ぱすてるランページ

シャオえる

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43. 不安よりも明るい声を

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 レイの部屋の扉をドンドンと音をたて叩くリコ。しばらく叩き続けていると、ゆっくりと扉が開きレイが眠そうな顔で出てきた
「どうした?こんな夜中に三人揃って……」
「あの、ミクが、また倒れて……」
 レイを見るなり、あたふたと話はじめたリコ。寝起きでまだ寝ぼけているレイは話が読めず、首をかしげている
「部屋の外に、お母さんが現れたと叫んで、うたも聞こえてきて……」
 クルミとモモカが落ち着いて説明をしていると、少しずつ目が覚めてきたレイが、話を聞いて険しい表情になった
「三人も見たのか?」
「はい。ミクの家で見た人と同じで、唄声も同じだったような……」
「それで今は?」
「姿が消えたと同時にミクが倒れてしまって……。今、診察してもらってます」

「そうか。今は部屋には行けないのか……」
 と、一通り状況が分かると考え込みだしたレイ。不安そうにリコ達がレイの返事を待っていると、一度部屋に戻り、服を着替えてリコ達の前に現れると、一つため息ついてパタンと部屋の扉を閉じた
「行くぞ」
 と、部屋を出るなりスタスタと廊下を歩きはじめたレイに、慌てて後を追うリコ達。バタバタと騒がしく本部内を歩くリコ達を、同じく廊下を歩いていた隊員達が、不思議そうに見ている
「えっ?レイさん、どこに?」
「見たと言う場所だ。外にいたんだろう?」



「ここです。この木の上にいて」
 ミクの部屋のすぐ側に来たリコ達。まだ暗い時間の中、空を見上げて、先程人影がいた木の上を確認していく
「唄声も聞こえたと……」
「はい、ミクの唄っていたのと同じうたが……」
 とクルミの返事を聞いて、木の上まで飛んで辺りを見渡して、しばらくするとリコ達の元に戻ってきた
「それで、うたを聞いて本はどうなった?」
「現れませんでした。ですが、苦しそうに倒れて……」
 と、話をしていると、ミクの部屋の窓が開いた。開いた音に気づいて窓を見ていると、ミクが少し窓から体を出して、辺りを見渡しはじめた

「あっ!皆さん、何してるんですか?」
 リコ達に気づいたミクが大きく手を振り呼びかける。窓から体を半分出して手を振るミクに、リコが窓の下まで駆け寄る
「ミク、危ないよ!部屋に戻って!」
 とリコが声をかけても、笑って誤魔化して外をキョロキョロと見渡していると、クルミがミクに声をかけた
「ミク、もう検査は終わったの?」
「はい。皆さん帰られて、部屋の中には私一人です」
「えぇっ!」
 ミクの返事に慌ててミクの部屋の窓に向かって、ふわりと飛び、部屋の中に入ったリコ。クルミとモモカも後を追うように、ふわりと浮いて窓からミクの部屋の中に入っていく

「スゴい!私も空飛びたい!」
 リコ達が飛んでいる姿をはじめて見て、テンションが上がり三人の側をウロチョロと動き回る
「今度ね。それより、今日は眠ろう」
 と、クルミが眠るように誘っても、眠たい様子もなく元気一杯に、はしゃぎ回るミク。明るい声が外まで聞こえて、外に残っていたレイが、ミクの部屋の窓を見て、クスッと微笑む
「魔力は力を貸さなくとも、日に日に増えているか。……予定通りなのかもしれないな」
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