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勇者、攫われる
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その日は珍しく魔族の進軍がなく勇者は荒れた大地の復興を手伝っていた。いくら直したところで魔族に襲われてしまえば一溜まりもなく、戦いが終わらぬ限り真の復興は果たせない。それでも直していかなければ大勢のものの住む場所がなくなってしまう。合間を見つけられれば勇者はいつも復興の手伝いにせいをだしていた。
体を動かしながら勇者は思うのだ。
早く戦いを終わらせなければと。
壊された建物の瓦礫、抉られた大地、傷ついた人々。その姿をしっかりと目に焼き付けてこれ以上魔族に苦しめられる者がでないように早く魔王を倒さないとと。現在実力さがありすぎて本当に倒せるのか弱気になることもあるけどそれでも諦めず戦い。できるだけ早く倒そう。そう心に誓うのだ。
思いを胸に抱きながら地面に転がる瓦礫を拾い上げていた……はずだった。
だったのだが、現在勇者は周りを魔族に取り囲まれていた。思い出すのは意識あるかぎりの数分前。瓦礫を運んでいた勇者はいきなり頭上から落ちてきた岩を避け、その先にあった穴に落ちた。そこからの記憶はない。目を開けたら周りに魔族がいた。つまり……これは、
(俺、拐われた???)
そう言うことである。
何でと叫びそうになるのを堪えて勇者は前を見据えた。暗い部屋。その奥一番暗いところにいるためはっきりとは分からないが、勇者が睨み付ける先に魔王がいた。
黒く長い髪。頭から生える大きな角。極めつけはあの細身にも関わらず周囲を焼き尽くすような強いオーラ。間違いなく魔王だ。
睨み付けていると魔王が一歩前にでた。その端正な顔はいつものごとく仏頂面でなんの感情も感じさせない。
「勇者」
低い声が魔王からでた。なんだと緊張を含ませた声で勇者が返す。緊迫した空気が二人の間を包む。
「マーナに、私の娘に何をした」
普段の凛とした張りのある声とは違うどろどろとしたおぞましい声が響く。背筋が凍りつきそうな声に肩を震わせた勇者は一拍置いた後はぁ? と声をあげた。
「娘ってえ?」
(娘いたの? 魔王に娘いたとか聞いたことないんだけど)
それもさもあらん。魔王の娘に関しては魔族しか知らない魔界の秘密なのだ。いきなり娘などと言われても分からない。そんなことも忘れ魔族たちは魔王も含め殺気だっていた。
「娘は娘だ。六年前に産まれた私の子だ。あの子に何をした」
「嫌々何をしたってなにもしてないけど!今日今日はじめて娘のこと知ったし!? それに六年前に産まれたって六歳じゃん! いくら敵の子供だろうが六歳の子に何かするほど俺は落ちぶれてねえ! と言うかその子がなんだって言うんだよ」
魔王の威圧するオーラが漂う室内。只人なら失禁して気絶しそうなその場所でも勇者は強気に声をあげた。縛られた状況でも胸を張る。
「…………なら、何故だ」
仏頂面だ。変わらぬ仏頂面だ。なのに何故だろう魔王の声が一気に萎んで迷子の子供のように一瞬見えてしまった。そんなはずはないと勇者は心のなかで首を振る。
勇者の前で苦悩に魔王が体を揺らめかせた。大袈裟なほどに苦悩を表す魔王の顔はだけども一ミリも表情筋が動かない。
「何故マーナはお前が好きだなんて言い出したんだ! 結婚したいだなんて……何故だ。何故だ、勇者!! 答えろ!!」
「いや? え? ええ? なんて?」
勇者は白目を向いた。自分から声が漏れたことすら分かっていない。信じられないと魔王を見て周りの魔族たちを見る。殺気だっている彼らに冗談を何て言える雰囲気ではない。困惑する勇者。それをおいてけぼりに魔王はボソボソと言葉を繋いでいく
「マーナが産まれてから私はずっと見守り続けてきた。お前との戦い以外は片時もマーナから離れず愛らしい笑顔を守り続けてきた。マーナがほしいと言ったものは何でも与えてきた。毎日のように抱き締めてほっぺにキスして大切にそれはもう大切にしてきたのだ。それが何故お前なんかを好きなるんだ!どうしてだ!
……………………お前を殺したい。お前を殺してマーナの目を覚ましてやりたい。だけど……お前を殺したら私はもしかして嫌われるのか?どう思う。勇者」
いや、知らないけどとは答えられなかった。何を言われてるのか未だ勇者は理解しきれていない。何処かで嘘じゃないのかと思ってる。魔王の様子からしてそうでないとわかるけど。仏頂面のわりに声だけは感情がこもっている。
「人間の子は思春期とか言うものがあって父親のことを大嫌いとか言い出す日があるらしいがそんな風に大嫌いと私も言われるのか?お前を殺しただけで。
だとしたら私はお前を殺せない。殺したい。死ぬほど殺したいがお前を殺したら私がマーナに嫌われて死んでしまう。だとしたら我慢するしかないのか。マーナが今お前をおめかしをして待っている。そこにつれていくしかないのか? ないのだろう。
だから勇者……
何でもいい何でもいいからあの子に嫌われるようなことをして勇者なんて大嫌い。お父様勇者を殺してて言い出すようなことをしてきてくれ!
一生のお願いだ」
体を動かしながら勇者は思うのだ。
早く戦いを終わらせなければと。
壊された建物の瓦礫、抉られた大地、傷ついた人々。その姿をしっかりと目に焼き付けてこれ以上魔族に苦しめられる者がでないように早く魔王を倒さないとと。現在実力さがありすぎて本当に倒せるのか弱気になることもあるけどそれでも諦めず戦い。できるだけ早く倒そう。そう心に誓うのだ。
思いを胸に抱きながら地面に転がる瓦礫を拾い上げていた……はずだった。
だったのだが、現在勇者は周りを魔族に取り囲まれていた。思い出すのは意識あるかぎりの数分前。瓦礫を運んでいた勇者はいきなり頭上から落ちてきた岩を避け、その先にあった穴に落ちた。そこからの記憶はない。目を開けたら周りに魔族がいた。つまり……これは、
(俺、拐われた???)
そう言うことである。
何でと叫びそうになるのを堪えて勇者は前を見据えた。暗い部屋。その奥一番暗いところにいるためはっきりとは分からないが、勇者が睨み付ける先に魔王がいた。
黒く長い髪。頭から生える大きな角。極めつけはあの細身にも関わらず周囲を焼き尽くすような強いオーラ。間違いなく魔王だ。
睨み付けていると魔王が一歩前にでた。その端正な顔はいつものごとく仏頂面でなんの感情も感じさせない。
「勇者」
低い声が魔王からでた。なんだと緊張を含ませた声で勇者が返す。緊迫した空気が二人の間を包む。
「マーナに、私の娘に何をした」
普段の凛とした張りのある声とは違うどろどろとしたおぞましい声が響く。背筋が凍りつきそうな声に肩を震わせた勇者は一拍置いた後はぁ? と声をあげた。
「娘ってえ?」
(娘いたの? 魔王に娘いたとか聞いたことないんだけど)
それもさもあらん。魔王の娘に関しては魔族しか知らない魔界の秘密なのだ。いきなり娘などと言われても分からない。そんなことも忘れ魔族たちは魔王も含め殺気だっていた。
「娘は娘だ。六年前に産まれた私の子だ。あの子に何をした」
「嫌々何をしたってなにもしてないけど!今日今日はじめて娘のこと知ったし!? それに六年前に産まれたって六歳じゃん! いくら敵の子供だろうが六歳の子に何かするほど俺は落ちぶれてねえ! と言うかその子がなんだって言うんだよ」
魔王の威圧するオーラが漂う室内。只人なら失禁して気絶しそうなその場所でも勇者は強気に声をあげた。縛られた状況でも胸を張る。
「…………なら、何故だ」
仏頂面だ。変わらぬ仏頂面だ。なのに何故だろう魔王の声が一気に萎んで迷子の子供のように一瞬見えてしまった。そんなはずはないと勇者は心のなかで首を振る。
勇者の前で苦悩に魔王が体を揺らめかせた。大袈裟なほどに苦悩を表す魔王の顔はだけども一ミリも表情筋が動かない。
「何故マーナはお前が好きだなんて言い出したんだ! 結婚したいだなんて……何故だ。何故だ、勇者!! 答えろ!!」
「いや? え? ええ? なんて?」
勇者は白目を向いた。自分から声が漏れたことすら分かっていない。信じられないと魔王を見て周りの魔族たちを見る。殺気だっている彼らに冗談を何て言える雰囲気ではない。困惑する勇者。それをおいてけぼりに魔王はボソボソと言葉を繋いでいく
「マーナが産まれてから私はずっと見守り続けてきた。お前との戦い以外は片時もマーナから離れず愛らしい笑顔を守り続けてきた。マーナがほしいと言ったものは何でも与えてきた。毎日のように抱き締めてほっぺにキスして大切にそれはもう大切にしてきたのだ。それが何故お前なんかを好きなるんだ!どうしてだ!
……………………お前を殺したい。お前を殺してマーナの目を覚ましてやりたい。だけど……お前を殺したら私はもしかして嫌われるのか?どう思う。勇者」
いや、知らないけどとは答えられなかった。何を言われてるのか未だ勇者は理解しきれていない。何処かで嘘じゃないのかと思ってる。魔王の様子からしてそうでないとわかるけど。仏頂面のわりに声だけは感情がこもっている。
「人間の子は思春期とか言うものがあって父親のことを大嫌いとか言い出す日があるらしいがそんな風に大嫌いと私も言われるのか?お前を殺しただけで。
だとしたら私はお前を殺せない。殺したい。死ぬほど殺したいがお前を殺したら私がマーナに嫌われて死んでしまう。だとしたら我慢するしかないのか。マーナが今お前をおめかしをして待っている。そこにつれていくしかないのか? ないのだろう。
だから勇者……
何でもいい何でもいいからあの子に嫌われるようなことをして勇者なんて大嫌い。お父様勇者を殺してて言い出すようなことをしてきてくれ!
一生のお願いだ」
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