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ユリエの憂鬱
7-2 過去の罪②
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「あの男……。何を隠そう、僕の実兄なのだが、あれは、化け物だよ」
「え、え、え?」
「あの美貌は、女神の子供であるから仕方ないとして、その知識、頭脳、体力、戦闘力、統率力、要領の良さ、その他もろもろ……すべてにおいて、完璧! パーフェクトなんだよ!」
ありえなくない!? と叫んだカイルーズの迫力がすごくて、ユリエはコクコクと何度も頷きながら思う。
(何だか兄自慢をされているような気がするのは、私の気の所為?)
「どんなに努力しても兄上には敵わないんだよ」
悔しそうに唇を噛むカイルーズの様子を見て、ユリエは彼の事情を悟った。
能力的には大差のない兄弟姉妹の多いユリエはされた事はなかったが、おそらく……、いや、絶対に、彼は、幼い頃より出来過ぎた兄と比べられて育ったのだろう。
だから、レオンハルトに反発している。
(確かにね~)
あの麗人は、すべてにおいて天才だ。何をやらせても、通常の人間よりもはるかにうまくやるであろう。
年が離れている上にレオンハルトの半身であるリュセルは、出来過ぎた兄に反発はないのだろうが、唯一の王位継承者として育てられたカイルーズからすれば、この兄は目の上のたん瘤だったであろう。
でも、それでも、こんなにも優しい顔で、彼は兄の事を嫌いだと告げる。そこまで辿り着くのには、並々ならぬ苦労をしたはずだ。
そう……、我ままで自分の事しか考えていなかった王子時代を経て、カイルーズは王位継承者としての実務をこなす内に、レオンハルトに対して抱いている劣等感を制御するようになっていたのである。
それでも彼は時々思う事があった。
兄なら、もっとうまく事が運べるのではないか? と……。
それはどんな仕事に関しても言えた。
自分などより、口さがない大人達が昔よく言っていたように、レオンハルトの方が王位継承者に相応しいのではないか? その思いは、常に頭の隅にあったのだ。
押し黙ってしまったカイルーズを見つめながら、ユリエは静かに言った。
「でも、あなたは努力を止めなかったのでしょう?」
その言葉に、カイルーズは弾かれたようにして俯いていた顔を上げる。
「お兄様を見返す為? それとも自分の為?」
「それは、国の……民の為に」
ぼんやりと言い返すカイルーズに対し、再びユリエは言った。
「あなたは自分で気づいていないでしょうけれど、とても素晴らしい人よ。レオンハルト王子を疎んで憎むのではなく、自分の民の為に彼に追いつきたいと願っている」
「…………」
カイルーズは優しい響きのあるその声に、何も返す事が出来なかった。
「それは、あなた自身の持つ強さ、とても素晴らしい宝物だわ」
今だかつて、そんな風に言った人がいただろうか。カイルーズは、胸の奥がせつなく苦しくなるのを感じた。
ああ……、駄目だ。
もう、彼女でなければ駄目だ。
自分の妃となる女性は、この女(ひと)しか考えられない。
そう思った瞬間、カイルーズの口は前触れもなく、それを口にしてしまっていた。
「ユリエ姫」
「何?」
そう返事を返すユリエの横顔を見つめながら、それを告げた。
「僕の妻となる人はあなたしかいない。どうか、僕の妻となって欲しい」
まさしく、突然のプロポーズだった。
カイルーズから目を逸らして、咲き乱れる花々を見ていたユリエは、目が点になった。
「…………は?」
そして、ようやくここで、冒頭の場面に戻る訳である。
「……………………………………………………。冗談でしょ?」
過去から現在までの出来事が走馬灯のように頭を巡っていたユリエは、長い沈黙の後、乾いた笑いをたてながらそう言った。
「沈黙長いよ」
即座につっこまれた。
「それは、あなたのその笑えない冗談の所為で、サンジェイラにいた時から現在までの事を軽く思い出していたからよ!」
結構思い出す事はたくさんあったが。
「冗談なんかじゃない」
静かにそう告げたカイルーズの言葉の中に、ユリエは彼が本気である事を感じ取った。
(冗談じゃないって……、こっちだって冗談じゃないわよ)
ユリエはもう、パニック状態だ。
「あ、あなた程の人なら、どんなに美しい女性でも、よりどりみどりで王妃に出来るでしょう!? そ、そうだわ。第一、ツバキという婚約者がいるのに何言ってるのよ!」
そう怒鳴るユリエの顔は真っ赤だ。
「まだ候補というだけだ。正式な婚約者じゃない。彼女には申し訳ないと思うけれど……。それでも、僕は君がいいんだ」
今まで見た事もないような真剣な表情でそう告げられて、ユリエの心臓は破裂しそうにとくとくと高鳴っている。
「ど、どうして、私なの?」
やっとの事で震える声でそう尋ねると、カイルーズはテーブルの上に置かれたユリエの左手に触れた。
「っ!」
驚いたように、ビクリと肩を揺らして身を引こうとするユリエの手を、カイルーズは少し強引に掴む。
「君が、僕を僕として見てくれるからだよ」
そう。最初から、彼女は自分を王位継承者としてだけではなく、一人の人間として見ていてくれていた。
相手の身分に媚びる事なく、言いにくいような事も隠さずにはっきりと口にする、その気性。優しさと強さを合わせ持つ、その性質。
最初に惹かれたのは、彼女の内面だ。
でも、今ではその赤く染まった小さな顔に見惚れてしまう自分がいる。
平凡なはずの顔の中、眼鏡の奥にある薄茶色の意思の強そうな瞳が綺麗だと思う。緊張にきつく結ばれた桃色の小さな唇が愛らしい。
その薄い頼りなげな肩を抱き寄せたいと思うのは、いけない事だろうか? きっと、その小さな体は、すっぽりとカイルーズの腕の中に納まってしまう事だろう。
カイルーズは自分の右手の中に閉じ込めた形になるユリエの左手を恭しい仕草でとると、ゆっくりと頭を下げて、その手の甲に口づけた。
「あ……」
ユリエはあまりにも突然の事に、まぬけな声を出して、傾けられたカイルーズの整った顔を呆然と見守る事しか出来ない。
「君は、僕の事をどう思っているの? 好き? それとも、嫌い?」
真っすぐに見つめられて、そう尋ねられたユリエは、少しの沈黙の後、迷うように言った。
「嫌い……では、ないわ」
「じゃあ、好き?」
「そんな…………、だ、だって、そんな風に考えた事ないもの」
カイルーズの事を妹の婚約者としてだけ考えていたユリエは、混乱したように首を振った。
確かに、この数日で知った、ふとすれば見落としてしまうような優しさや意外な不器用さを好ましいものと感じたし、子供のような我ままや無邪気さを可愛いと感じたりもした。
それに、正直言うと、真っすぐに向けられるカイルーズの好意を嬉しくないと言ったら嘘になる。
でも……。
瞬間、握られていない方の手に、あのおぞましい感触が再び蘇る。
人の肉を絶つ生々しい感触と、手の中に広がった生暖かい血の感触。むせ返るような血の匂い。
「……………………駄目よ」
紡がれたその言葉に、カイルーズはいぶかしげに眉をひそめる。
「私は、駄目なの」
「どうして?」
苛立ったかのように問い返されたユリエは、ささやくように、自分の中にある、決して忘れる事など出来ない過去を告げた。
「私は、自分の父親を殺そうとした事があるのよ」
瞬間、カイルーズは衝撃のあまり思考が停止した。
そしてユリエは、目の前の青年の漆黒の瞳が見開かれるのを見つめながら、とても悲しい想いに捕らわれる。
「汚れてしまっているの。私の両手」
わかっていた事なのに、それでも、とても悲しかった。
目の前の青年に、自分の闇の部分を告げて嫌われる事が、何故かとても悲しかったのだ。
捕らわれていた左手をゆっくりと引くと、呆然としている様子のカイルーズから容易く離れる事が出来る。
「そんな風に言ってもらう資格なんて、私にはないのよ。あなたまで汚れてしまうわ」
そう告げた瞬間、ユリエはあふれる涙を抑える事が出来なかった。
過去に、父、ミゼールを刺したという事実は、大きなしこりとなってユリエの中に残っていたのだった。
「ごめんなさい」
ただ一言そう謝ると、ユリエは椅子から立ち上がり、すべてを放り出したまま、逃げるようにカイルーズの前から立ち去るしかなかった。
バタンッ
「はあはあはあ」
ユリエは自分に与えられた部屋に飛び込むと、涙に濡れた顔を上げる。
絶望に染まっていくであろう、あの王子の顔を見ていたくなかった。
自分は汚れてしまっている。こんな自分を選んだりなどしたら、カイルーズも汚れてしまう。
「私じゃ、駄目なのよ……」
ユリエはそう呟きながら、両手で顔を覆い、その場に崩れ落ちながら静かに泣き続ける。もしかしたら、自分は心のどこかでカイルーズに惹かれていたのかもしれない。だから、こんなにも悲しいのだ。
これから先、光の中を歩んで行くであろう子供のように無邪気なあの青年と共に歩む事など、最初から無理な事だった。けれど、それでも、こんな自分を好きだと言ってもらえただけで、それだけでユリエは幸せだと思う。
それだけで、充分だ。
そして、このままカイルーズの告白は聞かなかった事にユリエはする事に決めた。
それが、未来ある彼の為だから……。
「え、え、え?」
「あの美貌は、女神の子供であるから仕方ないとして、その知識、頭脳、体力、戦闘力、統率力、要領の良さ、その他もろもろ……すべてにおいて、完璧! パーフェクトなんだよ!」
ありえなくない!? と叫んだカイルーズの迫力がすごくて、ユリエはコクコクと何度も頷きながら思う。
(何だか兄自慢をされているような気がするのは、私の気の所為?)
「どんなに努力しても兄上には敵わないんだよ」
悔しそうに唇を噛むカイルーズの様子を見て、ユリエは彼の事情を悟った。
能力的には大差のない兄弟姉妹の多いユリエはされた事はなかったが、おそらく……、いや、絶対に、彼は、幼い頃より出来過ぎた兄と比べられて育ったのだろう。
だから、レオンハルトに反発している。
(確かにね~)
あの麗人は、すべてにおいて天才だ。何をやらせても、通常の人間よりもはるかにうまくやるであろう。
年が離れている上にレオンハルトの半身であるリュセルは、出来過ぎた兄に反発はないのだろうが、唯一の王位継承者として育てられたカイルーズからすれば、この兄は目の上のたん瘤だったであろう。
でも、それでも、こんなにも優しい顔で、彼は兄の事を嫌いだと告げる。そこまで辿り着くのには、並々ならぬ苦労をしたはずだ。
そう……、我ままで自分の事しか考えていなかった王子時代を経て、カイルーズは王位継承者としての実務をこなす内に、レオンハルトに対して抱いている劣等感を制御するようになっていたのである。
それでも彼は時々思う事があった。
兄なら、もっとうまく事が運べるのではないか? と……。
それはどんな仕事に関しても言えた。
自分などより、口さがない大人達が昔よく言っていたように、レオンハルトの方が王位継承者に相応しいのではないか? その思いは、常に頭の隅にあったのだ。
押し黙ってしまったカイルーズを見つめながら、ユリエは静かに言った。
「でも、あなたは努力を止めなかったのでしょう?」
その言葉に、カイルーズは弾かれたようにして俯いていた顔を上げる。
「お兄様を見返す為? それとも自分の為?」
「それは、国の……民の為に」
ぼんやりと言い返すカイルーズに対し、再びユリエは言った。
「あなたは自分で気づいていないでしょうけれど、とても素晴らしい人よ。レオンハルト王子を疎んで憎むのではなく、自分の民の為に彼に追いつきたいと願っている」
「…………」
カイルーズは優しい響きのあるその声に、何も返す事が出来なかった。
「それは、あなた自身の持つ強さ、とても素晴らしい宝物だわ」
今だかつて、そんな風に言った人がいただろうか。カイルーズは、胸の奥がせつなく苦しくなるのを感じた。
ああ……、駄目だ。
もう、彼女でなければ駄目だ。
自分の妃となる女性は、この女(ひと)しか考えられない。
そう思った瞬間、カイルーズの口は前触れもなく、それを口にしてしまっていた。
「ユリエ姫」
「何?」
そう返事を返すユリエの横顔を見つめながら、それを告げた。
「僕の妻となる人はあなたしかいない。どうか、僕の妻となって欲しい」
まさしく、突然のプロポーズだった。
カイルーズから目を逸らして、咲き乱れる花々を見ていたユリエは、目が点になった。
「…………は?」
そして、ようやくここで、冒頭の場面に戻る訳である。
「……………………………………………………。冗談でしょ?」
過去から現在までの出来事が走馬灯のように頭を巡っていたユリエは、長い沈黙の後、乾いた笑いをたてながらそう言った。
「沈黙長いよ」
即座につっこまれた。
「それは、あなたのその笑えない冗談の所為で、サンジェイラにいた時から現在までの事を軽く思い出していたからよ!」
結構思い出す事はたくさんあったが。
「冗談なんかじゃない」
静かにそう告げたカイルーズの言葉の中に、ユリエは彼が本気である事を感じ取った。
(冗談じゃないって……、こっちだって冗談じゃないわよ)
ユリエはもう、パニック状態だ。
「あ、あなた程の人なら、どんなに美しい女性でも、よりどりみどりで王妃に出来るでしょう!? そ、そうだわ。第一、ツバキという婚約者がいるのに何言ってるのよ!」
そう怒鳴るユリエの顔は真っ赤だ。
「まだ候補というだけだ。正式な婚約者じゃない。彼女には申し訳ないと思うけれど……。それでも、僕は君がいいんだ」
今まで見た事もないような真剣な表情でそう告げられて、ユリエの心臓は破裂しそうにとくとくと高鳴っている。
「ど、どうして、私なの?」
やっとの事で震える声でそう尋ねると、カイルーズはテーブルの上に置かれたユリエの左手に触れた。
「っ!」
驚いたように、ビクリと肩を揺らして身を引こうとするユリエの手を、カイルーズは少し強引に掴む。
「君が、僕を僕として見てくれるからだよ」
そう。最初から、彼女は自分を王位継承者としてだけではなく、一人の人間として見ていてくれていた。
相手の身分に媚びる事なく、言いにくいような事も隠さずにはっきりと口にする、その気性。優しさと強さを合わせ持つ、その性質。
最初に惹かれたのは、彼女の内面だ。
でも、今ではその赤く染まった小さな顔に見惚れてしまう自分がいる。
平凡なはずの顔の中、眼鏡の奥にある薄茶色の意思の強そうな瞳が綺麗だと思う。緊張にきつく結ばれた桃色の小さな唇が愛らしい。
その薄い頼りなげな肩を抱き寄せたいと思うのは、いけない事だろうか? きっと、その小さな体は、すっぽりとカイルーズの腕の中に納まってしまう事だろう。
カイルーズは自分の右手の中に閉じ込めた形になるユリエの左手を恭しい仕草でとると、ゆっくりと頭を下げて、その手の甲に口づけた。
「あ……」
ユリエはあまりにも突然の事に、まぬけな声を出して、傾けられたカイルーズの整った顔を呆然と見守る事しか出来ない。
「君は、僕の事をどう思っているの? 好き? それとも、嫌い?」
真っすぐに見つめられて、そう尋ねられたユリエは、少しの沈黙の後、迷うように言った。
「嫌い……では、ないわ」
「じゃあ、好き?」
「そんな…………、だ、だって、そんな風に考えた事ないもの」
カイルーズの事を妹の婚約者としてだけ考えていたユリエは、混乱したように首を振った。
確かに、この数日で知った、ふとすれば見落としてしまうような優しさや意外な不器用さを好ましいものと感じたし、子供のような我ままや無邪気さを可愛いと感じたりもした。
それに、正直言うと、真っすぐに向けられるカイルーズの好意を嬉しくないと言ったら嘘になる。
でも……。
瞬間、握られていない方の手に、あのおぞましい感触が再び蘇る。
人の肉を絶つ生々しい感触と、手の中に広がった生暖かい血の感触。むせ返るような血の匂い。
「……………………駄目よ」
紡がれたその言葉に、カイルーズはいぶかしげに眉をひそめる。
「私は、駄目なの」
「どうして?」
苛立ったかのように問い返されたユリエは、ささやくように、自分の中にある、決して忘れる事など出来ない過去を告げた。
「私は、自分の父親を殺そうとした事があるのよ」
瞬間、カイルーズは衝撃のあまり思考が停止した。
そしてユリエは、目の前の青年の漆黒の瞳が見開かれるのを見つめながら、とても悲しい想いに捕らわれる。
「汚れてしまっているの。私の両手」
わかっていた事なのに、それでも、とても悲しかった。
目の前の青年に、自分の闇の部分を告げて嫌われる事が、何故かとても悲しかったのだ。
捕らわれていた左手をゆっくりと引くと、呆然としている様子のカイルーズから容易く離れる事が出来る。
「そんな風に言ってもらう資格なんて、私にはないのよ。あなたまで汚れてしまうわ」
そう告げた瞬間、ユリエはあふれる涙を抑える事が出来なかった。
過去に、父、ミゼールを刺したという事実は、大きなしこりとなってユリエの中に残っていたのだった。
「ごめんなさい」
ただ一言そう謝ると、ユリエは椅子から立ち上がり、すべてを放り出したまま、逃げるようにカイルーズの前から立ち去るしかなかった。
バタンッ
「はあはあはあ」
ユリエは自分に与えられた部屋に飛び込むと、涙に濡れた顔を上げる。
絶望に染まっていくであろう、あの王子の顔を見ていたくなかった。
自分は汚れてしまっている。こんな自分を選んだりなどしたら、カイルーズも汚れてしまう。
「私じゃ、駄目なのよ……」
ユリエはそう呟きながら、両手で顔を覆い、その場に崩れ落ちながら静かに泣き続ける。もしかしたら、自分は心のどこかでカイルーズに惹かれていたのかもしれない。だから、こんなにも悲しいのだ。
これから先、光の中を歩んで行くであろう子供のように無邪気なあの青年と共に歩む事など、最初から無理な事だった。けれど、それでも、こんな自分を好きだと言ってもらえただけで、それだけでユリエは幸せだと思う。
それだけで、充分だ。
そして、このままカイルーズの告白は聞かなかった事にユリエはする事に決めた。
それが、未来ある彼の為だから……。
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