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1章 王都ルーデリー 出会い編
1‐40 ナツキの兄と「神々の遺跡」
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最初に向かったのは冒険者ギルドだ。
俺の身分証を最新の物に更新してもらう。
これで晴れて成人だ。
身分証の更新中にナツキは手続きを済ませたようだ。
「カルドラに向かう商人の護衛を引き受けてきました。」
カルドラへの最短距離は早馬か鳥馬で2・3日らしいが、そのほとんどは軍の定期通信用で、冒険者や一般の人は馬車を利用するらしい。
今回は3日後にカルドラへ向かう商人がいる為、道中の護衛の報酬に荷車1台専有を含めてもらったそうだ。
「途中二つの町を経由しますので、カルドラに到着するのは10日後になります。」
護衛任務は初めてだ、緊張はするが皆が一緒なら何とかなる気がする。
「気負いすぎなくても大丈夫です。
移動の大半は安全なルートを通りますが、厄介なのは盗賊です。
私達のような冒険者が同行しているだけで彼らはほとんど襲ってきませんから、一緒にいるだけで商人にとっては助かるのです。」
WIN-WINの関係は好きだ。
ーーーーーーーーー
街を出るのが3日後と決まってから、少し余裕が出来たため、ナツキはアルトの店へ行こうと提案する。
理由はすぐに分かった。
「なるほどね、寂しくなるけど…
任せな!」
アルミラは事情を聴くと寂しそうな眼をしたが、直ぐに頼もしく胸を叩く。
ここは街一番の万事屋、必要なものはまとめて発注すれば、アルミラがすべて揃えてくれる。
「何だよ、随分長い間帰って来ないんだな!」
奥からアルトが出てくる。
話を聞いていたようだ。
「この刀でどこまでやれるか、全力で試してきます。」
アルトの自信作を手に、ナツキがそう宣言すると、嬉しそうに頷いた。
「お前さんなら、一番の使い手になると疑っちゃいないよ。
だから、生きて帰ってこい…」
最後の方は少し寂しそうで、それを見ていたアルミラも何も言わなかった。
ーーーーーーーーー
お店を出て、近くのお店でお茶をする。
「言いにくかったら別にいいんだけど。」
それだけ言うと、理解したナツキは軽くクビを横に振り
「いえ、隠すことではないので。」
それは、彼女がこの街に来たのと関係する事だった。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
まだナツキが12歳の頃、鬼の国でも5本の指に入ると言われた兄が、仲間と共にルーデリーへと旅立っていった。
兄に憧れていたナツキは、定期的に送られてくる兄からの手紙を楽しみにしていた。
ナツキが18歳になった頃、兄からの手紙は来なくなっていた。
兄の強さに憧れていたナツキは、後を追ってルーデリーへとやってくる。
そこで知ったのは、上級冒険者になった兄が「神々の遺跡」深部へと仲間と潜ったきり、もう1年も戻って来ていないという話だった。
「神々の遺跡」は普通のダンジョンとは違う。
現代技術では到底作りえない機械式の内部構造や、守護神のゴーレム。
魔物とは違う「何か」が侵入者を拒む。
だが、一部ダンジョン化してる場所もあり、魔物とゴーレムと冒険者の三つ巴状態もあるという。
ナツキも何度か挑戦している内に仲間が必要だと思い知り、その後街へやってきたミーシャとパーティーを組んだそうだ。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「兄の使っていた刀を作ったのも、アルト殿らしい。
兄の力を信頼し、当時の最高傑作を託した。
その兄が帰って来なかった事実は、彼にとっても…」
アルトの言葉は、単純なお世辞ではない気がする。
勝手な想像にしか過ぎないが。
「アルトさんは、ナツキがお兄さんを越えられると、本気で言ってた気がする。」
慰めととらえられてもいい。
「不思議ですね、私もそう思います。
だから、もっと自分を信頼しなくてはいけないのです。
自分を信じてくれる人を裏切らない為に。」
グリーグ島での生活は、きっと俺たちを強くするだろう。
ナツキの為に何かできるとするなら、俺も仲間も強くなって「神々の神殿」に挑める力をつける事だろう。
俺の身分証を最新の物に更新してもらう。
これで晴れて成人だ。
身分証の更新中にナツキは手続きを済ませたようだ。
「カルドラに向かう商人の護衛を引き受けてきました。」
カルドラへの最短距離は早馬か鳥馬で2・3日らしいが、そのほとんどは軍の定期通信用で、冒険者や一般の人は馬車を利用するらしい。
今回は3日後にカルドラへ向かう商人がいる為、道中の護衛の報酬に荷車1台専有を含めてもらったそうだ。
「途中二つの町を経由しますので、カルドラに到着するのは10日後になります。」
護衛任務は初めてだ、緊張はするが皆が一緒なら何とかなる気がする。
「気負いすぎなくても大丈夫です。
移動の大半は安全なルートを通りますが、厄介なのは盗賊です。
私達のような冒険者が同行しているだけで彼らはほとんど襲ってきませんから、一緒にいるだけで商人にとっては助かるのです。」
WIN-WINの関係は好きだ。
ーーーーーーーーー
街を出るのが3日後と決まってから、少し余裕が出来たため、ナツキはアルトの店へ行こうと提案する。
理由はすぐに分かった。
「なるほどね、寂しくなるけど…
任せな!」
アルミラは事情を聴くと寂しそうな眼をしたが、直ぐに頼もしく胸を叩く。
ここは街一番の万事屋、必要なものはまとめて発注すれば、アルミラがすべて揃えてくれる。
「何だよ、随分長い間帰って来ないんだな!」
奥からアルトが出てくる。
話を聞いていたようだ。
「この刀でどこまでやれるか、全力で試してきます。」
アルトの自信作を手に、ナツキがそう宣言すると、嬉しそうに頷いた。
「お前さんなら、一番の使い手になると疑っちゃいないよ。
だから、生きて帰ってこい…」
最後の方は少し寂しそうで、それを見ていたアルミラも何も言わなかった。
ーーーーーーーーー
お店を出て、近くのお店でお茶をする。
「言いにくかったら別にいいんだけど。」
それだけ言うと、理解したナツキは軽くクビを横に振り
「いえ、隠すことではないので。」
それは、彼女がこの街に来たのと関係する事だった。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
まだナツキが12歳の頃、鬼の国でも5本の指に入ると言われた兄が、仲間と共にルーデリーへと旅立っていった。
兄に憧れていたナツキは、定期的に送られてくる兄からの手紙を楽しみにしていた。
ナツキが18歳になった頃、兄からの手紙は来なくなっていた。
兄の強さに憧れていたナツキは、後を追ってルーデリーへとやってくる。
そこで知ったのは、上級冒険者になった兄が「神々の遺跡」深部へと仲間と潜ったきり、もう1年も戻って来ていないという話だった。
「神々の遺跡」は普通のダンジョンとは違う。
現代技術では到底作りえない機械式の内部構造や、守護神のゴーレム。
魔物とは違う「何か」が侵入者を拒む。
だが、一部ダンジョン化してる場所もあり、魔物とゴーレムと冒険者の三つ巴状態もあるという。
ナツキも何度か挑戦している内に仲間が必要だと思い知り、その後街へやってきたミーシャとパーティーを組んだそうだ。
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「兄の使っていた刀を作ったのも、アルト殿らしい。
兄の力を信頼し、当時の最高傑作を託した。
その兄が帰って来なかった事実は、彼にとっても…」
アルトの言葉は、単純なお世辞ではない気がする。
勝手な想像にしか過ぎないが。
「アルトさんは、ナツキがお兄さんを越えられると、本気で言ってた気がする。」
慰めととらえられてもいい。
「不思議ですね、私もそう思います。
だから、もっと自分を信頼しなくてはいけないのです。
自分を信じてくれる人を裏切らない為に。」
グリーグ島での生活は、きっと俺たちを強くするだろう。
ナツキの為に何かできるとするなら、俺も仲間も強くなって「神々の神殿」に挑める力をつける事だろう。
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