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魔族と洋服
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がやがやと王宮の広い部屋の中で騒がしい音がしていた。そこには人が多く集まり、それぞれが時に楽し気に、時に真剣な様子で手にしている布や紙を見ていた。今日は勇者が用意してくれた人間と魔族の交流会のひであり、広場に集まっているほとんどは洋服づくりにかかわる者たちであった。違うのは念のために会場内にいる勇者と勇者の仲間。それに魔王とともに来たマーナだけであった。
魔王とともに来たもののマーナ自身は服作りへの関心はそんなになくあらかた会場内を見て回った後は勇者の元に来て勇者と話していた。
「まさか魔王も来るなんて」
あたりを見渡し、そして一か所に目を向けた勇者がぽりぽりと頬を掻いている。視線の先にいるのは魔王で、魔王は一人の人に何かを聞いている様子だった。その手にはマーナに贈る為のものだろう服の形をしつつあるものが握りしめられていた。信じられない。そんな雰囲気すら感じる勇者の言葉にマーナはくすくすと笑っている。
「実はお父様が一番服作りに関心が高かったんですよ」
「……まあマーナちゃんに贈るふくを作るんだからね」
マーナの言葉に一瞬喉の奥を引きつらせた勇者だがすぐに思い出しては笑い直していた。
楽しみだねと勇者が聞けばマーナはにっこりと笑いはいと答えている。凄く楽しみなんですとマーナの目は魔王を見ていた。どんな服を作ってくれると思いますかという問いには勇者は答えられなかった。
二人で会話を楽しんだ後にマーナがそう言えばと会場内にいる勇者の仲間たちを見た。その一人アバンディはよく合うが、他の幼馴染や姫に僧侶とはマーナはしばらく会っていない
「……今日は皆さんいっらしゃるんですね」
「え、ああ、それが条件だったからね。安全を確保するって。まあ、魔王がいたら俺たちじゃあどうにもできないけど……」
ある程度答えてから勇者はその口元を軽く曲げていた。ごめんねと出ていくような声。聞こえた時にはマーナはもう既に首を振っていた。
「仕方ない事でもありますし、むしろこうして集まっていただけているだけでありがたいですから気にしないでください。
それよりほんとうにありがとうございます。勇者様には感謝してもしきれません。いつもいつも優しくしていただいてとても嬉しいです」
笑うマーナの笑みは嘘なんて欠片もないものであって、ほんの少しだけだが勇者も肩の荷が下りたように笑っていた。ありがとうとマーナに言えばマーナは不思議そうにしつつもどういたしましてと返す。
にこにこと楽し気に二人で笑って、それからまた会場の中を見ていた。
みんな楽しそうですねとマーナが言うから勇者もそうだねと頷いていた。会場にいる魔族には恐ろしい見た目の者もいるがうまいこと人と話せているようだった。交流会が始まった当初は緊張していた人達も今は平気そうで魔族たちと布を片手にたくさん話している。これならば成功したと言えるのかもしれないと勇者が見ていく。
その途中でふと騒ぎが起きているのに気づいた。
会場内の一角で魔族と人が何やらたがいに言い合っているようなのだ。慌てて勇者はここで待っていてとマーナに伝えてそちらに走る
どうしましたと声をかけたところその近くにいた人が勇者やその他にも駆け寄ってきていた人を見て困ったように口の端を上げていた。目が泳いで何もないんですがとそう言う。
ただそのと言いづらそうに争っている魔族と人を見ていた。
お互い顔を近づけて声を張り上げているもののそんなに険悪な雰囲気は感じない。ただそれでもいい争いをやめる様子はなくてどうしたらいいのだろうかと勇者は呆然としてしまう。それを助けてくれたのは近くにいた人で実はそのと言いづらそうに頬に手を当てて実はそのと言い争う二人を見て話す
「可愛いと可愛いが対決してしまったのです」
はいと勇者が目を点にして変な声を出してしまう。
目の前では魔族の男がここはこうがいいのと髪とリボンを手にして叫び、人間の女性は模型を手にしてそれでは駄目なんですよと叫び返していた。
これが可愛いこっちが可愛いとそれぞれが言葉にしている
魔王とともに来たもののマーナ自身は服作りへの関心はそんなになくあらかた会場内を見て回った後は勇者の元に来て勇者と話していた。
「まさか魔王も来るなんて」
あたりを見渡し、そして一か所に目を向けた勇者がぽりぽりと頬を掻いている。視線の先にいるのは魔王で、魔王は一人の人に何かを聞いている様子だった。その手にはマーナに贈る為のものだろう服の形をしつつあるものが握りしめられていた。信じられない。そんな雰囲気すら感じる勇者の言葉にマーナはくすくすと笑っている。
「実はお父様が一番服作りに関心が高かったんですよ」
「……まあマーナちゃんに贈るふくを作るんだからね」
マーナの言葉に一瞬喉の奥を引きつらせた勇者だがすぐに思い出しては笑い直していた。
楽しみだねと勇者が聞けばマーナはにっこりと笑いはいと答えている。凄く楽しみなんですとマーナの目は魔王を見ていた。どんな服を作ってくれると思いますかという問いには勇者は答えられなかった。
二人で会話を楽しんだ後にマーナがそう言えばと会場内にいる勇者の仲間たちを見た。その一人アバンディはよく合うが、他の幼馴染や姫に僧侶とはマーナはしばらく会っていない
「……今日は皆さんいっらしゃるんですね」
「え、ああ、それが条件だったからね。安全を確保するって。まあ、魔王がいたら俺たちじゃあどうにもできないけど……」
ある程度答えてから勇者はその口元を軽く曲げていた。ごめんねと出ていくような声。聞こえた時にはマーナはもう既に首を振っていた。
「仕方ない事でもありますし、むしろこうして集まっていただけているだけでありがたいですから気にしないでください。
それよりほんとうにありがとうございます。勇者様には感謝してもしきれません。いつもいつも優しくしていただいてとても嬉しいです」
笑うマーナの笑みは嘘なんて欠片もないものであって、ほんの少しだけだが勇者も肩の荷が下りたように笑っていた。ありがとうとマーナに言えばマーナは不思議そうにしつつもどういたしましてと返す。
にこにこと楽し気に二人で笑って、それからまた会場の中を見ていた。
みんな楽しそうですねとマーナが言うから勇者もそうだねと頷いていた。会場にいる魔族には恐ろしい見た目の者もいるがうまいこと人と話せているようだった。交流会が始まった当初は緊張していた人達も今は平気そうで魔族たちと布を片手にたくさん話している。これならば成功したと言えるのかもしれないと勇者が見ていく。
その途中でふと騒ぎが起きているのに気づいた。
会場内の一角で魔族と人が何やらたがいに言い合っているようなのだ。慌てて勇者はここで待っていてとマーナに伝えてそちらに走る
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「可愛いと可愛いが対決してしまったのです」
はいと勇者が目を点にして変な声を出してしまう。
目の前では魔族の男がここはこうがいいのと髪とリボンを手にして叫び、人間の女性は模型を手にしてそれでは駄目なんですよと叫び返していた。
これが可愛いこっちが可愛いとそれぞれが言葉にしている
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