夜薔薇《ナイト・ローズ》~闇夜に咲く薔薇のように

椎名 将也

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第1章 運命の女神

8 一回戦

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 ギルドマスターであるアイザックの開始の合図とともに、二メッツェ近いランドルフの巨体がアトロポスに肉迫してきた。同時に、右肩に担ぐように構えた両手大剣クレイモアが凄まじい唸りを上げながらアトロポスに襲いかかってきた。

(思ったよりはスピードがありそうだけど、ダリウス将軍の半分もないわね)
 左前方にステップをしてランドルフの攻撃を躱すと、アトロポスは冷静に彼の実力を推し量った。
 ズドーンッという轟音とともに、空を切った両手大剣クレイモアが訓練場の床に刺さり、土砂を巻き上げながら直径一メッツェほどのクレーターを作った。

(攻撃力だけはあるわね。あんなのまともに受けたら、剣が折れちゃう)
 床に刺さった両手大剣クレイモアを引き抜くと、ランドルフが再びアトロポスに向かって突進してきた。今度は左腰だめに両手大剣クレイモアを構えていた。逆袈裟に斬り上げるつもりのようだった。

 凄まじい風斬り音とともに右下から迫ってくる両手大剣クレイモアを、アトロポスは軽やかに後方へ跳んで躱し、宙で一回転しながら着地した。
「ちょこまかしやがって! これならどうだッ!」
 ランドルフが膂力に任せて滅多斬りをするかのように、上から横から斜めから下からと両手大剣クレイモアで斬りつけてきた。

(よくあんなに重たい剣を振り回して疲れないわね。見た目通り巨猿ゴリラ並みの体力なのかしら?)
 アトロポスは感心しながらも、ランドルフの攻撃をすべて見切って躱していた。
「あっ!」
 だが、どこかに慢心があったのか、最後の一撃がアトロポスの体の一部を斬り裂いた。

(よくも、私の大事な髪をッ!)
 ステップを踏んで攻撃を躱した際、舞い上がった黒髪の先端を五セグメッツェほど両手大剣クレイモアが斬り裂いたのだ。
(頭きたッ! 手足くらいなら斬り落としてもいいって言ってたわよね!)
 アトロポスは初めて全力で疾駆した。

「ハッ!」
 一瞬のうちにランドルフの懐に入ると、短い気合いとともに細短剣スモールソードで居合抜きを放った。
「え……?」
 ドスンと音を立てて両手大剣クレイモアを握っている両手の肘から先が地面に落ちた。ランドルフは残された両手の上腕部を呆然と見つめると、次の瞬間絶叫を放った。

「ぎゃあああ! 腕があああ!」
 その悲鳴がきっかけになったのか、斬り落とされたランドルフの両肘から凄まじい鮮血が噴出した。
 アトロポスは大きく左に跳んで鮮血を避けると、アイザックの方を振り向いて告げた。

「ギルマス、すみませんが上級回復ポーションを飲ませてあげてくれませんか?」
「ああ。分かった。第一回戦は、ローズの勝利とする」
 そう告げると、アイザックは右腰にある革製のポーション入れから青い液体の入った小瓶を取り出して、激痛のあまり地面を転げ回っているランドルフの方へ歩いて行った。

(相手の腕を切り落として平然としているなんて、あの歳でどれだけの修羅場をくぐってきたんだ? これは二回戦が楽しみだな)
 涙を流しながら暴れるランドルフを膝で押さえつけると、アイザックは彼の口に小瓶を押しつけて無理矢理ポーションを飲ませた。
 ランドルフの両肘が光輝に包まれると、次の瞬間、両肘から先が生えた・・・

(本当に四肢の欠損を復元するんだ。それも、一瞬で……。私の左頬の刀傷が治るくらい当たり前だったのね)
 上級回復ポーションの効果と即効性を目の当たりにし、アトロポスは驚愕しながらも納得をした。

「ローズって言ったな? あんた、強えな。完敗だ」
 上級回復ポーションで両腕も元通りとなったランドルフが、アトロポスに声を掛けてきた。
「ありがとうございます、ランドルフさん。痛い思いをさせてすみません。ランドルフさんに斬られてちょっと頭にきちゃったんで……」
「え? 俺の両手大剣クレイモアはあんたにかすりもしなかったはずだが……」
 アトロポスの言葉に首を捻りながら、ランドルフが言った。

「これですよ。ほら、五セグメッツェくらいバッサリと……」
 左耳から頬に流れている黒髪の先端を掴むと、アトロポスが笑いながらランドルフに告げた。一瞬、ポカンとした表情を浮かべていたランドルフは、アトロポスの言葉の意味に気づくと爆笑した。
「そうか、髪か! それは悪かったな! 髪は女の命とも言うからな。お詫びに今度酒でも奢るぜ」
 そう言うと、ランドルフは大きな右手をアトロポスに差し出してきた。

「ありがとうございます。では、優勝できたら奢ってください」
 笑顔でそう告げると、アトロポスはランドルフの手を握り返した。まるで大人と子供が握手しているようだった。
「任せとけ! 頑張れよ、『夜薔薇ナイト・ローズ』」
 アトロポスの手を離すと、ランドルフは右手を上げて激励の言葉を送ってくれた。
「はい!」
 思ったよりもいい人だと、アトロポスは彼の第一印象を上方修正した。


 一回戦を無事突破したアトロポスは、他の試合を観戦するためにシルヴァレートの元に戻って隣りに腰を下ろした。
「ただいま、シルヴァ」
「お疲れ、ローズ。一回戦突破おめでとう」
「ありがとう。次の試合の勝者が二回戦の相手になるのよね?」
 アトロポスは闘技場の真ん中に立つ二人の冒険者に視線を移しながら言った。

 一人は金属鎧メタルーマーに身を包んだ長身の男だった。全身に鎧を身につけているため筋力は分からなかったが、肩幅も広くガッシリとした体型だった。頭部は兜を被っておらず、赤みがかった髪を短く切り上げた二十代半ばの男性だった。長剣と盾を携えており、冒険者と言うよりも騎士のように見えた。

 それとは対照的にもう一人は山賊のような格好だった。着ている物も動物か魔獣の毛皮であり、鎌形刀剣ファルシオンと呼ばれるかまのような肉厚で幅広の短刀を両手に持つ二刀流だった。毛皮から覗く胸筋は厚く、二の腕の筋肉は発達していてアトロポスの太ももくらいはありそうだった。
 背はアトロポスと同じ百六十五セグメッツェくらいであり、男としては短身だった。その分重心が低く、動きは素早そうに見えた。

「どっちが勝つと思う?」
「私としては毛皮の人に勝って欲しいけど、間違いなく鎧の方ね。たぶん、試合にならないわ。かなり強いわよ、あの人……」
 アトロポスの眼には二人の体から立ち上るオーラのような物が見えた。本来、そのオーラは覇気と呼ばれ、クラスA以上の実力を持つ者に見えるものだった。その覇気の濃さが全然違ったのだ。薄らとした覇気を辛うじて纏っている毛皮の男に対して、金属鎧メタルーマーの男の覇気は濃厚ではっきりと目に見えたのだ。

「たぶん、私が戦ったランドルフさんよりも数倍は強いと思う。勝負は一瞬で決まるんじゃないかな?」
「そんなに実力が違うのか?」
「うん……」
 アトロポスは真剣な表情で金属鎧メタルーマーの男を見つめた。次の闘いのために、彼の一挙一動を見逃さないためだった。

「第二試合、ローガン対マシュー。用意はいいか?」
 アイザックが右手で長剣を掲げながら二人に訊ねた。「おう!」と相手を威嚇するように吠えた毛皮の男に対して、金属鎧メタルーマーの男は小さく頷いただけだった。
「始めッ!」
 長剣を振り落としたアイザックの号令とともに、第二試合が開始された。

 毛皮の男が両手の鎌形刀剣ファルシオンをX字に交叉させながら金属鎧メタルーマーに突進した。刃渡りが五十セグメッツェという短刀の長所を生かして、相手の懐に入って縦横無尽に振り回す戦法のようだった。
「速いッ!」
 アトロポスが思わず声を上げた。金属鎧メタルーマーの男の全身がブレるように消えると、一瞬で毛皮の男の左サイドに移動していた。
 次の瞬間、金属鎧メタルーマーの長剣が毛皮の男の首筋の皮一枚を斬って止まっていた。呆然として立ち止まった毛皮の男の首筋から、赤い血が一筋流れ落ちた。

「勝負あり! 勝者、ローガン!」
 アイザックの声が訓練場に響き渡った。アトロポスの予想通り、二回戦は一瞬のうちに勝負がついた。
「相当な速さだな。勝てそうか、ローズ?」
 右横に座っているシルヴァレートが、アトロポスの顔を見つめながら訊ねてきた。

「どうかしらね? あれが彼の本気なら何とかなるけど、まだまだ実力を隠していそうだしね。どっちにしても、気は抜かずに行くわ」
 ローガンと呼ばれた金属鎧メタルーマーの男の移動速度は確かに速かったが、ダリウス将軍と比べればまだまだだった。だが、彼から立ち上る覇気は、ローガンの実力はあんな物ではないと告げていた。


 第三試合は特に目をみはるものはなかった。
 訓練場の中央に立った二人の冒険者からも、ローガンのような覇気は感じられなかった。強いて言えば、ローガンに敗れたマシューと言う男と同等レベルだった。
(あのローガンという人が特別なのかしら?)
 そう思ったアトロポスは、第四試合を見て考えを改めさせられることになった。


 第四試合で訓練場に立った一人は、アトロポスが戦ったランドルフに勝るとも劣らない大男だった。彼の武器は長柄大刀ロンパイアと呼ばれる特殊な長剣で、刃渡り百セグメッツェの片刃に対して持ち手も同じ長さがあった。つまり、両手で握ることに特化した片刃の大刀なのだ。剣と言うよりも薙刀なぎなたと言った方が合っていた。
 たぶん重さも四ケーゲムはあり、ランドルフが使っていた両手大剣クレイモアと同様に細短剣スモールソードで受けたらへし折られてしまうことは間違いなかった。

 だが、アトロポスの興味を引いたのはもう一人の方だった。身長は百七十五セグメッツェくらいでシルヴァレートと変わらず、横幅も筋肉質ではあるが特に筋骨隆々という感じではなかった。獲物も普通の長剣で、盾も持っていなかった。
 しかし、覇気が違ったのだ。
 戦ってもいないにも関わらず、彼の全身からは先ほどのローガンを遙かに上回る濃厚な覇気を感じたのだ。本気で戦ったらどれほどの覇気になるのか、アトロポスには想像もできなかった。

「あの人、別格よ。何であんな人がクラスCなの?」
 その男を見ているだけで、アトロポスは全身から冷や汗をかいていた。アトロポスの剣士としての魂が、彼と戦ってはいけないと警鐘を鳴らしていた。
「どっちだ?」
「小さい方……。たぶん、ダリウス将軍よりも遥かに強いわ……」
「何だと?」
 アトロポスの言葉に、シルヴァレートが驚いてその男を見つめた。

「おい、何の嫌がらせだ、『焔星イェンシー』?」
 アイザックが訓練場に立つその男に向かって言った。本気で迷惑そうな表情だった。
「失礼だな、アイザックさん。僕は剣士クラスBの受験者ですよ」
「ふざけてるのか、レオンハルト? 槍士クラスSS・・のお前が、なんで今更剣士クラスBなんて受けるんだ?」
 アイザックの言葉に、アトロポスは驚愕した。

(槍士クラスSSですって!? どおりで凄い覇気だと思ったけど……)
 アイザックの言うとおり、槍士クラスSSが剣士クラスBを受験する意味がアトロポスには分からなかった。アイザックの言うとおり、嫌がらせにしか思えない。

「槍士クラスは極めちゃったんで、今度は剣士クラスでがんばろうかと……」
 レオンハルトと呼ばれた青年は、おどけながら答えた。
「昇格したいんなら、ギルマスの権限でクラスSに特別昇格させてやるから邪魔するな」
「それじゃあ、つまんないでしょ。せっかく、面白そうな相手がいるのに……」
 そう告げると、レオンハルトはアトロポスの方を見つめてきた。

(何なの、あの男? こっちを見ている……。どういうつもり?)
 アトロポスの疑問に答えるように、レオンハルトが声を上げて叫んだ。
「ねえ、君。ローズって言ったかな? こっちに来て、僕と少し遊ばないかい?」
 驚きのあまり言葉を失ったアトロポスに変わって、アイザックが言った。
「いいかげんにしろ、レオンハルト! これ以上進行を邪魔するなら、失格にするぞ!」

「アイザックさん、そう言うけど、彼とじゃ遊びにならないから……」
 レオンハルトは本来の対戦相手である大男の方を一瞥しながら告げた。それを聞いて、大男が激怒した。
「何だと、小僧! 俺の長柄大刀ロンパイアを受けてから言えッ!」
 大男が背中の長柄大刀ロンパイアを抜いて、両手で大上段に構えた。次の瞬間、火炎の刃が大男の長柄大刀ロンパイアに激突し、粉々に爆散させた。
 レオンハルトが眼にも見えない速度で長剣を抜き、炎の覇気を飛ばしたのだ。

(なっ……! なんていう覇気なの!? 手加減した一撃なのに、破壊力も桁違いだわ……。これが、クラスSSの実力なの?)
 常識を遥かに凌駕するレオンハルトの力に、アトロポスは全身にビッショリと汗をかきながら硬直した。

「ね、アイザックさん。彼とじゃ遊びにもならないでしょ?」
 刀身を粉々に砕かれた長柄大刀ロンパイアを愕然と見つめながら、大男がぺたんと腰を抜かしたように座り込んだ。

「分かった。ローズ、こっちに来い!」
 アイザックの呼び声にハッと我に返って、アトロポスは立ち上がった。
「ローズ、無茶だ! 実力が違いすぎる。行くな!」
 シルヴァレートが心配そうな表情でアトロポスの右手を掴んだ。
「分かってる。でも、おそらく彼は冒険者ギルドで最強の一人だわ。そんな人と剣をわせる機会なんて、滅多にない。それも、昇格試験という相手を殺してはいけないルールに守られた場所で……。心配しないで、シルヴァ。勝てはしないけど、死にもしないはずだから……」
 笑顔でそう告げると、アトロポスは優しくシルヴァレートの腕を振りほどいて、レオンハルトの待つ訓練場へと向かった。
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