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第一章 理想は遙か遠くにありて
第9話 分の悪い賭け
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「ふむ……」
砦を取り囲む者達の本陣に、その大男はいた。獣の皮をなめし、鳥の羽で彩りよく飾ったアルテ族伝統の衣装に身を包み、彼はしげしげと戦場を見つめる。
彼の名はオルドー。彼が歩んだ歴史と共に生きた豊かな髭をなでながら、戦場を見つめている。
突破したい砦の門は二つ。
そのうちの一つは、まさにオルドーが座する本陣の正面にある。夜通し圧力をかけ続けた。その結果、相手側の反攻は徐々に薄くなってきている。
疲れなのか、機を見ているのか、その両方か。敵兵の動きは明らかに鈍っている。
オルドーの勘は、一気に攻め立てるべきだと告げている。しかし冷静に見てみると、敵兵の戦力は削られていているものの、その本質はまだ見えていない。幸い、自分達の犠牲は少なくて済んでいる。おそらく砦の中の者が待っている、ヴェレリア王国の援軍も影さえ見えていない。見張りを頼んだ者からの伝令もこない。
「無理をする場面ではない、か」
ここはこの策を打った者の顔を立てることにしよう。
「良い調子だ。そのまま前に進み続けろ」
オルドーは伝令役に、そのまま相手を休ませることなく攻め続けるように、と伝える。伝令役が去って行った後に、空を見上げた。気づいていなかった。頭上は久しく見ていなかった青空だ。
(あやつは、今も先を読んでいるのだろうな)
その青に、戦士というより学者を思わせる容貌をしている弟が映り込む。
オルドーの強面が崩れた。笑みがこぼれたのだ。
「やはり、あやつはアルテらしくない」
リチィオ・アルテ・ロンドル。オルドーが王国に捕らえられている間、見事な手腕でアルテ族をまとめあげたリーダー。
そして、彼が動かしたのはアルテ族だけではない。リチィオの、その静かな表情の中にも、これだけの策を用意する熱があったことにオルドーは今更ながら驚く。
こういう戦い方もあるのか、とオルドーは新発見に心を震わせる。昔は槍よりも筆をとりたがる弟を憎らしく思ったこともある。敵対していた王国の書物をこっそり読んでいたのを叱ったときもある。
しかし、今、そのリチィオが蓄えた知識がなければオルドーは戦場に立つことすらできなかった。ひたすらに走ってきた自分とは違うが、リチィオもやはりアルテの戦士であり、これが彼の戦士としての戦いなのだと、ここにきて、オルドーはようやく納得ができたのだ。
「叔父貴」
オルドーを呼ぶ声が、思案の海から彼を呼び戻す。
「どうした、ミィナ」
ミィナと呼ばれた少女は、周囲を警戒しつつオルドーの側に駆け寄る。その手に鋼の槍を手にしている。その重量は相当なものなのに、彼女の足取りは軽やかだ。
「東門に新手。どうしようか?」
彼女は訪ねているようで、実は挑んでいる。オルドーはその言葉の端々にミィナの意思を感じている。
――なんだったら片付けてこようか。
彼女の表情は、ミィナが被っている面で隠されている。アルテに伝わる、戦女神の面だ。それなのに、その面の奥に、彼女の牙がはっきりと見える。まるで彼女の闘争心が乗り移り、固まった表情であるはずの仮面自身が笑っているかのようだ。
(血の気が多いな、あやつの娘とは思えん)
しかし、ミィナの気がはやっているのも無理はないとオルドーは思う。オルドーの出陣に、意気込んでついて来たものの、ずっと後方待機を命じられている。隠すことのできない士気の高まりに、居ても立ってもいられないのだろう。
しかし、だ。
彼女はオルドーにとって、まさしく『切り札』。戦場に首輪も無しに放つわけにはいかない。
「どんなやつらだった?」
「若いよ。みんな、あたしと同じくらい。数も大したことない」
強くぶつけたはずの意思を軽くかわされたことで、ミィナは不機嫌に答えている。いつも通りの言葉に、オルドーの拒絶を感じ取ったのだ。
「そうか。近くの若いのが、功を焦って飛び込んできたってところか。そういうの嫌いじゃないが」
警戒はすべきだろうが、陣を崩すべきではない。ちょっとした綻びから、標的を逃がすなんてことになれば今までの段取りが全て崩れ去る。
今の攻勢は、寄せ集めの兵士が奇跡的な加減で釣り合っているが故。冷静にことを進めなければいけない。
「……あやつの思考が感染ったか」
自分らしくはない、とオルドーは自嘲する。
こうなったら最期まで、そのように振る舞ってやろうと彼は大きく口を開けて笑い出す。その横で不満げにミィナは手にした槍を、子どものおもちゃのように振り回していた。
同刻。エンブル砦東門近く。
敵兵が突如現れたことで、砦を囲む軍勢に若干の動揺が見られた。だが、相手が寡兵だと知ると、多勢で飲み込もうと押し寄せていく。
(若干、右側が薄いか)
シルクは率いる兵士の間を駆けまくる。少し波が収まったところで、人員を絶妙に動かしていく。
シルクの声は、よく通る。乱戦の中、部隊の者は男性にしては高い声を聞き取って、生き残る為に剣を振り続ける。
彼らは迫りくる人の波を切り裂き、受け流し、散らすことで、その猛攻を凌ぎきっていた。敵兵が力業で来てくれるからシルクには予想がしやすい。
それでも、判断を間違えれば全滅だ。シルクの目は、熱くなる体に反比例して冷たく透き通る。
「散って!」
シルクの合図で周囲の兵士が弾けた。
それぞれが、すぐ近くで苦戦する仲間の元へ駆け寄って剣を振るう。少なくともシルクの思い描くことを実現させるために、彼の指示をこなすことができるだけの力量が彼らにはある。そして、昨日勝ち戦を経験したという精神的な利を最大限に活かしていく。個々人ではなく、一つの装置として立ち向かっていた。
目の前の相手に全力を出し切り、シルクが適時指示を出すことで周囲をフォローする。数が少ないからこそできる方法でシルクは全員の脳となっていた。
(時間稼ぎが精一杯。まぁ、でも、それも想定内か)
シルクは頬についた、自分のものか相手のものか、汗か血かも分からないものを拭い取った。
シルクは大きく、一呼吸して周囲を見渡す。
(門にたどり着ければ一番だったけど)
さすがにそこまで相手は油断はしていなかった。それどころか、じりじりと、シルク達は後退していく。
(まぁ、それだけじゃ賭けにもならない)
大筋はシルクの計算通りに事が進んでいた。
劣勢ではあるものの、数の有利が出ないように立ち回っているせいか、被害は少ない。
そして、だんだんと戦いやすい場に誘導されていることに相手が気づいていないのは朗報だ。
ただでさえ狭い道に、周囲は大きな岩が転がっている。
それが天然の柵となって、反乱兵の動きが分かりやすく誘導されていた。
あとは、指示さえ間違わなければいい。そうすれば、この分の悪い賭けも、幾分か勝ちの芽が出てくる。
そう、あくまでも賭けだ。しかし、シルクはその勝率を十割近くまで引き上げていく。
「ここだ!」
シルクの一言で全員が訓練された動きでまとまっていく。
陣をしく。それは、事前に共有していた策だ。これならば、しばらくは持たせることができる。
(それでも、予定よりは保たないか)
そう、しばらくだ。
シルクの役目は親友が動き出すまでの時間をかせぐことである。
「頼んだよ、アゼル」
シルクの小さな呟きは、戦場の風の中へ消えていった。
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突破したい砦の門は二つ。
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疲れなのか、機を見ているのか、その両方か。敵兵の動きは明らかに鈍っている。
オルドーの勘は、一気に攻め立てるべきだと告げている。しかし冷静に見てみると、敵兵の戦力は削られていているものの、その本質はまだ見えていない。幸い、自分達の犠牲は少なくて済んでいる。おそらく砦の中の者が待っている、ヴェレリア王国の援軍も影さえ見えていない。見張りを頼んだ者からの伝令もこない。
「無理をする場面ではない、か」
ここはこの策を打った者の顔を立てることにしよう。
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オルドーは伝令役に、そのまま相手を休ませることなく攻め続けるように、と伝える。伝令役が去って行った後に、空を見上げた。気づいていなかった。頭上は久しく見ていなかった青空だ。
(あやつは、今も先を読んでいるのだろうな)
その青に、戦士というより学者を思わせる容貌をしている弟が映り込む。
オルドーの強面が崩れた。笑みがこぼれたのだ。
「やはり、あやつはアルテらしくない」
リチィオ・アルテ・ロンドル。オルドーが王国に捕らえられている間、見事な手腕でアルテ族をまとめあげたリーダー。
そして、彼が動かしたのはアルテ族だけではない。リチィオの、その静かな表情の中にも、これだけの策を用意する熱があったことにオルドーは今更ながら驚く。
こういう戦い方もあるのか、とオルドーは新発見に心を震わせる。昔は槍よりも筆をとりたがる弟を憎らしく思ったこともある。敵対していた王国の書物をこっそり読んでいたのを叱ったときもある。
しかし、今、そのリチィオが蓄えた知識がなければオルドーは戦場に立つことすらできなかった。ひたすらに走ってきた自分とは違うが、リチィオもやはりアルテの戦士であり、これが彼の戦士としての戦いなのだと、ここにきて、オルドーはようやく納得ができたのだ。
「叔父貴」
オルドーを呼ぶ声が、思案の海から彼を呼び戻す。
「どうした、ミィナ」
ミィナと呼ばれた少女は、周囲を警戒しつつオルドーの側に駆け寄る。その手に鋼の槍を手にしている。その重量は相当なものなのに、彼女の足取りは軽やかだ。
「東門に新手。どうしようか?」
彼女は訪ねているようで、実は挑んでいる。オルドーはその言葉の端々にミィナの意思を感じている。
――なんだったら片付けてこようか。
彼女の表情は、ミィナが被っている面で隠されている。アルテに伝わる、戦女神の面だ。それなのに、その面の奥に、彼女の牙がはっきりと見える。まるで彼女の闘争心が乗り移り、固まった表情であるはずの仮面自身が笑っているかのようだ。
(血の気が多いな、あやつの娘とは思えん)
しかし、ミィナの気がはやっているのも無理はないとオルドーは思う。オルドーの出陣に、意気込んでついて来たものの、ずっと後方待機を命じられている。隠すことのできない士気の高まりに、居ても立ってもいられないのだろう。
しかし、だ。
彼女はオルドーにとって、まさしく『切り札』。戦場に首輪も無しに放つわけにはいかない。
「どんなやつらだった?」
「若いよ。みんな、あたしと同じくらい。数も大したことない」
強くぶつけたはずの意思を軽くかわされたことで、ミィナは不機嫌に答えている。いつも通りの言葉に、オルドーの拒絶を感じ取ったのだ。
「そうか。近くの若いのが、功を焦って飛び込んできたってところか。そういうの嫌いじゃないが」
警戒はすべきだろうが、陣を崩すべきではない。ちょっとした綻びから、標的を逃がすなんてことになれば今までの段取りが全て崩れ去る。
今の攻勢は、寄せ集めの兵士が奇跡的な加減で釣り合っているが故。冷静にことを進めなければいけない。
「……あやつの思考が感染ったか」
自分らしくはない、とオルドーは自嘲する。
こうなったら最期まで、そのように振る舞ってやろうと彼は大きく口を開けて笑い出す。その横で不満げにミィナは手にした槍を、子どものおもちゃのように振り回していた。
同刻。エンブル砦東門近く。
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(若干、右側が薄いか)
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シルクの声は、よく通る。乱戦の中、部隊の者は男性にしては高い声を聞き取って、生き残る為に剣を振り続ける。
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それぞれが、すぐ近くで苦戦する仲間の元へ駆け寄って剣を振るう。少なくともシルクの思い描くことを実現させるために、彼の指示をこなすことができるだけの力量が彼らにはある。そして、昨日勝ち戦を経験したという精神的な利を最大限に活かしていく。個々人ではなく、一つの装置として立ち向かっていた。
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