もしも、目の前で人が花になったとしたら。

砂名

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赤い向日葵

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 赤が好き。真っ赤な赤も、ピンクみたいな優しい赤も。
小学生の時のランドセルも赤にした。でも、私の時は今の子達みたいにパステルカラーなんて無かったから赤、ピンク、黒と青ぐらいだった。
 あぁ、でも一人だけちがってたっけ。
水色もいたなー、男の子で。…あれ?だれだったけ。仲良かったと思ったんだけど。ぼやっとしか覚えていないな。そんなに昔の事じゃないハズなのに。
 たまに不思議に思って考えるのだけれど。
何かが始まったとしら、きっといつか終わる日がくる。それが長期の休みとかゲームのイベントとかだったら終わる時間がハッキリしている。でも、友達や親友、恋人だと始まりはなんとなく分かっても終わりがハッキリしていないのだ。昨日までは親友で今日はもうただの友達、とか。別れたから明日から赤の他人、なんて。もしかしたら今日、明日なんて区切りじゃなくて時間でも分かれるのかな。
そう考えたら何だかおままごとみたいに思えてしまって少し笑った。
 私と君は、今でも友達なのかな。
 久しぶりに会いたい…な。

少しゆっくり歩き過ぎてしまった。数メートル先に赤いチェックのリードに繋がれた飼い犬が待っている。早く行きたいだろうに首にとても不愉快な物が付いてるからあんまり離れすぎると苦しいのだろう。多分、愛らしくご主人をただひたすらに待っててくれるような子でもないから。

赤が好き。だからこの紅葉の木が茂る道を歩くのが楽しい。たまに黄色や茶色、それからちょっと臭い銀杏のにおいも。そうだ、焼き芋でも買いにいこうかな。近くのスーパーに美味しい焼き芋屋さんが来てる頃だ。
と、鼻歌を口ずさもうと息を吸った。
 
 鋭い、心臓がひゅっとなるような痛い音。

 こういう時、ドラマみたいにハッなんて息を飲むほど頭の回転は良くない。
だから普通に吐いた。

クラクションの音。ブレーキの音。金属か擦れ合う音。…ぶつかる音。何かがカランと転がる音。
 一瞬の沈黙。
 天使が通った。

きっと皆、同じタイミングで。叫ぶ。叫ぶ。




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