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魔王の娘と平和の式典
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平和の式典の当日、マーナは式典が行われる国の城の中から広場を見下ろしていた。傍には勇者の仲間、斧使いの男が一人いるだけだ。見下ろす広場の中央には勇者と魔王が並んで立っていてその周りを妖精族、獣人族など様々な種族のお偉い人がそろっていた。
ぱちぱちと拍手が起こる。式典は和やかに進んでいるようなそんな印象がある。
マーナはそれをじっと見下ろしていた。
「どうだ。楽しむと言うのも変な話ではあるが楽しんでいるか」
傍にいる斧使いが問いかけるのにも顔を上げず頷くだけで視線が外れることはなかった。勇者と魔王が向き合って握手をしている所だった。声は聞こえなかったがこれからも共になんてそんなことを言っているのだろう。雰囲気で十分伝わってくる。
いつも暗い格好をしている魔王だが、今日は人間たちが用意した白い服を着ていた。
じっと見下ろすマーナに隣に立つ斧使いも広場を見下ろした。
「こうしてみると魔王ってやっぱ迫力あるって言うかああやって立っているのが様になっているよな。勇者はどうも危なっかしくみえるんだけどよ」
ほうと斧使いから漏れるため息。苦笑するとちらりとマーナの目が斧使いを見上げた。むうとその口が尖っている。
「そんなことないです。勇者様もとても格好いいです。あんなに人に囲まれていても堂々としています。勇者様に比べるとお父様は人前に出ることになれていなくて緊張していますし……」
「え、そうか。まあ……勇者が格好いいって言うのは分からなくても、周り見てたらそうなんだろうなって思えるけど……魔王が緊張しているってのはさっぱりわかんねえな。わりとみんな魔王の存在に威圧されて動けなくなってるみたいだけど」
「皆さんがそうでもお父様は緊張していますよ。皆さんが思っているほどお父様は怖い人ではありませんから」
「ふうん。俺からしたら魔王は恐ろしく強くて完璧な敵って感じだったけど、マーナちゃんからすると全然違うんだな……。やっぱ家じゃあだらだらしたり、母ちゃんの尻の下に敷かれたりしてんのか」
想像できないと斧使いが苦笑し問いかける。マーナはじっと勇者を見下ろしながら尻に? と首を傾けていた。どういうことですかと聞く。
「ああ、魔界じゃあそんな言葉ねえの。母ちゃんが言えの中の主導権を握っていると言うか、父ちゃんが母ちゃんの言う事には何でも聞くようなそんな感じだよ。勇者は完全に尻に敷かれるタイプだな」
「そうなんですか。……お父様はしりにはしかれていませんが、でもお母様のことが誰より大好きですよ。何よりもお母様を一番に愛していますし、お母様のために生きています」
「ふうん。じゃあ、愛妻家だ。愛妻家で娘想い。ずっと想像していた魔王様とは偉い違いだな。あ、愛妻家ってのは妻を大切にする旦那さんのことな」
「……はい。そうですね。お父様は愛妻家です」
一瞬大きく見開いていた色違いの目。金色の瞳の中に遠くにいる魔王の姿が映っていた。嬉しそうに頬を緩めて魔王を見つめる。ふふと口元が笑っていて愛らしい姿をしていた。ふわふわと気持ちに合わせて長いしっぽが揺れている。
その色違いの両目は暫くしてから勇者を見ていた。あのと今度はマーナの方から斧使いに声をかけている。
「勇者様はどうでしょうか。先ほど勇者様はしりにしかれるタイプと言っていましたが、愛妻家の方はどうですか。勇者様は愛妻家になるタイプでしょうか。結婚したら大切にしてくださいますか」
じいと色違いの目が見上げてくる。えと斧使いは首を傾けていた。
「勇者ああ、いや、まあそうだな。彼奴も愛妻家になるんじゃないか? 多分だけど」
「じゃあ、夫婦になったら私は幸せですね」
にこにことマーナが笑ってもう一度勇者たちを見下ろす。式典はフィナーレを迎えたのかラッパの音が華やかに鳴り響いて、周りの群衆はみな拍手をしていた。壇上にいる全員が頭を下げ、それから一人ずつ壇上から降りていっている。
うふっふとマーナは幸せそうだ。
壇上に最後に残るのは勇者と魔王。勇者がみんなに手を振りながら壇上から降りてきている。下からは見えないだろうが、群衆から隠れた場所に移動する勇者と魔王の姿がマーナ達がいる場所からは見えていた。
勇者がふと顔を上げて、目と目があう。すぐに勇者の方がそらしていたが、前にいる魔王に声を掛けてマーナのいる窓を指さしていた。魔王の黒い瞳とも目があう。
じっと見つめてくる目と目。
勇者はひらひらと手まで振っていて、マーナはすぐにそれに返していた。あーーと斧使いから声がでる。
「多分っていたけどこりゃあちょっと分かんねえな」
「ん? どうかしましたか」
「いや、なんでもねえけど勇者と仲いいなって」
「婚約者ですから」
「そっか」
ぱちぱちと拍手が起こる。式典は和やかに進んでいるようなそんな印象がある。
マーナはそれをじっと見下ろしていた。
「どうだ。楽しむと言うのも変な話ではあるが楽しんでいるか」
傍にいる斧使いが問いかけるのにも顔を上げず頷くだけで視線が外れることはなかった。勇者と魔王が向き合って握手をしている所だった。声は聞こえなかったがこれからも共になんてそんなことを言っているのだろう。雰囲気で十分伝わってくる。
いつも暗い格好をしている魔王だが、今日は人間たちが用意した白い服を着ていた。
じっと見下ろすマーナに隣に立つ斧使いも広場を見下ろした。
「こうしてみると魔王ってやっぱ迫力あるって言うかああやって立っているのが様になっているよな。勇者はどうも危なっかしくみえるんだけどよ」
ほうと斧使いから漏れるため息。苦笑するとちらりとマーナの目が斧使いを見上げた。むうとその口が尖っている。
「そんなことないです。勇者様もとても格好いいです。あんなに人に囲まれていても堂々としています。勇者様に比べるとお父様は人前に出ることになれていなくて緊張していますし……」
「え、そうか。まあ……勇者が格好いいって言うのは分からなくても、周り見てたらそうなんだろうなって思えるけど……魔王が緊張しているってのはさっぱりわかんねえな。わりとみんな魔王の存在に威圧されて動けなくなってるみたいだけど」
「皆さんがそうでもお父様は緊張していますよ。皆さんが思っているほどお父様は怖い人ではありませんから」
「ふうん。俺からしたら魔王は恐ろしく強くて完璧な敵って感じだったけど、マーナちゃんからすると全然違うんだな……。やっぱ家じゃあだらだらしたり、母ちゃんの尻の下に敷かれたりしてんのか」
想像できないと斧使いが苦笑し問いかける。マーナはじっと勇者を見下ろしながら尻に? と首を傾けていた。どういうことですかと聞く。
「ああ、魔界じゃあそんな言葉ねえの。母ちゃんが言えの中の主導権を握っていると言うか、父ちゃんが母ちゃんの言う事には何でも聞くようなそんな感じだよ。勇者は完全に尻に敷かれるタイプだな」
「そうなんですか。……お父様はしりにはしかれていませんが、でもお母様のことが誰より大好きですよ。何よりもお母様を一番に愛していますし、お母様のために生きています」
「ふうん。じゃあ、愛妻家だ。愛妻家で娘想い。ずっと想像していた魔王様とは偉い違いだな。あ、愛妻家ってのは妻を大切にする旦那さんのことな」
「……はい。そうですね。お父様は愛妻家です」
一瞬大きく見開いていた色違いの目。金色の瞳の中に遠くにいる魔王の姿が映っていた。嬉しそうに頬を緩めて魔王を見つめる。ふふと口元が笑っていて愛らしい姿をしていた。ふわふわと気持ちに合わせて長いしっぽが揺れている。
その色違いの両目は暫くしてから勇者を見ていた。あのと今度はマーナの方から斧使いに声をかけている。
「勇者様はどうでしょうか。先ほど勇者様はしりにしかれるタイプと言っていましたが、愛妻家の方はどうですか。勇者様は愛妻家になるタイプでしょうか。結婚したら大切にしてくださいますか」
じいと色違いの目が見上げてくる。えと斧使いは首を傾けていた。
「勇者ああ、いや、まあそうだな。彼奴も愛妻家になるんじゃないか? 多分だけど」
「じゃあ、夫婦になったら私は幸せですね」
にこにことマーナが笑ってもう一度勇者たちを見下ろす。式典はフィナーレを迎えたのかラッパの音が華やかに鳴り響いて、周りの群衆はみな拍手をしていた。壇上にいる全員が頭を下げ、それから一人ずつ壇上から降りていっている。
うふっふとマーナは幸せそうだ。
壇上に最後に残るのは勇者と魔王。勇者がみんなに手を振りながら壇上から降りてきている。下からは見えないだろうが、群衆から隠れた場所に移動する勇者と魔王の姿がマーナ達がいる場所からは見えていた。
勇者がふと顔を上げて、目と目があう。すぐに勇者の方がそらしていたが、前にいる魔王に声を掛けてマーナのいる窓を指さしていた。魔王の黒い瞳とも目があう。
じっと見つめてくる目と目。
勇者はひらひらと手まで振っていて、マーナはすぐにそれに返していた。あーーと斧使いから声がでる。
「多分っていたけどこりゃあちょっと分かんねえな」
「ん? どうかしましたか」
「いや、なんでもねえけど勇者と仲いいなって」
「婚約者ですから」
「そっか」
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