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魔王の娘と花見
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数日後、勇者とマーナ、それにマーナの幼馴染スイレイはこないだと同じ場所に花見をしにに来ていた。綺麗な世界を見つめて大きんな目が二対輝いていた。
「凄いね。マーナちゃん外ってすごく綺麗だね」
「そうでしょう」
にこにこと笑うその笑顔は今まで見ていた者よりずっと明るいもののように思えた。
「スイレイ見てあの花もキレイ」
小さな腕を一杯に伸ばして自分が気に入ったものを友達に見てもらおうとしていてそれがとても子供らしい姿で勇者の目には愛らしく映る。
「本当だ。凄い綺麗。あ、マーナちゃんみてあれもきれいだよ」
「本当! 凄いわ」
きらきらとまばゆいぐらいに二人は輝いている。それをはたから見ながら勇者は昼食の準備を整えっていた。勇者の視線は子供二人にずっと向き続けていた。無邪気に笑っている二人は暫く周りの景色を見て楽しんだ後勇者様と勇者の方を振り向いていた。明るい笑顔を浮かべて駆け寄ってくる。
「今日は連れてきてくれてありがとうございます。とても綺麗ですわ。勇者様も後で一緒に見ましょう」
「勇者様も僕まで連れてきてもらって本当にありがとうございます。まさか魔界の中だけじゃなくこっちの世界までで歩けると思ってなくてとても嬉しいです」
きらきらとした眼差しが勇者に向けられる。二人の頬は赤くなっており興奮しているのが伝わってきた。本当に幸せそうなのに俺こそ二人が楽しそうでよかったよなんて言いながら勇者は少し引き攣った顔でじゃあそろそろ昼食を食べようかとも言っていた。
二人がうんと頷く。行儀よく座って勇者が準備していた弁当を見てわーースイレイが声を上げていた。
「魔界弁当ですね。とても美味しそうです」
「これはお父様がいつも勇者様に準備してもらっているからって用意してくれたものなの。凄く美味しいよ」
「魔王様料理旨いもんね」
にこにことマーナとスイレイの二人が弁当を嬉しそうに見ている。二人の顔だけ見つつ勇者生え、嘘と心の中で騒いでいた。お父様からとマーナから預かっていたがまさか本当に魔王が作ったものだとは思っていなかったのだ。シャフとかがいてその人たちが作っていたと思っていた
余計に恐ろしく感じて勇者は二人から顔をそらせない。そらせないでいたけど次の瞬間にはそらしていた。
いただきますと言った二人がやたら大きなスプーンを手にして赤と紫が混じったグニャグニャ動くものを口に入れたのだ。二人とももぐもぐと美味しそうにそれを頬張っているのが伝わってくるものの出来れば勇者はそんなところ見たくなかった。
「? 勇者様どうかしましたか」
不思議に思ったのかスイレイが問いかけてくる。えっと勇者からは戸惑ったような声が出る。何と言っていいのか分からない勇者はちらりとだけスイレイを見た。大きくうごうご動いていた何かを食べるのはそれなりに苦労しただろう。口周りに赤と紫が付着してなんかやばいことになっている。
下を見ればうごめく弁当。
最初見た時気絶しそうになった景色から目をそらして何にもないよと笑った。魔族ってこんなもの食べているんだって恐怖を覚えたことを幼い子供に言えるはずもない。だがどうにも子供のわりにはさとい所のあるマーナは気付いてしまったのか、あの、そのと落ち込んだような声が聞こえてきて勇者の罪悪感が刺激されていく。
何でもないんだよなんて笑うけどもそれでいい筈もなかった。
勇者様は何て小さな声が聞こえてくる。どうしたのマーナちゃんと不思議そうにスイレイがマーナの方を見ていた。マーナの目がスイレイを見て唇が閉じられる。気にはなるけど気付いてない彼を前にしてどういえばいいのかわからない。そんな感じだった。このままではいけないと覚悟を決めて勇者は美味しそうな弁当だねと弁当を見た。着いているスプーンを手に取る。明らかに一口サイズではないスプーンでどう食べればいいのか全く分からないが弁当の中からうごめく中身をすくって口元に持っていていた。
止まりそうになる腕を目をつぶることで動かし、そして口を開ける。
ぶにりとなんかよく分からない触感がした。柔らかいかと思ったら固くてかみちぎることができない。しかも全部を口にすることはできずばたばたと外で暴れて顔にソースだろう液体が付着していく。二人こんな風に食べていたと思うが、これで本当にあっているのか聞きたくなる食べ方だった。
何十分もかけて口に入れた者だけでも飲み込んだ勇者は美味しいねと笑っていた。
マーナとスイレイがそんな勇者をじっと見てくる。マーナの目はちょっと潤んでいて、スイレイの目が大きくなっていた。唇が震えてあのと何かを言おうとしたスイレイの手をマーナが握りしめた。にっこりと笑ってからマーナはそうでしょうとそう笑った。
「私たちこれ大好きなんです。滅多に食べられないから今日はたくさん食べよう」
「あ、うん」
マーナとスイレイの二人が弁当の中身を少し早いスピードで食べていく。勇者はありがたく感じながら自分がすくったスプーンの中のものだけはちゃんと食べようと食べていた。
相変わらずうごめいていて何の味かも分からないようなものだが、噛みしめているとそう悪いような味でもないように思えた。食べながら勇者はだけ思う。
魔族って顎の力も強いんだな。って。
勇者がスプーンにすくったものだけ食べている間に二人は弁当の中のものをすべて食べ終えていた。
ごちそうさまでしたと三人で手を合わせる。食べ終わったら片づけをしてまた景色を見始めていた。スイレイがあれは何ですかと聞いてくるのを勇者が答えていた。
「勇者様、本当にありがとうございました。僕すごく楽しかったです。それとこれからもマーナちゃんの事よろしくお願いしますね。僕といる時よりずっと楽しそうだったから傍にいてあげてください」
花見の終わった帰り際、マーナが少し離れたところでスイレイから言われた言葉にゆうしゃはへっとその口を開けていた。
え、そうかななんて戸惑った声が出ていく。どう見ても今日のマーナが一番子供らしくて勇者の傍にいるよりこの子の傍にいる方が勇者にはマーナが楽しめるように思えたのだ。だけどスイレイははいと元気よく答えていた。
ええと勇者が怪訝に顔を歪めるが、会話を続ける前にマーナが戻ってきていてそれ以上話すことはなかった。
「ありがとうございました」
そうスイレイが笑った。
「凄いね。マーナちゃん外ってすごく綺麗だね」
「そうでしょう」
にこにこと笑うその笑顔は今まで見ていた者よりずっと明るいもののように思えた。
「スイレイ見てあの花もキレイ」
小さな腕を一杯に伸ばして自分が気に入ったものを友達に見てもらおうとしていてそれがとても子供らしい姿で勇者の目には愛らしく映る。
「本当だ。凄い綺麗。あ、マーナちゃんみてあれもきれいだよ」
「本当! 凄いわ」
きらきらとまばゆいぐらいに二人は輝いている。それをはたから見ながら勇者は昼食の準備を整えっていた。勇者の視線は子供二人にずっと向き続けていた。無邪気に笑っている二人は暫く周りの景色を見て楽しんだ後勇者様と勇者の方を振り向いていた。明るい笑顔を浮かべて駆け寄ってくる。
「今日は連れてきてくれてありがとうございます。とても綺麗ですわ。勇者様も後で一緒に見ましょう」
「勇者様も僕まで連れてきてもらって本当にありがとうございます。まさか魔界の中だけじゃなくこっちの世界までで歩けると思ってなくてとても嬉しいです」
きらきらとした眼差しが勇者に向けられる。二人の頬は赤くなっており興奮しているのが伝わってきた。本当に幸せそうなのに俺こそ二人が楽しそうでよかったよなんて言いながら勇者は少し引き攣った顔でじゃあそろそろ昼食を食べようかとも言っていた。
二人がうんと頷く。行儀よく座って勇者が準備していた弁当を見てわーースイレイが声を上げていた。
「魔界弁当ですね。とても美味しそうです」
「これはお父様がいつも勇者様に準備してもらっているからって用意してくれたものなの。凄く美味しいよ」
「魔王様料理旨いもんね」
にこにことマーナとスイレイの二人が弁当を嬉しそうに見ている。二人の顔だけ見つつ勇者生え、嘘と心の中で騒いでいた。お父様からとマーナから預かっていたがまさか本当に魔王が作ったものだとは思っていなかったのだ。シャフとかがいてその人たちが作っていたと思っていた
余計に恐ろしく感じて勇者は二人から顔をそらせない。そらせないでいたけど次の瞬間にはそらしていた。
いただきますと言った二人がやたら大きなスプーンを手にして赤と紫が混じったグニャグニャ動くものを口に入れたのだ。二人とももぐもぐと美味しそうにそれを頬張っているのが伝わってくるものの出来れば勇者はそんなところ見たくなかった。
「? 勇者様どうかしましたか」
不思議に思ったのかスイレイが問いかけてくる。えっと勇者からは戸惑ったような声が出る。何と言っていいのか分からない勇者はちらりとだけスイレイを見た。大きくうごうご動いていた何かを食べるのはそれなりに苦労しただろう。口周りに赤と紫が付着してなんかやばいことになっている。
下を見ればうごめく弁当。
最初見た時気絶しそうになった景色から目をそらして何にもないよと笑った。魔族ってこんなもの食べているんだって恐怖を覚えたことを幼い子供に言えるはずもない。だがどうにも子供のわりにはさとい所のあるマーナは気付いてしまったのか、あの、そのと落ち込んだような声が聞こえてきて勇者の罪悪感が刺激されていく。
何でもないんだよなんて笑うけどもそれでいい筈もなかった。
勇者様は何て小さな声が聞こえてくる。どうしたのマーナちゃんと不思議そうにスイレイがマーナの方を見ていた。マーナの目がスイレイを見て唇が閉じられる。気にはなるけど気付いてない彼を前にしてどういえばいいのかわからない。そんな感じだった。このままではいけないと覚悟を決めて勇者は美味しそうな弁当だねと弁当を見た。着いているスプーンを手に取る。明らかに一口サイズではないスプーンでどう食べればいいのか全く分からないが弁当の中からうごめく中身をすくって口元に持っていていた。
止まりそうになる腕を目をつぶることで動かし、そして口を開ける。
ぶにりとなんかよく分からない触感がした。柔らかいかと思ったら固くてかみちぎることができない。しかも全部を口にすることはできずばたばたと外で暴れて顔にソースだろう液体が付着していく。二人こんな風に食べていたと思うが、これで本当にあっているのか聞きたくなる食べ方だった。
何十分もかけて口に入れた者だけでも飲み込んだ勇者は美味しいねと笑っていた。
マーナとスイレイがそんな勇者をじっと見てくる。マーナの目はちょっと潤んでいて、スイレイの目が大きくなっていた。唇が震えてあのと何かを言おうとしたスイレイの手をマーナが握りしめた。にっこりと笑ってからマーナはそうでしょうとそう笑った。
「私たちこれ大好きなんです。滅多に食べられないから今日はたくさん食べよう」
「あ、うん」
マーナとスイレイの二人が弁当の中身を少し早いスピードで食べていく。勇者はありがたく感じながら自分がすくったスプーンの中のものだけはちゃんと食べようと食べていた。
相変わらずうごめいていて何の味かも分からないようなものだが、噛みしめているとそう悪いような味でもないように思えた。食べながら勇者はだけ思う。
魔族って顎の力も強いんだな。って。
勇者がスプーンにすくったものだけ食べている間に二人は弁当の中のものをすべて食べ終えていた。
ごちそうさまでしたと三人で手を合わせる。食べ終わったら片づけをしてまた景色を見始めていた。スイレイがあれは何ですかと聞いてくるのを勇者が答えていた。
「勇者様、本当にありがとうございました。僕すごく楽しかったです。それとこれからもマーナちゃんの事よろしくお願いしますね。僕といる時よりずっと楽しそうだったから傍にいてあげてください」
花見の終わった帰り際、マーナが少し離れたところでスイレイから言われた言葉にゆうしゃはへっとその口を開けていた。
え、そうかななんて戸惑った声が出ていく。どう見ても今日のマーナが一番子供らしくて勇者の傍にいるよりこの子の傍にいる方が勇者にはマーナが楽しめるように思えたのだ。だけどスイレイははいと元気よく答えていた。
ええと勇者が怪訝に顔を歪めるが、会話を続ける前にマーナが戻ってきていてそれ以上話すことはなかった。
「ありがとうございました」
そうスイレイが笑った。
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