【R18】特殊スキルは聖水でした。

日向沖

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1章 王都ルーデリー 出会い編

1-5 身分証とは

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 目を覚ますと、ナツキはすでに起きていた。

「お、おはよう、フクダ殿。」

 やはり昨日の事は夢ではないようだ。
 顔を赤らめながらも、元気な姿のナツキがあいさつをしてきた。
 なんだかこちらも恥ずかしくて

「お、おはようございます。」

 少し噛んだ。

ーーーーーーーーーー

 しばらく無言が続いたが、ミーシャが起きてくると昨日の事について話始める。

「一晩考えてみたんだけど、やっぱりおかしいと思うの。
 いくらナツキの治癒力が高くても、少量の尿で回復するとは思えない。
 恐らくだけど、カズ君の何らかのスキルが影響してるのは間違いないと思う。」

 いつの間にやら呼び方がカズ君になっている。
 真剣な話ではあるのだが、内容が内容だけにナツキは顔を赤らめ下を向いてしまった。

「憶測の域を出ないのだけど、恐らく「聖水」の亜種なんじゃないかしら?
 街に戻って確認する必要があるわ。」

 「聖水」とは何だろうか?

「「聖水」は基本的に聖女クラスの「女性」が持っているスキルなんだけど、今まで男性修得者は一人もいない、と言われてるわ。」

「あなたのこれからの為にも、まずは街で身分証を発行しましょう。
 しばらくは一緒に行動したほうが安全だと思うし。」

 彼女の申し出は素直にありがたいが、ナツキはそれでいいのだろうか?
 彼女の方を見ると、小さく

「そうだな。」

 とつぶやいた。

ーーーーーーーーーー

 それからさらに一日、ナツキの回復を待ったが、驚きの回復力ですでに万全のようだ。

「世話をかけさせてしまった、街へ向かおう、フクダ殿、ミーシャ」

「ナツキ~、フクダ殿って固いよ~。
 少なくとも街に着くまではチームなんだからカズ君って呼ばなきゃ。」

 ねー。と言ってこちらに返事を求めるミーシャ。
 少し気恥しいが、嬉しさもある。

「カズ君でいいですよ。」

 そういうとナツキは顔を赤くしながら。

「そ、そうか、カズく、殿。」

 と呼んだ。(めちゃくちゃカワイイ。)

ーーーーーーーーーー

 街へ向け歩きながら二人の出会いなどを話してくれた。

 貿易が盛んな新興国ルーデリア、百数十年前に出来たばかりで、よそ者、他種族を迎えて勢力を拡大した国。
 「神々の遺跡」と呼ばれる古代遺跡が近くにあり、富と名声を求めて各地から力自慢が集まる。
 ナツキの兄も遺跡調査をしていたが、数年前から連絡が取れなくなり、確認の為に訪れたナツキ。
 「世界を見たい!」の好奇心で田舎を飛び出したミーシャ、数カ月前にルーデリア首都ルーデリーで出会った二人は自然と気が合い、チームとして遺跡調査を行うようになったそうだ。

 遺跡に剣と魔法、子供の頃夢見て、いつか諦めた世界。
 ワクワクしないと言えばうそになるが、それ以上に不安が大きのは年を取ったからだろうか。
 二人の年は見た目からは想像できない、この世界の常識として、聞いていいのかも分からない為、聞けずにいたが無駄な気遣いだったのかもしれない。

「これが身分証明書だよ。」

 そういってミーシャが見せてくれたものは、名刺サイズの鉄板に表示された文字、

 ミーシャ 兎人族
 16歳   Lv20
 
「種族と年齢、レベルに関しては表示義務が有るの。
 スキルに関しては「鑑定スキル」のLV5以上じゃないと見ることが出来ないから安心して。」

 そういって鉄板を懐に入れる。

ーーーーーーーーーー

 道中、角の生えた猪のような生物と何度か戦闘になったが、役に立つことはなく二人の戦闘を眺める。
 ナツキはもちろんだが、ミーシャもなかなかの戦闘力だ。
 全然役には立てなかったが、荷物運びで多少力にはなれたと思う。

「この辺までくれば街道も整備されてるし安全だよ。」

 ほっと胸をなでおろす。
 なんだかんだで「魔物」との戦闘が続き、何もしてなくても疲労度はなかなかだった。

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