【R18】特殊スキルは聖水でした。

日向沖

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2章

2-42 異界の文字

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 日記を鞄にしまい、部屋の中を見渡す。

 日記にはゴーレムを停止させる為の術式を組み込んだと書いてあったが、他に手掛かりになりそうなものは無い

 前回ゴーレムを直接『把握』したときは停止する為の手順は読み解けなかった。

 この部屋に手掛かりがなければ、「サーグベルト」以外には止めることが出来ないのかもしれない。

 外の様子が心配だ。

 外へ出ようとするとシルフィが鳴き声を上げる。

「キュイ、キュイ!」

 どうやらここを読み取れと合図しているようだ。

 シルフィの方へ近づき、『把握』する。

〇隠し扉
 解除キーは「シルドリアへ栄光あれ」

 読み取った言葉をそのまま発言する。

 すると、地面が光り階段が出現する。

 階段を降りるとそこは10畳ほどの広さの部屋だ。

 台座が有り、その上には大きな魔石が有る。

 魔石を調べる。

〇黒魔石・核
 ゴーレムへの魔力補助、命令伝達装置
 
 これだ。

 しかし肝心な停止方法が分からない。
 
 魔石に魔力を流し込み、止まれと念じる。

 外の様子が分からない為、止まったかどうか知るすべはない。

 部屋の中にあるのはこの魔石だけ。
 
 停止していればよし、そうでないなら撤退したほうが良いだろう。

 「聖水(改)」も無限ではないし、コアは残り9個も有る。

 魔石を持ち出すのは止めておいた。

 直感的に持って帰るとやばい気がしたのだ。

 日記を持ち帰ろうと思ったときはこれほどの寒気はしなかった。

 触らぬ神に祟りなし。

 隠し部屋を出る前に仏さまに手を当て

「少しお借りします。」

ーーーーーーーーー

 外では戦闘が続けられていた。

 最初に破壊した頭のコア以外は破壊出来ておらず。

 皆だいぶ疲労しているようだ。

 俺はシルフィに乗って入り口を目指す。

「撤退しよう!」

 大きく叫ぶと、ゴーレムの破壊ではなく足止めへと時間を使ってくれる。

 何とか入り口付近まで逃げ切ると、他の皆もゴーレムから離れる。

 やはり距離を開けると追ってこない。

「皆、大丈夫?」

「なんとかね…」

 俺の問いにリーズが答える。

 いつもの陽気な彼女ではなく、疲れが見える。

「そっちはどうだった?」

 俺は手帳を取り出して見せる。

「サーグベルトらしき人の白骨が有った。
 その横にこれが。」

 カリーナはその文字を見て驚く。

「この文字に見覚えがあるの?」

「はい、王立図書館で見た「異界の文字」にそっくりです。」

 異界の文字…

 考えもしなかった。

 この世界に「迷い人」つまり他の世界の人が幾度となく現れているのなら、その文字を国などが保管していても不思議ではない。

 もしかすると、日本語や英語などの文字も有るかもしれない。

「ですが、どの文献で見たかまでは覚えてません…
 本国へ送って、解析してもらいましょう。」

 専門家が見ればもっと情報が分かるかもしれない。

「カリーナ、お願いがある。
 これは「彼」に返したい。
 だから送るのは書き写しでもいい?」

 違う世界で亡くなった彼を、いずれ埋葬してやりたい。

 その時、この日記も一緒に埋めてやりたいのだ。

「そうですね、この手帳はあなたの「戦利品」です。
 あなたがそうしようというのなら、問題ありません。」

 よかった。

「あとは戻ってから話して。
 疲れたから帰りましょ。」

 リーズの言葉に頷き、ダンジョンを後にする。
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