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埋まらぬ距離に怒りの天罰
第一話
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晴天の下、女のように長い黒髪が足音に合わせて揺れる。高層ビルなどが立ち並ぶ処から少し離れた場所にある高級住宅街。人の姿が少ないその道を少年尾神蓮は歩いていた。まだ朝も早く日が昇ったばかりのその道を黙々と歩いて、たどり着いたのは一軒の家。赤い屋根のこれぞ西洋建築と言わんばかりの少し古びてはいるが豪勢な建物。柵が張り巡らされたその向こう一つ畑ができてしまいそうな立派な広さの庭を越えてその家は建っていた。残念なのはその庭の花壇には何も咲いておらず、庭にあるのは一本の大きな木だけであるという状況一つ。そんな屋敷ともいえる家の門を少年蓮は、懐から取り出したカギで開けようとしていた。ガチャリと音を立てて門のカギが開く 。
実に三日ぶりの家への帰還だった。
何故三日ぶりなのかと言えばとある理由でしばらく入院らしきものをしていたためだった。らしきものというのは、そこが病院ではなくある事務所の一室だったからである。
蓮が入院した理由は普通の人では考えられないことであった。吸血鬼に襲われ、あまつさえその血を全て吸われて生きているなど誰かに言ったところで先ず信じないだろう。
それでも彼は生きている。
一度、その体の中から血を全て失いながらも。
家の扉を開けるとき蓮は郵便ポストを見た。新聞などは取っていないのでパンパンになっていることはない。ただ、一通だけ黒い便箋がはみだすように入っていた。眉をしかめながら取り出すそれに差出人は書かれていない。ただ、押し印が押されていた。その模様は最近であったある者が付けているバッジと全く同じものであった。
封を開け蓮の顔は歪む。
2
「退院おめでとう。思ったより早かったわね」
「おめでとう。で、僕に言うことは」
家に帰ったはいいが中まで入らずに蓮は別のところに来ていた。そこはビルが立ち並ぶ人通りのおおい通りの中、堂々と意を構える何かの研究所のような施設である。その一室、作業用ディスクと応接用のソファしかないいつもの部屋で蓮を待っていたのは男と女性の二人だった。
二人は対照的な態度を見せる。一人は優しそうに蓮に微笑み、もう一人は不機嫌な様子を隠そうとしない。
「これ」
蓮は二人に言葉を返すことなく、家のポストに入っていた手紙を差し出す。微笑んでいた女性がそれを手にする。押されてある印を見て二人の顔つきが僅かながら変わった。中を覗くと一枚の手紙が入っていて二人がそれを覗き込む。
「尾神蓮殿へ。貴殿に私立葉水学園への転校をお頼み申し上げます。全ての手続きはこちらで整えております。この三日後をもって私立葉水学園生徒となることをご了承ください。ですって。お頼み申し上げますって書かれているのに、一切こちらのことは聞いて下さらないみたいね」
「……」
「どうするの」
蓮が女性に対して聞く。女性は酷く面白そうに笑った。おどけたように両手をあげる。
「どうしたもこうしたも。もうどうしようもないわ。手続きは全てすまされてあなたは葉水学園に通うしか方法はなくなったって訳。いいわよね」
蓮は答えない。自分に対して問われたことではないと分かっているから。
「いいわけないでしょ。すぐに問題起こして他の学校に転校するんだから」
「無駄なことは止めて頂戴。あなたが掴まるだけよ」
不機嫌な男を女性が止める。蓮はその様子を見ていた。
「ねぇ、もしかしてこうなること分かってた」
「ええ、あなたが入院したと知ったときにはもうすでにね。覚悟していたわ。……そうね、蓮。たまには学生生活というものを楽しんでみたら」
ふんわりと微笑んだ女に蓮は驚いた表情をした。そして、男は顔を歪める。
「何を言って居るんだい」
「いいじゃない。たまには。あなたもちゃんと分かっているでしょ。あの学園でむやみやたらに問題を起こすのは危険よ。時が来るまでは姿を隠していなさい」
「……仕方ないな」
「そう言うわけだから蓮。今暫く楽しみなさいよ」
女がにっこりと笑いかけてくるのに何も言えずにそれを見る。どうしたいのかは分からない。ただ頬が引きつる。恐ろしいことが起き始める。誰も言わなくても確かにそれを感じ取った。
「……」
黙りこくる蓮に女が微笑む。男がふて腐れて余所を向いていた。
3
「え?」
目を丸くした少女にまあ、仕方ないと蓮は思う。そう思いながらも自分からは何も言わず相手が話し出すのを待つ。
「えーーと、もう一度良い?」
言われた言葉に溜息を一つ。ひるんだ相手を睨み付ける。
「だから、転校する」
「いつ」
恐る恐る訪ねてくる相手に蓮は一つだけ間隔を置いて言葉を重ねた。
「明日」
短く口にした言葉は相手をもう一度固まらせるのには十分だったようで、繰り返し聞いた言葉にも初めて聞いたように固まっている。
「…………嘘」
「本当」
「……蓮君が転校するのよね」
「じゃないとわざわざ報告する意味がない」
「……そうよね。蓮君だから必要なこと以外は言わないはずだし……。だとしたら本当に……。そんな急すぎるよ。どうして」
涙目になる少女を蓮はため息を吐きながら見た。
「どうしてって、俺も聞きたい」
「え?」
「俺自身半分以上納得してないからね」
「あ、そうなんだ」
「そう」
不満げに呟く少女はだが次の瞬間には笑顔を見せた.
「蓮君。転校しても時たまで良いから連絡してきなさいよ。わかったわね」
「却下」
「なし」
「……」
「部長命令は絶対なのよ」
「……」
ニコニコと笑う言葉を改めなさそうな少女に蓮は深い深いため息を吐いた。
「よろしくね、蓮君。信じてるから」
笑いかける少女。再び短い溜息を落とす。
「馬鹿」
「馬鹿で結構。あ」
「い」
「う!」
「え」
「お! わーーあ! 初めて蓮君と意思疎通が出来たよ。私すっごくうれしい。またいつかあったらやろうね!」
「……馬鹿じゃない」
呟いた蓮に少女は楽しげに笑った
4
夕暮れの光を取り込んでその広い部屋は赤く染まっていた。窓際に置かれたディスクを挟んで二人の人間が対峙していた。一人は焦げ茶色のボサボサの髪をした少女中川理矢。この事務所の社長。 もう一人は灰色がかった茶色の髪をした険しい顔の男。男の手は分厚い書類を持ちそれを読みふけっていた。一枚一枚と紙をめくる度に男の顔はけわしく眉間のたてじわが濃くなっていく。
理矢は椅子に座りその様子をじっと観察していた。
ぺらりと最後の一枚がめくられる。
「で、どうしゃい。それが今度の転校生しゃいけど。あんたのクラスで大丈夫そう?」
今部屋を染める色と同じ色をした目がにんまりと細められる。それをスーツ姿の男は冷えた目で見つめ返した。
「俺のクラスで大丈夫じゃなく、どう考えてもこれは俺のクラスなんだろうが。たく。毎度毎度どこで拾ってくるんだこんな厄介なの」
乱雑に放り投げられる数十枚もの資料。それらはすべてたった一人の人物についてきるされていた。
「拾ってて……、別に私拾ってる訳じゃないんしゃいけど」
「拾ってるも同然だろ。」
緩く苦笑を漏らす少女に男は一刀両断する。どこまでも冷たい目。かちりと着込まれた黒いスーツとあわせると冷たい雰囲気を倍増させる。なのにも関わらず男の姿からはどこか草臥れた姿が見えた。
「何でもかんでも拾って拾って拾いまくってお前はあの場所をどうするつもりだ。そのうち破裂させたいのか」
「そんなつもりはないしゃいよ」
「どうだか。まあ、いい。転校生の件了承した。明日からだな。何ができるわけでも何をするわけでもないが一応は気を付けてみておく。では」
用件はすんだとばかりに返事もまたず男はきびすを返す。そんな男の動きが分かってたとばかりに理矢は苦笑を浮かべその背を見る。ドアノブを握るその姿に声をかける。が、帰ってくるのは冷たい声
「篠山。そんな急いで帰んないで今日は泊まってたらどうしゃい」
「結構。必要ない」
ばたんとドアが閉まる音がして、階段を下りる足音が響く。それと同じくばたんと今度はドアが開く音がする。でていたドアとは別のドア、理矢と丁度対面する形にあるそこから着物をきた男、清水が入ってくる所だった。ぱちりと明かりがつく
「明かりをつけたらどうです。ただでさえ目が悪いんですから」
いつもと同じ柔らかな表情。声。それでいて咎めるような口調。アンバランスな男に理矢は肩を竦める。
「仕方ないでしょ。アイツが明かりはつけない方が好きだって言うんだから」
「ああ、そうでしたね」
「で、どう思う清水は」
赤にも紫にも見える目が清水を見つめ問いかける。
「さあ、どうでしょうね? 私には何も。貴方は、社長は何を求めているんですか?」
「んーー、さあ? 私にもよくわかんないしゃい。 ただこうするとで少しでもなにかを救えたらいいってそれは思うんしゃいよ。ああ、でも」
ふっと彼女の視線が机の上を見る。一番上に置かれた書類。そこには仏頂面でつまらなそうな蓮の姿が写っている。
「救う前に問題は起きそうしゃいよね。あのバカとかがさやりそうしゃいよ」
実に三日ぶりの家への帰還だった。
何故三日ぶりなのかと言えばとある理由でしばらく入院らしきものをしていたためだった。らしきものというのは、そこが病院ではなくある事務所の一室だったからである。
蓮が入院した理由は普通の人では考えられないことであった。吸血鬼に襲われ、あまつさえその血を全て吸われて生きているなど誰かに言ったところで先ず信じないだろう。
それでも彼は生きている。
一度、その体の中から血を全て失いながらも。
家の扉を開けるとき蓮は郵便ポストを見た。新聞などは取っていないのでパンパンになっていることはない。ただ、一通だけ黒い便箋がはみだすように入っていた。眉をしかめながら取り出すそれに差出人は書かれていない。ただ、押し印が押されていた。その模様は最近であったある者が付けているバッジと全く同じものであった。
封を開け蓮の顔は歪む。
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「退院おめでとう。思ったより早かったわね」
「おめでとう。で、僕に言うことは」
家に帰ったはいいが中まで入らずに蓮は別のところに来ていた。そこはビルが立ち並ぶ人通りのおおい通りの中、堂々と意を構える何かの研究所のような施設である。その一室、作業用ディスクと応接用のソファしかないいつもの部屋で蓮を待っていたのは男と女性の二人だった。
二人は対照的な態度を見せる。一人は優しそうに蓮に微笑み、もう一人は不機嫌な様子を隠そうとしない。
「これ」
蓮は二人に言葉を返すことなく、家のポストに入っていた手紙を差し出す。微笑んでいた女性がそれを手にする。押されてある印を見て二人の顔つきが僅かながら変わった。中を覗くと一枚の手紙が入っていて二人がそれを覗き込む。
「尾神蓮殿へ。貴殿に私立葉水学園への転校をお頼み申し上げます。全ての手続きはこちらで整えております。この三日後をもって私立葉水学園生徒となることをご了承ください。ですって。お頼み申し上げますって書かれているのに、一切こちらのことは聞いて下さらないみたいね」
「……」
「どうするの」
蓮が女性に対して聞く。女性は酷く面白そうに笑った。おどけたように両手をあげる。
「どうしたもこうしたも。もうどうしようもないわ。手続きは全てすまされてあなたは葉水学園に通うしか方法はなくなったって訳。いいわよね」
蓮は答えない。自分に対して問われたことではないと分かっているから。
「いいわけないでしょ。すぐに問題起こして他の学校に転校するんだから」
「無駄なことは止めて頂戴。あなたが掴まるだけよ」
不機嫌な男を女性が止める。蓮はその様子を見ていた。
「ねぇ、もしかしてこうなること分かってた」
「ええ、あなたが入院したと知ったときにはもうすでにね。覚悟していたわ。……そうね、蓮。たまには学生生活というものを楽しんでみたら」
ふんわりと微笑んだ女に蓮は驚いた表情をした。そして、男は顔を歪める。
「何を言って居るんだい」
「いいじゃない。たまには。あなたもちゃんと分かっているでしょ。あの学園でむやみやたらに問題を起こすのは危険よ。時が来るまでは姿を隠していなさい」
「……仕方ないな」
「そう言うわけだから蓮。今暫く楽しみなさいよ」
女がにっこりと笑いかけてくるのに何も言えずにそれを見る。どうしたいのかは分からない。ただ頬が引きつる。恐ろしいことが起き始める。誰も言わなくても確かにそれを感じ取った。
「……」
黙りこくる蓮に女が微笑む。男がふて腐れて余所を向いていた。
3
「え?」
目を丸くした少女にまあ、仕方ないと蓮は思う。そう思いながらも自分からは何も言わず相手が話し出すのを待つ。
「えーーと、もう一度良い?」
言われた言葉に溜息を一つ。ひるんだ相手を睨み付ける。
「だから、転校する」
「いつ」
恐る恐る訪ねてくる相手に蓮は一つだけ間隔を置いて言葉を重ねた。
「明日」
短く口にした言葉は相手をもう一度固まらせるのには十分だったようで、繰り返し聞いた言葉にも初めて聞いたように固まっている。
「…………嘘」
「本当」
「……蓮君が転校するのよね」
「じゃないとわざわざ報告する意味がない」
「……そうよね。蓮君だから必要なこと以外は言わないはずだし……。だとしたら本当に……。そんな急すぎるよ。どうして」
涙目になる少女を蓮はため息を吐きながら見た。
「どうしてって、俺も聞きたい」
「え?」
「俺自身半分以上納得してないからね」
「あ、そうなんだ」
「そう」
不満げに呟く少女はだが次の瞬間には笑顔を見せた.
「蓮君。転校しても時たまで良いから連絡してきなさいよ。わかったわね」
「却下」
「なし」
「……」
「部長命令は絶対なのよ」
「……」
ニコニコと笑う言葉を改めなさそうな少女に蓮は深い深いため息を吐いた。
「よろしくね、蓮君。信じてるから」
笑いかける少女。再び短い溜息を落とす。
「馬鹿」
「馬鹿で結構。あ」
「い」
「う!」
「え」
「お! わーーあ! 初めて蓮君と意思疎通が出来たよ。私すっごくうれしい。またいつかあったらやろうね!」
「……馬鹿じゃない」
呟いた蓮に少女は楽しげに笑った
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夕暮れの光を取り込んでその広い部屋は赤く染まっていた。窓際に置かれたディスクを挟んで二人の人間が対峙していた。一人は焦げ茶色のボサボサの髪をした少女中川理矢。この事務所の社長。 もう一人は灰色がかった茶色の髪をした険しい顔の男。男の手は分厚い書類を持ちそれを読みふけっていた。一枚一枚と紙をめくる度に男の顔はけわしく眉間のたてじわが濃くなっていく。
理矢は椅子に座りその様子をじっと観察していた。
ぺらりと最後の一枚がめくられる。
「で、どうしゃい。それが今度の転校生しゃいけど。あんたのクラスで大丈夫そう?」
今部屋を染める色と同じ色をした目がにんまりと細められる。それをスーツ姿の男は冷えた目で見つめ返した。
「俺のクラスで大丈夫じゃなく、どう考えてもこれは俺のクラスなんだろうが。たく。毎度毎度どこで拾ってくるんだこんな厄介なの」
乱雑に放り投げられる数十枚もの資料。それらはすべてたった一人の人物についてきるされていた。
「拾ってて……、別に私拾ってる訳じゃないんしゃいけど」
「拾ってるも同然だろ。」
緩く苦笑を漏らす少女に男は一刀両断する。どこまでも冷たい目。かちりと着込まれた黒いスーツとあわせると冷たい雰囲気を倍増させる。なのにも関わらず男の姿からはどこか草臥れた姿が見えた。
「何でもかんでも拾って拾って拾いまくってお前はあの場所をどうするつもりだ。そのうち破裂させたいのか」
「そんなつもりはないしゃいよ」
「どうだか。まあ、いい。転校生の件了承した。明日からだな。何ができるわけでも何をするわけでもないが一応は気を付けてみておく。では」
用件はすんだとばかりに返事もまたず男はきびすを返す。そんな男の動きが分かってたとばかりに理矢は苦笑を浮かべその背を見る。ドアノブを握るその姿に声をかける。が、帰ってくるのは冷たい声
「篠山。そんな急いで帰んないで今日は泊まってたらどうしゃい」
「結構。必要ない」
ばたんとドアが閉まる音がして、階段を下りる足音が響く。それと同じくばたんと今度はドアが開く音がする。でていたドアとは別のドア、理矢と丁度対面する形にあるそこから着物をきた男、清水が入ってくる所だった。ぱちりと明かりがつく
「明かりをつけたらどうです。ただでさえ目が悪いんですから」
いつもと同じ柔らかな表情。声。それでいて咎めるような口調。アンバランスな男に理矢は肩を竦める。
「仕方ないでしょ。アイツが明かりはつけない方が好きだって言うんだから」
「ああ、そうでしたね」
「で、どう思う清水は」
赤にも紫にも見える目が清水を見つめ問いかける。
「さあ、どうでしょうね? 私には何も。貴方は、社長は何を求めているんですか?」
「んーー、さあ? 私にもよくわかんないしゃい。 ただこうするとで少しでもなにかを救えたらいいってそれは思うんしゃいよ。ああ、でも」
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