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三話

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あれから、数日後・・・

「フィグネリア様から貰ったお金もそろそろ底を尽きそうですね。ここら辺で誰か居ないですかね」

そこに、都合良くちょっと金持ちそうな、男性が歩いてきた。

「あのーすみません、ちょっと宜しいですか?」

「え、あ、はい。なんですか?」

「ちょっと遊戯ゲームをしましょう。私が勝てば駒はいいので貴方の残金から4割を、貴方が勝てば貴方にこの駒を差し上げましょう」

「え?お金ですか?いやいや、遊戯ゲームなんかせずともお渡ししますよ、いくら必要ですか?」

こ、この人・・・神様だ!

「え、えーと因みにいくら所持されているのですか?」

「十万ギル位ですかね、で?いくらですか」

「失礼でなければ、二万ギルをいただけますか?」

「全然いいですよ、この位は」

「あ、ありがとうございます!」

僕は深く頭を下げた、頭が膝にあたるのではないかと思うほど丁寧に

「いえいえ、こちらこそお役に立てて光栄です。もしかして貴方はこの先の龍の国に向かってらっしゃるのですか?」

「そうです」

「武器も無く?」

「ええ」

「それはとても危ないです!もし良ければこの剣をお持ちになって下さい!きっと役に立つはずです」

この男性は普通の、至って普通の剣をくれた

どれ程僕なんかに尽くしてくれるのだろうか、こんなことは一生に一度しかないだろう。その一度がこれかも知れない

「では、お気を付けて」

「はい、そちらこそ」

心優しい男性によってニ万ギルを手に入れた。

てれてれてってってー

よーし、説明しよう!ギルとはこの世界で共通している硬貨、紙幣のことで日本円にして、一ギル=五十円で、二万ギルは現実で百万円になるほどだ、良く分かったかな?ではまた。

その後、大分足跡が目立つ泥濘を進み、草一つ生えてない道を進み、永遠と雨の降る街を越え、ついに到着、龍の国入り口

「うっ、入り口でも凄い迫力が伝わる。これが龍の国・・・でもこんなところで怖じ気ついてるわけにもいかないから、進むしかないですね」

と、雅徳が次の一歩を踏み出したその時、一体の紅い龍が現れ襲い掛かって来た

「っ!・・ふう、間一髪ですね。彼方がその気なら、此方もそれに見合った物にしないといけませんね。・・・・・ハハハハッ!マサノリィ、変わるのが遅せぇよ!俺の活躍がどんどん減っちまうじゃねーか!」

そう、雅徳はいわゆる『二重人格』というやつなのだ。
雅徳が二重人格なのは、小さい時に病気で死んだ兄『桜場義知よしとも』の性格が憑依したからだ。そのせいか、雅徳が怒ると、良く義知と入れ替わっていた。

「へえー、おまえが俺に勝負を挑んで来たのか、おもしろそうじゃねーか!ドラゴンと戦う機会なんて、そうそうねえーからなあ!」

先制攻撃をかましたのはヨシトモ、だが、全く攻撃が効いていないようだった

「なんだこいつ、硬ってえーなー・・チッ、回り込むか」

回り込もうと、ステップを踏んだ瞬間

「グルアアアッ!」

紅い龍は、右腕を左方向に振りヨシトモをはね除け、尾を振るモーションに入った

「チッ、防ぎ様がねえ!これを喰らったらどうにもならねーな、どうするオレ!」

紅い龍が尾を振ろうとしたその瞬間!

空から二本の黒く禍々しい剣が降ってきて、紅い龍を怯ませた後にヨシトモの意識を白い空間に飛ばした

「・・・なんだ、オレに用か?」

「オマエ・・・コノ・・・ケンヲ・・ツカエ・・」

「は?この剣を使えって?」

「ソウダ・・・オマエニ・・ツヨイチカラ・・・アタエル」

「強い力ね・・・はっ、面白そうだな!いいだろう使ってやんよ!」

その言葉と同時に、ヨシトモの意識が戻されすぐに二本の剣を手に取り、攻撃体制に入った

「うっ・・・こいつ、力強すぎんだろ・・・でもな、このオレにかかればこんなもんは余裕で制御できるんだよ!」

ヨシトモは剣を構え、回転切りから連続切りへ移行し紅い龍の中心部を狙い切りつけた。

「ハハハハ!!もっとだ!もっと強く!」

ヨシトモは狂ったように剣を振り紅い龍をオーバーキルしてるのではないかというほど体力を削った

「ハア・・・・ハッ!」

会心の一撃が紅い龍に決まった

「静かに眠れ、永遠に・・・」

『おめでとう、よし兄。じゃあそろそろ変わりますね』

「もうちょっと待ってくれ、すぐに変わる」

ヨシトモは武器一覧を開き、この剣の名前を調べ始めた。

「『絶命龍  ダーク・イヴ・ソルジャー』・・・なにこれ、中二臭いな・・・でも名に恥じぬ強さだ」

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『絶命龍  ダーク・イヴ・ソルジャー』
・絶望龍  ダークソルジャードラゴンと絶滅龍  イヴソルジャードラゴン、二体の魂が込もっている剣。
・二体分の力が込もっている為、暴走が良く起こり、使用者を暴走させ多くの命を奪ってきた魔剣。
・使用者はこの剣が勝手に決める
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「なるほど、こんな剣なんですか。これはよし兄が持っておくべきですね」

「ああ、オレ専用だな!」

『じゃあそろそろ変わってもらいませんか?』

「あ、ごめんごめん。すぐ変わる」

「・・・ふう、ようやく変わってもらえましたよ。では、もうちょっと奥に行ってみますか?戻りますか?」

『行くに決まってんだろ!分かりきった事を言うな』

「はい、すみません(笑)」

『ほら、さっさと動け!』

そうして、雅徳と義知(意識のみ)は龍の国を奥に進んで言った・・・

───────

一方その頃、フィグネリア様がいるグリセラルでは・・・

「つ、ついに!やったわ!成し遂げたわ!私の夢の第一歩を!」

さて、フィグネリアが成し遂げた、夢の第一歩とは
雅徳と義知は龍の国を無事に帰還出来るのか・・・
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