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第百四十三話
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奈々実の妄想は杞憂に終わった。状況認識が完全に間違っていて、魔力封じの首輪をした奈々実をシエストレムの鎖でつないで、セヴランが奈々実の魔力をコントロールするのであれば、あの現象は起こらない。あれは、首輪をはずした状態の奈々実がセヴランと離れた場所で全力で魔力を使った場合に起こったわけで、言ってみれば非常事態警報、奈々実がまだきちんと自分で制御できないのに魔力を使っていることをセヴランに報せる、そういったものであるらしい。
「それ、すっごい迷惑じゃないですか?」
非常事態警報なら、セヴランは奈々実のいる場所に急行する、というのが道理なのに、逆に動けなくなってしまうって、警報じゃないじゃん、と奈々実は思った。
「動くな、余計なことをするな、という警報なんじゃないか? イネス殿がいて、きちんとサポートしているから、俺が手出しをする必要は無い、だから、動くな、という意味なのだとしたら?」
そうであるとしても、迷惑な警報だ。セヴランの負担が理不尽だということと、自分がおかしな妄想をしたのだということに赤くなってもじもじしている奈々実は可愛い。そういう様子を見せられると、セヴランはちょっかいを出したくなる。奈々実の隙をついて腕の中に捕獲し、耳元にささやく。
「もしもお前の妄想のほうが正しくて、俺が勃ちっぱなしになったら、どうするつもりだったんだ? んん?」
からかわれて、奈々実は真っ赤になる。そうなった時のセヴランのアレは硬くて、熱くて、大きくて・・・。
「俺のを握ったままで、魔力をチャージするのか?」
イケメンが真顔でエロ発言しないでほしい。まったく何を言い出すのやら。ピンクは魔力が最弱の時のマジカル・スターの色だけれど、あれは淡い、上品なピンクだ。今のセヴランのエロ発言では、ピンクはピンクでも幼女むけのテレビアニメの魔法のようなプリティーなピンクの波動になりそうで、奈々実は眩暈を覚えた。
「かなり安定して、波動が黄色の状態でチャージができるようになったと言っていたよな?」
「あ、はい」
真面目な話をするのなら、腕の中に抱き込んで話すのではなくて、ちゃんとテーブルを挟んで向き合って対談してほしい。抱きしめられた状態では、ドキドキして話の内容がきちんと頭に入らない。
「じゃあ明日、やってみようか。午前中は商船の入港検査に立ち会わなければならないが、午後ならあけられる」
言いながら、セヴランの手はすばやく動いて、奈々実の肌を露わにしていく。
「え・・・、と、セヴラン様・・・?」
首筋に顔をうずめてくるセヴランに、奈々実は戸惑う。戸惑うけれど、逃げることはできない。
「おいで」
なかなか痩せない子ブタの身体を、ひょいと抱き上げられる。本当に自分なんかがこんなイケメンの側にいていいのかな、と、奈々実はいつも思う。
「それ、すっごい迷惑じゃないですか?」
非常事態警報なら、セヴランは奈々実のいる場所に急行する、というのが道理なのに、逆に動けなくなってしまうって、警報じゃないじゃん、と奈々実は思った。
「動くな、余計なことをするな、という警報なんじゃないか? イネス殿がいて、きちんとサポートしているから、俺が手出しをする必要は無い、だから、動くな、という意味なのだとしたら?」
そうであるとしても、迷惑な警報だ。セヴランの負担が理不尽だということと、自分がおかしな妄想をしたのだということに赤くなってもじもじしている奈々実は可愛い。そういう様子を見せられると、セヴランはちょっかいを出したくなる。奈々実の隙をついて腕の中に捕獲し、耳元にささやく。
「もしもお前の妄想のほうが正しくて、俺が勃ちっぱなしになったら、どうするつもりだったんだ? んん?」
からかわれて、奈々実は真っ赤になる。そうなった時のセヴランのアレは硬くて、熱くて、大きくて・・・。
「俺のを握ったままで、魔力をチャージするのか?」
イケメンが真顔でエロ発言しないでほしい。まったく何を言い出すのやら。ピンクは魔力が最弱の時のマジカル・スターの色だけれど、あれは淡い、上品なピンクだ。今のセヴランのエロ発言では、ピンクはピンクでも幼女むけのテレビアニメの魔法のようなプリティーなピンクの波動になりそうで、奈々実は眩暈を覚えた。
「かなり安定して、波動が黄色の状態でチャージができるようになったと言っていたよな?」
「あ、はい」
真面目な話をするのなら、腕の中に抱き込んで話すのではなくて、ちゃんとテーブルを挟んで向き合って対談してほしい。抱きしめられた状態では、ドキドキして話の内容がきちんと頭に入らない。
「じゃあ明日、やってみようか。午前中は商船の入港検査に立ち会わなければならないが、午後ならあけられる」
言いながら、セヴランの手はすばやく動いて、奈々実の肌を露わにしていく。
「え・・・、と、セヴラン様・・・?」
首筋に顔をうずめてくるセヴランに、奈々実は戸惑う。戸惑うけれど、逃げることはできない。
「おいで」
なかなか痩せない子ブタの身体を、ひょいと抱き上げられる。本当に自分なんかがこんなイケメンの側にいていいのかな、と、奈々実はいつも思う。
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