失格勇者の剣聖無双

来栖川

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風雲は急を告げている2

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(もう、持たんか・・・。) 

結界はすべてを護ってきた。魔王軍から、魔物から、自然の驚異から・・・妖精の村、グランハイランド開闢の時代から10000年以上もこの地を護ってきた。人類が一度滅びの時を迎え、言い伝えではこの村や他の妖精族や精霊族の村は元々一つの国を形成し、人類が栄えるまで守護したとのこだ。本当かどうかは定かではない。だが、現在でも王族や皇族は必ず彼らのもとに訪れ、族長に跪く・・・まあ、そのあとは家族の様に全員酒浸りになるのだが・・・。 

(だが、この村が滅んだとて勇者はわしの時代にたくさん生まれた。それにシルフ様の力を受け継いでいるシルフィーは逃がした。きっと我らの意をくんで、立派にやってくれるだろう。) 

族長である老人、イフェーリカは妻であるノーメルンにそう話す。ノーメルンは何も言わず、炎をただじっと見続けている。聞いていないわけではない。ただ、妖精族はここで滅びようとも随分と長くあったなとそう思っている。斜陽の時が急に訪れて感慨にふけっているイフェーリアを見て、やはり老人だなと、まあいつもそう言っているしなとそう思っていた。 

(族長、老人が気張らなくていいんですか?何人か死んだみたいですが・・・。) 

(ノーメルン、お主はいつも美しい。そして、冷静じゃな。) 

(あなたの適当さには普段から悩ませられていますから。前妻様がお亡くなりになり、1000年ほどですか。あなた様の妻になってからはいろいろとありましたが、まあ退屈はしなかったと思います。) 

(ふ、あの時のわしのプロポーズはかっこよかったじゃろ!) 

(はいはい。カッコーヨカッタデスネ。) 

彼女は適当にあしらうと心の声が漏れ出てしまう。今回はだめかもしれない。何十人もの戦士が死んだ。それにデカい魔力の塊を感じる。あれは勇者にしか倒せないものだ。ただ、ノーメルンやイフェーリカは5000年は余裕で生きている。いまさら死んだところで老害が死ぬだけだと心の奥底から思っているだけなのだ。ただ、心配することは世界が魔王にとられること。それだけだった。 

(それに、来たようじゃしの。心配ないだろうて。) 

(イッタイゼンタイナンデナンデそんな適当なことを連呼できるかを聞きたいです。) 

(は!ノーメルンはたかが6000年じゃ。対して儂は9000年。儂はこの地に生を受け、3000年前から族長やってる妖精じゃ。そしたらわかるようになるんじゃよ。) 

(何がでしょうか?) 

(聖剣と言うのは他の神聖装備とは全く違う。それを授ける女神も他の女神とは違う。聖剣は魔の王を唯一倒せる武器なんじゃよ。) 

(・・・だから何です?まさか聖剣の勇者が来ましたか?) 

(いや、その器がここに来た。) 

イフェーリカが立ち上がるとノーメルンは思った。 

(あ、ロクでもない顔してる。) 

(あ、わかる。わかっちゃうのか~。) 

にやにやした顔を浮かべながら老人は笑った。久しぶりのおもちゃを手にしかのたような高揚感。 

(しかし、私は何も感じませんね。高速で近づいてくる隕石のような感じですか。) 

(それがいいんじゃよ。久方ぶりの面白い光景が見れるのじゃからな。ああー興奮してきた!儂!行ってくる!ノーメルン火の管理よろしく!) 

わーいわーいと言って走って出て行ってしまった。 

(っち!あの爺とまだ一緒ですか。いっそ死んでください。) 

ノーメルンは火に向かって悪態をついた。炎に薪をくべると時間が来れば燃え尽きる。すべてはそういうことなのだった。 
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