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勇者と魔界
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次に降り立ったのは鬱蒼とした森の中だった。
見渡す限り高い木に囲まれていて空さえ見えない。もともとが太陽なんてなく、何かの光でうっすらと明るいだけだった世界は今やほとんど黒と言ってもよかった。所々に小さく光るものがあるから何とか木があると理解できるような感じだ。
マーナがどうでしょうかこの森はと聞くので勇者は正直にちょっと暗いなと答えていた。
「俺にはもう物の輪郭が薄っすら見えるぐらいだけど、マーナちゃんたちにはもしかしてちゃんと見えていたりするの」
「はい。私は勇者様のお顔まではっきりと見えていますよ。
他の魔族がどうなのかはあまり知らないのですけど、昔からどんな所でもよく見ることができました。」
「……僕は駄目です。暗い所はあんまり得意じゃなくて。明るい場所だったらよく見えるんですけど」
「へえ、魔族って言ってもその辺色々なんだな。姿かたちはみんな違うけど、そういう所は一緒かと思っていたや」
「魔族は生まれて暮らす場所がそれぞれでかなり違いますから。個性差も出やすいんです。この森で暮らす魔族は暗闇の中をよく見えたり、全く視力がない代わりに他の部分が発達して視力を補ったりしているものが多く、またこの森にはいくつもの毒性の植物が自生しておりますので、毒体制が強く自身の体の中に毒を持っている魔族も多いのです」
「……なるほど」
暗いだけで他の二つよりは安心かと思っていた勇者からたらりと汗が流れ落ちていた。全くそんなことなく何処に毒の植物が生えているかも分からない今間違って肌で触れてしまわないうちに立ち去りたい場所であった。
そろそろ次の場所に行こうかと冷や汗を垂らしながら勇者は言った。はいと暗く何も見えないと言っていたスイレイがすぐさま頷いてくる。毒が怖いのかは分からないところがあるものの去りたいのが自分一人ではないことに勇者はほっとしていた。
それではとマーナがまた指笛を吹く。そうすると先ほどのドラゴンが山の中、木々を倒し轟音を立てながら舞い降りた。出来た木々の隙間からかすかな明かりが見える。ふっとその明かりで足元を見ると数歩先に得体のしれない花が咲いていた。毒々しい色をしていて絶対毒の植物だと距離を取る。
マーナちゃんは大げさだななんて笑っていた。
森の次に行ったのは噴火しているんじゃないかと思うほど燃え続けている山の近くだった。もはや山と言っていいのかも分からないが、マーナは山と言っていた。すごいでしょうと聞いてくるマーナに頷きながら勇者は滝のように流れる汗を拭くことすら忘れてしまっていた。
おそらくこの山が崖の上でマーナ達が話していたスイレイの故郷だろう。
気に入っていただけましたかとスイレイが勇者をちらちらと見ては聞いてきていた。
「お、おう。すごい所だな。熱いけどパワーがたくさん感じられる」
「そうでしょう。僕もたまにここに来ては元気づけてもらっているんです。勇者様も落ち込んだことがあればぜひここに来てくださいね」
「あ。ああ……」
悪意なき善意の瞳が見上げてくるのに勇者は頷くしかない。離れたところでマーナは笑っている。
「次は豪風の谷に行こうと思うのですが、あそこは風が強くてすぐに飛ばされてしまいますから上だけで見ましょう。観察はできないのですがそれでも色んな魔族が見れますわ」
鉄板の上ではないのかと疑うほどに茹だった石の上、今度はマーナが勇者に手を伸ばしていた。ああと頷いてマーナが呼んでくれたドラゴンの上に飛び乗っていた。
数時間後、魔界の観光を楽しんだ後、勇者たちは魔王城に戻ってきている。観光が終わればすぐに帰るつもりだったが魔界観光が勇者の予想の何倍も激しいものだったためすっかり体力を使い切って動けなくなってしまったのだった。
そんな勇者をかいがいしく世話しながらマーナはねえ勇者様と問いかけていた。その顔は笑っているようだけど何処か緊張しているような様子もあった。
「あの、今日の魔界観光楽しかったですか。魔界のことどう思いましたか」
不安をたたえた目が勇者を見てくる。魔王城の廊下でだらしなく寝転んでいるしかなかった勇者はその目を丸く見開いた。見つめてくるマーナの姿が見える。色違いの目がじっと見つめてくる
どうでしたと聞く声は少しだけ震えていた。
「……楽しかったよ。俺が暮らすにはちょっと大変だと思ったけど、でも魔族たちはこういう所で暮らしているんだって思うと新たな発見とかもあったりしたし、楽しかった。
今日見られなかったところや、一回だけじゃ気付かなかったこととかもあると思うからできればまたしたいぐらいかな」
本心で勇者は言った。疲れて体は動かないけれど笑みを浮かべるのにマーナの瞳が輝いて笑みを浮かべる。はいと出ていく声。
「今度また一緒に魔界を見て回りましょう。でも私彼方の世界も見て回りたいです。その時は勇者様が案内してください」
見渡す限り高い木に囲まれていて空さえ見えない。もともとが太陽なんてなく、何かの光でうっすらと明るいだけだった世界は今やほとんど黒と言ってもよかった。所々に小さく光るものがあるから何とか木があると理解できるような感じだ。
マーナがどうでしょうかこの森はと聞くので勇者は正直にちょっと暗いなと答えていた。
「俺にはもう物の輪郭が薄っすら見えるぐらいだけど、マーナちゃんたちにはもしかしてちゃんと見えていたりするの」
「はい。私は勇者様のお顔まではっきりと見えていますよ。
他の魔族がどうなのかはあまり知らないのですけど、昔からどんな所でもよく見ることができました。」
「……僕は駄目です。暗い所はあんまり得意じゃなくて。明るい場所だったらよく見えるんですけど」
「へえ、魔族って言ってもその辺色々なんだな。姿かたちはみんな違うけど、そういう所は一緒かと思っていたや」
「魔族は生まれて暮らす場所がそれぞれでかなり違いますから。個性差も出やすいんです。この森で暮らす魔族は暗闇の中をよく見えたり、全く視力がない代わりに他の部分が発達して視力を補ったりしているものが多く、またこの森にはいくつもの毒性の植物が自生しておりますので、毒体制が強く自身の体の中に毒を持っている魔族も多いのです」
「……なるほど」
暗いだけで他の二つよりは安心かと思っていた勇者からたらりと汗が流れ落ちていた。全くそんなことなく何処に毒の植物が生えているかも分からない今間違って肌で触れてしまわないうちに立ち去りたい場所であった。
そろそろ次の場所に行こうかと冷や汗を垂らしながら勇者は言った。はいと暗く何も見えないと言っていたスイレイがすぐさま頷いてくる。毒が怖いのかは分からないところがあるものの去りたいのが自分一人ではないことに勇者はほっとしていた。
それではとマーナがまた指笛を吹く。そうすると先ほどのドラゴンが山の中、木々を倒し轟音を立てながら舞い降りた。出来た木々の隙間からかすかな明かりが見える。ふっとその明かりで足元を見ると数歩先に得体のしれない花が咲いていた。毒々しい色をしていて絶対毒の植物だと距離を取る。
マーナちゃんは大げさだななんて笑っていた。
森の次に行ったのは噴火しているんじゃないかと思うほど燃え続けている山の近くだった。もはや山と言っていいのかも分からないが、マーナは山と言っていた。すごいでしょうと聞いてくるマーナに頷きながら勇者は滝のように流れる汗を拭くことすら忘れてしまっていた。
おそらくこの山が崖の上でマーナ達が話していたスイレイの故郷だろう。
気に入っていただけましたかとスイレイが勇者をちらちらと見ては聞いてきていた。
「お、おう。すごい所だな。熱いけどパワーがたくさん感じられる」
「そうでしょう。僕もたまにここに来ては元気づけてもらっているんです。勇者様も落ち込んだことがあればぜひここに来てくださいね」
「あ。ああ……」
悪意なき善意の瞳が見上げてくるのに勇者は頷くしかない。離れたところでマーナは笑っている。
「次は豪風の谷に行こうと思うのですが、あそこは風が強くてすぐに飛ばされてしまいますから上だけで見ましょう。観察はできないのですがそれでも色んな魔族が見れますわ」
鉄板の上ではないのかと疑うほどに茹だった石の上、今度はマーナが勇者に手を伸ばしていた。ああと頷いてマーナが呼んでくれたドラゴンの上に飛び乗っていた。
数時間後、魔界の観光を楽しんだ後、勇者たちは魔王城に戻ってきている。観光が終わればすぐに帰るつもりだったが魔界観光が勇者の予想の何倍も激しいものだったためすっかり体力を使い切って動けなくなってしまったのだった。
そんな勇者をかいがいしく世話しながらマーナはねえ勇者様と問いかけていた。その顔は笑っているようだけど何処か緊張しているような様子もあった。
「あの、今日の魔界観光楽しかったですか。魔界のことどう思いましたか」
不安をたたえた目が勇者を見てくる。魔王城の廊下でだらしなく寝転んでいるしかなかった勇者はその目を丸く見開いた。見つめてくるマーナの姿が見える。色違いの目がじっと見つめてくる
どうでしたと聞く声は少しだけ震えていた。
「……楽しかったよ。俺が暮らすにはちょっと大変だと思ったけど、でも魔族たちはこういう所で暮らしているんだって思うと新たな発見とかもあったりしたし、楽しかった。
今日見られなかったところや、一回だけじゃ気付かなかったこととかもあると思うからできればまたしたいぐらいかな」
本心で勇者は言った。疲れて体は動かないけれど笑みを浮かべるのにマーナの瞳が輝いて笑みを浮かべる。はいと出ていく声。
「今度また一緒に魔界を見て回りましょう。でも私彼方の世界も見て回りたいです。その時は勇者様が案内してください」
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