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第2話【異世界ってマジですか?】
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赤ちゃんになって1ヶ月ほどが経っただろう。毎日がミルクを飲んで寝るの繰り返し。生前の記憶を持っていたとしても、歩くことはおろか、立ち上がることすらままならない。
なんて不憫な体なんだ…
来たばかりの頃は、死んでしまったショックと、あっちの世界にいる僕の家族達や学友達のことを思い出して、昼夜問わず泣きわめいてしまい、クレアさんとダンテさんには迷惑をかけてしまった。
クレアさんはこの体の母親で、ダンテさんは父親。2人とも育児に熱心で、目を離してくれないから下手なことが出来ない。それが普通なのかもしれないが、心は高校生の僕が赤ちゃん扱いされていることに、むず痒さを感じてしまう。父さんも母さんも、こんな風に僕を育ててくれたのかな。
悔いはある。でも、あの子を助けたこと自体に後悔はしていない。例えあそこで助けないと言う選択をしたら、目の前でそう言う場面を見ることになってしまう。どっちにしろ、僕の生活は一変していただろう。
悲しんでくれただろうか
家族仲はそれなりによかった方だ。休日は父さんと釣りに行き、母さんの買い物には必ずついていっていた。お使いも、欠かしたことはない。良く外食に連れていってくれたし、旅行も沢山行った。学友とも長く濃い時間を過ごした。どれも大切な僕の思い出だ。
僕が死んでいなければ、そんな生活が続いていたのだろうか。どうか、僕の大切な人達が悲しんでいませんように。今の僕に出来ることは、祈ることだけ。
日が落ちてまた上る度、体ではなく心が覚えている。
学校行かないと
その度に一抹の悲しみが僕を襲っていたが、最近はめっきり慣れてしまった。強くなったと言っていいのか、それともあっちへの憂いが少しずつ薄れてきているのか。
考え事をしていると、クレアさんが僕を抱っこする。
「タカト、お散歩しよっか」
きっとつまんなそうな顔をしていたのだろう、本当に申し訳ない…
お散歩コースは決まって森の中を歩く。2キロ以上ある赤ちゃんを腕に抱きながら歩くのだから、相当きついはず。産んだばかりなのだから、休んでいてもいいのに。そんなことを思ってしまうのは野暮かな。
家の近くの森は、他の子供達も遊びに来たりする。虫を捕ったり、追いかけっこをしたり。公園のような場所だ。
その時、そんな場所には似つかわしくない黄色い声が聞こえてくる。
「ダンテさん!いつもお疲れ様です!」
「ダンテさん、タオルです!」
ダンテさんが剣の鍛練をしているところに、若い女性達が集まっている。まるで鍛練ライブだ。イケメンで細マッチョ、そしてここ【ミイン領】【クローブ村】の警備隊長をしているのだから、モテるのは仕方が…ん?
ひぃ!?
クレアさんが今まで見たこと無いような顔でダンテさんに怨念めいた視線を送っている。まるで包丁のような鋭い視線に気付いたのか、鼻の下を伸ばしていたダンテさんは畏怖し、ファン達はそそくさと離れていく。
「あなた…」
「な、なんだいクレア…」
「後でお話があります」
ダンテさんは鍛練をしているとき以上の汗、冷や汗、脂汗を滝のように流しながら膝から崩れ落ちた。心なしか泣いていたような気もする…ドンマイ。
「ごめんなさい、タカト。アレもアレでいいところはあるのよ?」
もはやアレ呼ばわりである。
森を後にして、家に帰ってきた僕はリビングに置いてあるベビーベッドに寝かされ、クレアさんは夕飯の用意をし始めた。
こっちの世界の料理はとても質素だ。調味料が貴重なのかほぼ素材の味だけでの勝負。スープも素材の味がする白湯のようなものばかり。カレーなんて食べたら美味しすぎて失神するかも。
いつか食べさせてあげたいな
そんな風に、これからの異世界生活に想いを馳せながら、僕は眠りにつく。深夜に聞こえたダンテさんの声に似た悲鳴は、僕の幻聴だと願いたい。
なんて不憫な体なんだ…
来たばかりの頃は、死んでしまったショックと、あっちの世界にいる僕の家族達や学友達のことを思い出して、昼夜問わず泣きわめいてしまい、クレアさんとダンテさんには迷惑をかけてしまった。
クレアさんはこの体の母親で、ダンテさんは父親。2人とも育児に熱心で、目を離してくれないから下手なことが出来ない。それが普通なのかもしれないが、心は高校生の僕が赤ちゃん扱いされていることに、むず痒さを感じてしまう。父さんも母さんも、こんな風に僕を育ててくれたのかな。
悔いはある。でも、あの子を助けたこと自体に後悔はしていない。例えあそこで助けないと言う選択をしたら、目の前でそう言う場面を見ることになってしまう。どっちにしろ、僕の生活は一変していただろう。
悲しんでくれただろうか
家族仲はそれなりによかった方だ。休日は父さんと釣りに行き、母さんの買い物には必ずついていっていた。お使いも、欠かしたことはない。良く外食に連れていってくれたし、旅行も沢山行った。学友とも長く濃い時間を過ごした。どれも大切な僕の思い出だ。
僕が死んでいなければ、そんな生活が続いていたのだろうか。どうか、僕の大切な人達が悲しんでいませんように。今の僕に出来ることは、祈ることだけ。
日が落ちてまた上る度、体ではなく心が覚えている。
学校行かないと
その度に一抹の悲しみが僕を襲っていたが、最近はめっきり慣れてしまった。強くなったと言っていいのか、それともあっちへの憂いが少しずつ薄れてきているのか。
考え事をしていると、クレアさんが僕を抱っこする。
「タカト、お散歩しよっか」
きっとつまんなそうな顔をしていたのだろう、本当に申し訳ない…
お散歩コースは決まって森の中を歩く。2キロ以上ある赤ちゃんを腕に抱きながら歩くのだから、相当きついはず。産んだばかりなのだから、休んでいてもいいのに。そんなことを思ってしまうのは野暮かな。
家の近くの森は、他の子供達も遊びに来たりする。虫を捕ったり、追いかけっこをしたり。公園のような場所だ。
その時、そんな場所には似つかわしくない黄色い声が聞こえてくる。
「ダンテさん!いつもお疲れ様です!」
「ダンテさん、タオルです!」
ダンテさんが剣の鍛練をしているところに、若い女性達が集まっている。まるで鍛練ライブだ。イケメンで細マッチョ、そしてここ【ミイン領】【クローブ村】の警備隊長をしているのだから、モテるのは仕方が…ん?
ひぃ!?
クレアさんが今まで見たこと無いような顔でダンテさんに怨念めいた視線を送っている。まるで包丁のような鋭い視線に気付いたのか、鼻の下を伸ばしていたダンテさんは畏怖し、ファン達はそそくさと離れていく。
「あなた…」
「な、なんだいクレア…」
「後でお話があります」
ダンテさんは鍛練をしているとき以上の汗、冷や汗、脂汗を滝のように流しながら膝から崩れ落ちた。心なしか泣いていたような気もする…ドンマイ。
「ごめんなさい、タカト。アレもアレでいいところはあるのよ?」
もはやアレ呼ばわりである。
森を後にして、家に帰ってきた僕はリビングに置いてあるベビーベッドに寝かされ、クレアさんは夕飯の用意をし始めた。
こっちの世界の料理はとても質素だ。調味料が貴重なのかほぼ素材の味だけでの勝負。スープも素材の味がする白湯のようなものばかり。カレーなんて食べたら美味しすぎて失神するかも。
いつか食べさせてあげたいな
そんな風に、これからの異世界生活に想いを馳せながら、僕は眠りにつく。深夜に聞こえたダンテさんの声に似た悲鳴は、僕の幻聴だと願いたい。
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