? まいったな」
精神的衝撃が去った後、レインはそう言って顔を横に背けた。
「ユリエ姉上が心配って、どういう事!? 姉上は、今、部屋にいるんじゃないの!?」
慌ててローウェンがまくし立てると、レインは長い沈黙を返す。
「…………………………」
「言いたくないならそれでもいい。もう一度、読み取るだけだからな」
リュセルの冷たい声を聞いて、レインは目の前の青年を睨みつけた。
「リュセル王子、その力の前では、個人のプライベートなどあったものではないですね」
レインの台詞を聞き、一瞬、リュセルは傷ついたような表情を浮かべたが、すぐにそれを消して答える。
「読まなくていいものは、読まないように訓練してある。意識を集中させないと、よほどのものでもない限り感知出来ないしな。人を覗き魔のように言わないでもらおうか」
その言葉に鼻を鳴らすと、レインは観念したように両手を広げた。
「ユリエ姉上は、今、城下の街に降りてるんだよ。街で起きた暴動を抑える為にね。これは、アサギ兄上から聞いた、確かな情報だ」
そう言ったレインは、相手にすべて悟られてしまった為、自分の中の不安を隠す事を止め、暗い表情のまま俯いてしまった。
「アサギ兄上も? 一体、どういう事?」
ローウェンの、呆然としたような、乾いた声が響き渡る。
(あ~、もう、知らね!)
ここまでばれてしまったら、どこまでバレようが同じである。レインは開き直る事にした。
第一、彼らは女神の子供達なのだ。国に対して責務を持たず、干渉を受けぬ代わりに、干渉もしない。バレたとて、構わないだろう。と、勝手に判断して、レインは重い口を開いたのだった。
「アサギ兄上とユリエ姉上の二人は、もう、ずいぶん前から、父上を失脚させる計画を練っていたんだ。それに俺も乗ったというだけの話さ」
短い説明だったが、分かりやすい。
「……そんな中、街で暴動が起こりかけていたのを知り、ユリエ姫が街へと向かったという訳か。アサギ王子は、王の監視の為に残ったのだね?」
確認するようなレオンハルトの言葉に、レインははっきりと頷いた。
「わかっただろう? 俺は、こんな所でローウェンの身代わりなんてしている場合じゃないんだよ。下手すれば、ユリエ姉上は殺されてしまう」
レインの声の中に焦りの色を感じ取り、リュセルはレオンハルトに目を向けた。
「分かった。ローウェンの身代わりは他の者に任せよう。ただし、ユリエ姫の探索には私達が赴く」
弟に軽く頷くと、レオンハルトはレインに決定事項のみを告げる。
「……何が目的です?」
本来、国政に一切関知しないはずの女神の息子のありえない言葉。レインは警戒をあらわにした。
「私達の目的は、ルルドの葉の根絶、ただ一つ。ただ、それにはどうしても、ユリエ姫の協力も必要なのだ」
「ユリエ姉上の? 何故です?」
淡々と話すレオンハルトにレインはそう問い返す。
「ただ、少し触らせてもらうだけだ」
眉をひそめ、いつになく真剣な表情のレインを見つめ、今度はリュセルがそう答えた。
「ふうん。俺達サンジェイラの王族の中に何かを探っているという訳ですか? まあ、いいですけどね。でも、ユリエ姉上の探索には、俺もついて行きますよ。あなた方が俺をここに閉じ込めた所為で、姉上は一人で街に降りる事になったんです。責任とって、俺と一緒に街に行ってくれるのでしょう?」
その台詞の後半で、既にレインの調子はいつものふざけたような感じに戻っていた。
街に降りた隙を狙い、良からぬ事を働こうという魂胆が見え見えのレインの誘いに、リュセルはさすがに顔を引きつらせる。
「いいだろう」
しかし、続いたのは、あまりにあっさりとしたレオンハルトの答えだ。聞いたレインは拍子抜けする。
「どうせ、二手に分かれるつもりだった」
そう言うとレオンハルトは、ローウェンとアルティスに目を向けた。
その視線を受け取りすべてを理解した二人は、厳しい表情のまま、大きく頷く。
「分かった、我々が街に出向こう。リュセル殿は、まだ調査の済んでいない者達もおる故」
アルティスの言葉を聞いたレインは残念そうな顔になったが、そんな事、今、この場に集った女神の息子達には全然関係ないのだ。
「まかせて!」
ローウェンもそう言うと、荒々しくレインの顔から変装眼鏡をもぎ取った。
「必ずユリエ姉上を連れ帰るからね!」
「さあ行くぞ、愚兄」
ピッタリと息の合った二人は、ローウェンは右、アルティスは左と、同時にレインの両脇から彼の腕を掴み上げ、ずるずるとその体を引きずって歩き始める。
「俺は出来れば、リュセル王子達とご一緒したいんだがなあ」
未練がましい兄の言葉に対し、アルティスは冷笑で答えた。
「ご自分でユリエ姉上の探索に行きたいと言っていたのではないか。我らが一緒では、不満か?」
艶めいたアルティスの声を耳にしたレインはゾクリとする。己が弟ながらも驚異的に感じるアルティスの妖しい美しさにレインは見惚れるしかない。
「滅相も無い。俺はお前達の事も愛しているよ」
「さあ、キビキビ行くよ!」
三番目の兄の馬鹿台詞をサクッと無視して、ローウェンとアルティスは、レインを引きずったまま部屋を出て行ったのだった。
「だ……、大丈夫か? あれで」
まさに、嵐の去った室内である。その場にリュセルの心配そうな声が響く。
「アルティスがついているからね。大丈夫だろう」
レオンハルトの冷静な声音で、最年少のローウェンはともかく、二十歳を超えた、いい大人のレインを差し置いて、アルティスに信頼を置いているのが分かった。
あの三人の中では一番常識があるからだろう。
当然だ。
「……で? なんで、こんな格好な訳?」
リュセル達と別れた後、城外散策の準備の為、レインの部屋に寄ったローウェンは、自分の姿を姿見で見ながらため息をついた。
「しょうがないだろう。今、城下の街は治安が悪いんだぜ? あからさまに上等な着物を着ていたら、即座に面倒事に巻き込まれるのがおちさ」
そう言うレインの格好は、いつもの黒い直衣姿ではなく、わざとだらしなく胸元を肌蹴させ、手首や胸元にジャラジャラとしたアクセサリーを飾った、まるで遊び人のような格好になっていた。
(に、似合い過ぎる)
ローウェンは、レインのあまりに様になっている遊び人姿に、つい口元をひくつかせながらそう思ってしまった。
「可愛い過ぎるな、ローウェン。一応、それは、遊女の衣装なんだけど」
「へ!? そうなの?」
確かに、いつも着ている振袖や着物風ドレスと違い、足の露出が多いような気はしていたが。
黒地に赤蝶柄の膝丈の着物。それに、深紅の帯。
そう言われてみれば、生地は地味だが、派手な柄の着物と派手な色の帯である。足の露出が多いのは、おそらく、まあ、わざとだろう。
金髪では目立つ為、侍女に変装していた時に被っていた黒髪のかつらはそのままに、着物の柄と同じ、赤い蝶の飾りを髪に飾った。もちろん左目は、白い布で隠している。
「弟に遊女の格好させて、ど~するのさ!」
「だから、この格好が一番目立たないんだよ。今の街ではな」
昼間から、酔っ払いと彼らを客とする遊女達が街中を我がもの顔で闊歩している事を知っているレインのこの変装の提案は、実はやって正解だった。
今、街にいる者は、麻薬中毒者、貧民、遊び人、遊女、これ位になってしまっていたのだ。他の者達は、とっくの昔にこの国を見限って、脱国してしまっている。
「お前達は遊女で、俺はその客。とりあえず、ユリエ姉上を見つけるまで揉め事を起こさないように、この設定でいくからな」
レインの言葉を聞いたローウェンは渋々頷く。
「分かった」
その時、仕度を終えたアルティスが隣の寝室からやっと出て来る。
「アル……」
久しぶりに見るアルティスの女装姿は、相変わらず妖艶だった。
少し前までは、十五歳までのサンジェイラの王子の責務として、ローウェンのように赤い女性物の着物を着ていた彼だが、十五の誕生日を迎えると共に、直衣を着るようになっていたのだ。
あの頃も、美しかったが……。
アルティスは心の中で毒づく。これ以上、他国の客人に対し、サンジェイラの王族として品性を疑われるような発言はしないで欲しかった。
しかし、レインのにやにやとした厭らしい顔を殴り飛ばすかと思われたリュセルだったが、彼の顔を不思議そうな顔で見つめると疑問を投げ掛けた。
「何をそんなに焦ってるんだ?」
「……」
リュセルの言葉を聞き、わずかにレインが息を飲んだのをレオンハルトだけが感じ取っていた。
「口にするのも憚られるような妄想でうまく隠していたみたいだったが、お前の中の奥底に、一瞬だけ、焦りと不安を感じた。ユリエ姫がどうしたんだ?」
ユリエの名を出した途端、誰の目にも分かる程あからさまに、レインの顔が強張る。
「彼女を何故、そんなにも心配する?……国の現状を把握し、憂いている者達がいるのは喜ばしい事だが、ユリエ姫は、何か、危険な事をしようとしているのか?」
立て続けに響いた衝撃的な事実。ローウェンとアルティスは驚きに大きく目を見開き、レオンハルトは畏怖の眼差しで弟を見つめるレインを見つめていた。
「ははははは、それも女神の息子の力ですか? まいったな」
精神的衝撃が去った後、レインはそう言って顔を横に背けた。
「ユリエ姉上が心配って、どういう事!? 姉上は、今、部屋にいるんじゃないの!?」
慌ててローウェンがまくし立てると、レインは長い沈黙を返す。
「…………………………」
「言いたくないならそれでもいい。もう一度、読み取るだけだからな」
リュセルの冷たい声を聞いて、レインは目の前の青年を睨みつけた。
「リュセル王子、その力の前では、個人のプライベートなどあったものではないですね」
レインの台詞を聞き、一瞬、リュセルは傷ついたような表情を浮かべたが、すぐにそれを消して答える。
「読まなくていいものは、読まないように訓練してある。意識を集中させないと、よほどのものでもない限り感知出来ないしな。人を覗き魔のように言わないでもらおうか」
その言葉に鼻を鳴らすと、レインは観念したように両手を広げた。
「ユリエ姉上は、今、城下の街に降りてるんだよ。街で起きた暴動を抑える為にね。これは、アサギ兄上から聞いた、確かな情報だ」
そう言ったレインは、相手にすべて悟られてしまった為、自分の中の不安を隠す事を止め、暗い表情のまま俯いてしまった。
「アサギ兄上も? 一体、どういう事?」
ローウェンの、呆然としたような、乾いた声が響き渡る。
(あ~、もう、知らね!)
ここまでばれてしまったら、どこまでバレようが同じである。レインは開き直る事にした。
第一、彼らは女神の子供達なのだ。国に対して責務を持たず、干渉を受けぬ代わりに、干渉もしない。バレたとて、構わないだろう。と、勝手に判断して、レインは重い口を開いたのだった。
「アサギ兄上とユリエ姉上の二人は、もう、ずいぶん前から、父上を失脚させる計画を練っていたんだ。それに俺も乗ったというだけの話さ」
短い説明だったが、分かりやすい。
「……そんな中、街で暴動が起こりかけていたのを知り、ユリエ姫が街へと向かったという訳か。アサギ王子は、王の監視の為に残ったのだね?」
確認するようなレオンハルトの言葉に、レインははっきりと頷いた。
「わかっただろう? 俺は、こんな所でローウェンの身代わりなんてしている場合じゃないんだよ。下手すれば、ユリエ姉上は殺されてしまう」
レインの声の中に焦りの色を感じ取り、リュセルはレオンハルトに目を向けた。
「分かった。ローウェンの身代わりは他の者に任せよう。ただし、ユリエ姫の探索には私達が赴く」
弟に軽く頷くと、レオンハルトはレインに決定事項のみを告げる。
「……何が目的です?」
本来、国政に一切関知しないはずの女神の息子のありえない言葉。レインは警戒をあらわにした。
「私達の目的は、ルルドの葉の根絶、ただ一つ。ただ、それにはどうしても、ユリエ姫の協力も必要なのだ」
「ユリエ姉上の? 何故です?」
淡々と話すレオンハルトにレインはそう問い返す。
「ただ、少し触らせてもらうだけだ」
眉をひそめ、いつになく真剣な表情のレインを見つめ、今度はリュセルがそう答えた。
「ふうん。俺達サンジェイラの王族の中に何かを探っているという訳ですか? まあ、いいですけどね。でも、ユリエ姉上の探索には、俺もついて行きますよ。あなた方が俺をここに閉じ込めた所為で、姉上は一人で街に降りる事になったんです。責任とって、俺と一緒に街に行ってくれるのでしょう?」
その台詞の後半で、既にレインの調子はいつものふざけたような感じに戻っていた。
街に降りた隙を狙い、良からぬ事を働こうという魂胆が見え見えのレインの誘いに、リュセルはさすがに顔を引きつらせる。
「いいだろう」
しかし、続いたのは、あまりにあっさりとしたレオンハルトの答えだ。聞いたレインは拍子抜けする。
「どうせ、二手に分かれるつもりだった」
そう言うとレオンハルトは、ローウェンとアルティスに目を向けた。
その視線を受け取りすべてを理解した二人は、厳しい表情のまま、大きく頷く。
「分かった、我々が街に出向こう。リュセル殿は、まだ調査の済んでいない者達もおる故」
アルティスの言葉を聞いたレインは残念そうな顔になったが、そんな事、今、この場に集った女神の息子達には全然関係ないのだ。
「まかせて!」
ローウェンもそう言うと、荒々しくレインの顔から変装眼鏡をもぎ取った。
「必ずユリエ姉上を連れ帰るからね!」
「さあ行くぞ、愚兄」
ピッタリと息の合った二人は、ローウェンは右、アルティスは左と、同時にレインの両脇から彼の腕を掴み上げ、ずるずるとその体を引きずって歩き始める。
「俺は出来れば、リュセル王子達とご一緒したいんだがなあ」
未練がましい兄の言葉に対し、アルティスは冷笑で答えた。
「ご自分でユリエ姉上の探索に行きたいと言っていたのではないか。我らが一緒では、不満か?」
艶めいたアルティスの声を耳にしたレインはゾクリとする。己が弟ながらも驚異的に感じるアルティスの妖しい美しさにレインは見惚れるしかない。
「滅相も無い。俺はお前達の事も愛しているよ」
「さあ、キビキビ行くよ!」
三番目の兄の馬鹿台詞をサクッと無視して、ローウェンとアルティスは、レインを引きずったまま部屋を出て行ったのだった。
「だ……、大丈夫か? あれで」
まさに、嵐の去った室内である。その場にリュセルの心配そうな声が響く。
「アルティスがついているからね。大丈夫だろう」
レオンハルトの冷静な声音で、最年少のローウェンはともかく、二十歳を超えた、いい大人のレインを差し置いて、アルティスに信頼を置いているのが分かった。
あの三人の中では一番常識があるからだろう。
当然だ。
「……で? なんで、こんな格好な訳?」
リュセル達と別れた後、城外散策の準備の為、レインの部屋に寄ったローウェンは、自分の姿を姿見で見ながらため息をついた。
「しょうがないだろう。今、城下の街は治安が悪いんだぜ? あからさまに上等な着物を着ていたら、即座に面倒事に巻き込まれるのがおちさ」
そう言うレインの格好は、いつもの黒い直衣姿ではなく、わざとだらしなく胸元を肌蹴させ、手首や胸元にジャラジャラとしたアクセサリーを飾った、まるで遊び人のような格好になっていた。
(に、似合い過ぎる)
ローウェンは、レインのあまりに様になっている遊び人姿に、つい口元をひくつかせながらそう思ってしまった。
「可愛い過ぎるな、ローウェン。一応、それは、遊女の衣装なんだけど」
「へ!? そうなの?」
確かに、いつも着ている振袖や着物風ドレスと違い、足の露出が多いような気はしていたが。
黒地に赤蝶柄の膝丈の着物。それに、深紅の帯。
そう言われてみれば、生地は地味だが、派手な柄の着物と派手な色の帯である。足の露出が多いのは、おそらく、まあ、わざとだろう。
金髪では目立つ為、侍女に変装していた時に被っていた黒髪のかつらはそのままに、着物の柄と同じ、赤い蝶の飾りを髪に飾った。もちろん左目は、白い布で隠している。
「弟に遊女の格好させて、ど~するのさ!」
「だから、この格好が一番目立たないんだよ。今の街ではな」
昼間から、酔っ払いと彼らを客とする遊女達が街中を我がもの顔で闊歩している事を知っているレインのこの変装の提案は、実はやって正解だった。
今、街にいる者は、麻薬中毒者、貧民、遊び人、遊女、これ位になってしまっていたのだ。他の者達は、とっくの昔にこの国を見限って、脱国してしまっている。
「お前達は遊女で、俺はその客。とりあえず、ユリエ姉上を見つけるまで揉め事を起こさないように、この設定でいくからな」
レインの言葉を聞いたローウェンは渋々頷く。
「分かった」
その時、仕度を終えたアルティスが隣の寝室からやっと出て来る。
「アル……」
久しぶりに見るアルティスの女装姿は、相変わらず妖艶だった。
少し前までは、十五歳までのサンジェイラの王子の責務として、ローウェンのように赤い女性物の着物を着ていた彼だが、十五の誕生日を迎えると共に、直衣を着るようになっていたのだ。
あの頃も、美しかったが……。
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