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第1話【赤ちゃんってマジですか?】
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【異世界】今時の学生ならきっと一度は想い描くだろう。魔法や剣の世界。ドラゴンや魔王と言ったファンタジーな生物。可愛い女の子。ただの妄想話であり、実際にあるかは誰にも分からない。でも、あったら良いなと僕は思っている。
僕の名前は篠原たかと。ただの男子高校生だ。特出したところはないし、学力も身体能力も平均より少し上くらいだし、誇れる経歴もない。そこら辺のモブTなのである。故に、異世界にはちょっとした憧れを持っている。
とは言ったものの、ここも負けていない。異世界とは正反対の平和な世界だが、ドラゴンがいなくてもそれっぽいのがいるし、魔王みたいに怖いお母さんや、可愛い女の子もいる。それに、ここでは剣よりペンの方が強い。魔法と呼ばれる科学がある。考えてみれば、この世界も十分ファンタジーなのである。
なんて考えていると、いつの間にか学校の正門が近付く。あそこを通れば、いつも通りの1日が始まる。そう思ってやまなかった。
けたたましいクラクションの音がそんな考えを切り裂き、心臓を突き刺す。暴走したトラックが信号無視をして僕が渡っている交差点内に突っ込もうとしている。僕だけならまだよかった。小さな女の子も渡っていたのだ。
僕が少し走って押せば、あの子は助かる。でも確実に死ぬだろう。正直に言えば怖いが、だからって見捨てるなんて出来ない。永劫にも感じる瞬間的な時間の中で、まとまらない思考を放棄して、僕はその子を助けてしまった。
気付けば真っ暗な空間にいた。いや、存在していた。痛みはない。むしろ心地良い。水平線のように広がる黒い空間に、次に瞼を開けた時には、淡い光が遠くにあった。僕は流されるままに、その光に吸い込まれていった。その光の中からは、誰かの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「クレア!産まれたよ、君の子が、元気な男の子だ!」
「私の子…可愛い…産まれてきてくれて、ありがとう…」
僕は重い瞼を頑張って開けて、声の主の顔を拝もうとする。瞼を開けると、眩しい光が目をくすぐってくる。掻こうと手を顔に近付けると、ぷっくり膨らんだ小さな手が、僕の体から生えていることが分かる。体が小さくなってしまった。
「あなたの名前はタカトよ…タカト・エルノール…」
茶髪の女性と黒髪の男性は、僕を見つめて声をかけてくる。機械もない、ただのログハウスのような部屋。扉の側に置かれた剣の形をした何か。信じたくはないが、ここまで来ればもう分かってしまうだろう。僕は異世界に生まれ変わってしまったようだ。
僕の名前は篠原たかと。ただの男子高校生だ。特出したところはないし、学力も身体能力も平均より少し上くらいだし、誇れる経歴もない。そこら辺のモブTなのである。故に、異世界にはちょっとした憧れを持っている。
とは言ったものの、ここも負けていない。異世界とは正反対の平和な世界だが、ドラゴンがいなくてもそれっぽいのがいるし、魔王みたいに怖いお母さんや、可愛い女の子もいる。それに、ここでは剣よりペンの方が強い。魔法と呼ばれる科学がある。考えてみれば、この世界も十分ファンタジーなのである。
なんて考えていると、いつの間にか学校の正門が近付く。あそこを通れば、いつも通りの1日が始まる。そう思ってやまなかった。
けたたましいクラクションの音がそんな考えを切り裂き、心臓を突き刺す。暴走したトラックが信号無視をして僕が渡っている交差点内に突っ込もうとしている。僕だけならまだよかった。小さな女の子も渡っていたのだ。
僕が少し走って押せば、あの子は助かる。でも確実に死ぬだろう。正直に言えば怖いが、だからって見捨てるなんて出来ない。永劫にも感じる瞬間的な時間の中で、まとまらない思考を放棄して、僕はその子を助けてしまった。
気付けば真っ暗な空間にいた。いや、存在していた。痛みはない。むしろ心地良い。水平線のように広がる黒い空間に、次に瞼を開けた時には、淡い光が遠くにあった。僕は流されるままに、その光に吸い込まれていった。その光の中からは、誰かの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「クレア!産まれたよ、君の子が、元気な男の子だ!」
「私の子…可愛い…産まれてきてくれて、ありがとう…」
僕は重い瞼を頑張って開けて、声の主の顔を拝もうとする。瞼を開けると、眩しい光が目をくすぐってくる。掻こうと手を顔に近付けると、ぷっくり膨らんだ小さな手が、僕の体から生えていることが分かる。体が小さくなってしまった。
「あなたの名前はタカトよ…タカト・エルノール…」
茶髪の女性と黒髪の男性は、僕を見つめて声をかけてくる。機械もない、ただのログハウスのような部屋。扉の側に置かれた剣の形をした何か。信じたくはないが、ここまで来ればもう分かってしまうだろう。僕は異世界に生まれ変わってしまったようだ。
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