42 / 109
42. 月明かりに映る人
しおりを挟む
「ミク、やっと寝たね……」
「うん……」
部屋に戻っても、ずっと絵本を読んでいたミク。読み疲れてやっと眠りについて、リコ達がホッとため息ついた
「私達、ちょっと仕事してくるから出るけど、リコ一人で大丈夫?」
「うん、たぶん……」
「終わり次第、すぐ戻るから」
「うん、分かった……」
クルミとモモカに生返事で答えるリコ。クルミが頬っぺたを優しく叩いた
「ちょっとリコ、大丈夫?」
「ううん……。ミクが、レイさんにお父さんに似てるって言ったのが気になって……」
「お父さんに会いたいから、そう言ったんじゃない?」
「そうなのかなぁ?」
と、またミクをボーっと見ているリコに、クルミとモモカが目を合わせ、またため息ついた
「本当、ボーッとして……。ミクと二人で大丈夫?」
「うん、大丈夫だから。早く行って、早く戻ってきて」
クルミとモモカが部屋を出て数時間後の深夜遅くに、目が覚めたミク。隣で眠るリコを起こさないようにベッドから降りて、部屋の中にあるトイレに向かってく。暗い部屋をそーっと歩き、トイレから戻ってくると、ベッドの隣のテーブルに置いていた絵本を取りソファーに座った
「お父様とお母様は元気でしょうか……」
と呟き、絵本をめくる。月明かりを便りに、絵本を読んでいると、ミクが隣にいないことに気づいたリコが目を覚ました
「ミク、起きたの?」
急に聞こえたリコの声に驚くミク。思わずパタンと絵本を閉じた
「ごめんなさい。起こしちゃった……」
「ううん、大丈夫。一緒に読もう」
パチッと電気をつけて、明るくなった部屋でソファーに座り一緒に絵本を読んでいると、扉がそーっと、音をたてないように開いた
「あれ?二人とも、まだ起きてたの?」
寝ていると思っていたミクが起きていて驚くクルミ。モモカも部屋に入ると、静かだった部屋が急に賑やかになった
「クルミさん、モモカさん!」
二人が部屋に来て喜ぶミク。二人のもとに駆け寄ろうとして、ソファーから降りた時、突然辺りをキョロキョロと見渡した
「あれ……?」
と、ベッドの下やトイレを何かを探しているのか、あっちこっちと部屋中を見て回っていく
「ミク、どうしたの?」
「お母様の唄声が……」
とリコと話ながら窓を開け外を見渡していると、何かを見つけたのか、外を見て笑顔でピョンピョンと飛び跳ねはじめた
「お母様だ!」
と、突然叫んだミク。その叫んだ言葉に慌てて窓に駆け寄るリコ達。だが、暗い外には誰も見当たらない
「どこにいるの?」
「あれ!うたを唄ってます!」
ミクが指差す先に、月明かりに木の上に動く人影。その人影に気づいたリコ達。逆光で見えない人影の顔を確認しようと、三人もその人影を見ていると、リコ達にも女性の唄声が聞こえてきた
「お母様!」
「ミク!危ないよ!」
窓に乗り上げ、落ちそうになるミクをクルミが辛うじて支える。ジタバタと動くミクに、モモカも一緒に抱えていると、月明かりで一瞬木の上にいた人物の表情が見えた
「あの人、ミクの家にいた……」
リコが、見えたその人の顔に驚いていると、少しずつ唄声が聞こえなくなっていく
「お母様!待って!」
ミクの叫び声も空しく、唄声もその人影も消えてしまった
「行っちゃった……」
リコがポツリと呟いていると、クルミに抱えられたいたリコが、胸を押さえて苦しみだした。慌ててクルミがゆっくりと抱えてベッドに寝かせると、モモカが医師を呼ぶため部屋を飛び出し、医務室へと走っていった
「あの人、ミクの家にいた人だよね……」
「うん、唄声も一緒だったような……」
と見えた人影を確認しつつ、苦しむミクをただ見守ることしかできない二人。しばらくすると、夜中にも関わらずバタバタと音をたて、医師や看護師、隊員達と、大勢の人達が部屋に入ってきた。部屋の隅に追いやられ、検査の様子を見守っていると、突然、リコがクルミとモモカの腕をつかんだ
「ミクのこと、お願いします」
と。近くにいた女性隊員に声をかけると、クルミとモモカの腕を無理矢理引っ張り部屋を出た
「ちょっとリコ、どこに行くの?」
二人の腕を引っ張り続け、早歩きで進んでいくリコ。転びそうになる二人を気にせず、廊下を歩き続けていく
「レイさんに報告しなきゃ……一緒に行こう」
「うん……」
部屋に戻っても、ずっと絵本を読んでいたミク。読み疲れてやっと眠りについて、リコ達がホッとため息ついた
「私達、ちょっと仕事してくるから出るけど、リコ一人で大丈夫?」
「うん、たぶん……」
「終わり次第、すぐ戻るから」
「うん、分かった……」
クルミとモモカに生返事で答えるリコ。クルミが頬っぺたを優しく叩いた
「ちょっとリコ、大丈夫?」
「ううん……。ミクが、レイさんにお父さんに似てるって言ったのが気になって……」
「お父さんに会いたいから、そう言ったんじゃない?」
「そうなのかなぁ?」
と、またミクをボーっと見ているリコに、クルミとモモカが目を合わせ、またため息ついた
「本当、ボーッとして……。ミクと二人で大丈夫?」
「うん、大丈夫だから。早く行って、早く戻ってきて」
クルミとモモカが部屋を出て数時間後の深夜遅くに、目が覚めたミク。隣で眠るリコを起こさないようにベッドから降りて、部屋の中にあるトイレに向かってく。暗い部屋をそーっと歩き、トイレから戻ってくると、ベッドの隣のテーブルに置いていた絵本を取りソファーに座った
「お父様とお母様は元気でしょうか……」
と呟き、絵本をめくる。月明かりを便りに、絵本を読んでいると、ミクが隣にいないことに気づいたリコが目を覚ました
「ミク、起きたの?」
急に聞こえたリコの声に驚くミク。思わずパタンと絵本を閉じた
「ごめんなさい。起こしちゃった……」
「ううん、大丈夫。一緒に読もう」
パチッと電気をつけて、明るくなった部屋でソファーに座り一緒に絵本を読んでいると、扉がそーっと、音をたてないように開いた
「あれ?二人とも、まだ起きてたの?」
寝ていると思っていたミクが起きていて驚くクルミ。モモカも部屋に入ると、静かだった部屋が急に賑やかになった
「クルミさん、モモカさん!」
二人が部屋に来て喜ぶミク。二人のもとに駆け寄ろうとして、ソファーから降りた時、突然辺りをキョロキョロと見渡した
「あれ……?」
と、ベッドの下やトイレを何かを探しているのか、あっちこっちと部屋中を見て回っていく
「ミク、どうしたの?」
「お母様の唄声が……」
とリコと話ながら窓を開け外を見渡していると、何かを見つけたのか、外を見て笑顔でピョンピョンと飛び跳ねはじめた
「お母様だ!」
と、突然叫んだミク。その叫んだ言葉に慌てて窓に駆け寄るリコ達。だが、暗い外には誰も見当たらない
「どこにいるの?」
「あれ!うたを唄ってます!」
ミクが指差す先に、月明かりに木の上に動く人影。その人影に気づいたリコ達。逆光で見えない人影の顔を確認しようと、三人もその人影を見ていると、リコ達にも女性の唄声が聞こえてきた
「お母様!」
「ミク!危ないよ!」
窓に乗り上げ、落ちそうになるミクをクルミが辛うじて支える。ジタバタと動くミクに、モモカも一緒に抱えていると、月明かりで一瞬木の上にいた人物の表情が見えた
「あの人、ミクの家にいた……」
リコが、見えたその人の顔に驚いていると、少しずつ唄声が聞こえなくなっていく
「お母様!待って!」
ミクの叫び声も空しく、唄声もその人影も消えてしまった
「行っちゃった……」
リコがポツリと呟いていると、クルミに抱えられたいたリコが、胸を押さえて苦しみだした。慌ててクルミがゆっくりと抱えてベッドに寝かせると、モモカが医師を呼ぶため部屋を飛び出し、医務室へと走っていった
「あの人、ミクの家にいた人だよね……」
「うん、唄声も一緒だったような……」
と見えた人影を確認しつつ、苦しむミクをただ見守ることしかできない二人。しばらくすると、夜中にも関わらずバタバタと音をたて、医師や看護師、隊員達と、大勢の人達が部屋に入ってきた。部屋の隅に追いやられ、検査の様子を見守っていると、突然、リコがクルミとモモカの腕をつかんだ
「ミクのこと、お願いします」
と。近くにいた女性隊員に声をかけると、クルミとモモカの腕を無理矢理引っ張り部屋を出た
「ちょっとリコ、どこに行くの?」
二人の腕を引っ張り続け、早歩きで進んでいくリコ。転びそうになる二人を気にせず、廊下を歩き続けていく
「レイさんに報告しなきゃ……一緒に行こう」
0
あなたにおすすめの小説
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる