荒俣凡三郎

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2020年7月

7月30日 開かれた緑のマークくぐり抜け  群青の空飛空船飛ぶ

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 少し前まで、家族五人で仲良く話しているところだった。それが突然灰色の絨毯が敷かれた通路へと場面が転換される。

 それを見たとき上野にある漫画喫茶のようだと思った。灰色の絨毯が敷かれ、白い壁が幅1メートル程の空間を空けて両隣からまっすぐ奥へと伸びている。途中二カ所、曲がれる場所があり、突き当たりには白い壁と観葉植物が置いてあった。緑は精神的を癒やしてくれる。

 途中途中、四角いガラス戸、そこはカラオケルームのようだ。ーー漫画喫茶はだいたい中が見えないようになっている。そんな扉が並ぶ先、突然無音だった通路でブザーのように短い間隔で、危機感を煽るような音の尻が高音になるサイレンが鳴った。一瞬、視界の中が赤く点滅したようにも見える。

 すぐに歩き出した。通路の奥へと進み、最初の曲がり通路は無視して、さらに奥へと進み、その奥にある曲がれる通路を左へと曲がった。
その先には白い扉とその上には緑のマーク。非常口なのだろう。だが緊急事態のサイレンであることを告げるように、扉は自動で開かれた。逃げろ、ということか。

 そのまま進むとその先には紺の鉄骨階段、そしてそのまま空中ショッピングモールと呼ばれるような高く広い広場に出た。それは通路の役割を果たしていて、続く道には必ず大きなビルへと繋がっていた。

 鉄骨階段から空を見た。頭上には飛空船。バルーンのような巨大な本体に、腹元には操縦席か、金属製の部屋が見える。その先には、青々とした深く濃い青。色鉛筆で塗ったような鮮やかに発色するような青がそこには広がっていた。所々で赤いランプが光っている。

 ようやく世界に争いがやってきた。


 ーーーーーー


 目が覚めると、時計の白い縁に囲まれた数字版の上、針の先は七の数字を指していた。めがねをかけて、体を起こすと歯を磨いて、顔を洗った。神様のお世話をしようと台所を出ようとした、その時。

 甲高いアラームが鳴った。音の出所はiPhone。うるさい、と素早く止めるがアラームは止まらない。起きてきた家内も早い動きでアラームを止めた。しかしアラームは止まらない。

 地域でアラームが鳴っていた。こんなの初めてだ。
 もしかしたら本当に、何かが起きるのかもしれない。

 これまでの平和は、今日でももう最後なのかもしれない。
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