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シャオえる

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67. 守るべき時に守れるように

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「あれ?ここ……」
 朝、目を覚ましたミクが目を擦りながら、部屋の中を見渡している
「……夢だったのかな?」
 リコ達がいない事に気づいて、夜中の事をボーッと思いだしながら、ベッドから降りると、部屋の外から騒がしい声が聞こえてくる。足音をたてず、そーっと扉の側にある少し高い場所にある窓から背伸びをして、まだ騒がしい声が聞こえる、外を見た





「おや、君達は……」
 ミクが起きるホンの少し前、ミクのいる建物の入り口前では、ミクを部屋に戻してから、ずっと入り口前にいたリコ達にレグスが声をかけていた
「レイに教えてもらったのかな?悪いことするね」
 クスッと笑って話をするレグスに、ミクが勢いよく頭を下げた
「ミクの保護任務を続けさせてもらいたいのですが……」
 クルミとモモカも頭を下げてお願いをする。三人のお願いにレグスが少し困った顔をしている
「んー。それはどうしようか……。あの子には、急いで本を書いてもらわないといけないんだ。君達と遊ばせるわけには……」
「お願いします。ミクと一緒に……」
「……リコさん?クルミさんもモモカさんも居るのですか?」
 声を上げ話をしていると、窓から少し顔を出して、リコ達を見ているミクがいた

「ミク、起きたの?」
 元気そうな声とミクの顔を見て、ホッと安堵しながら、声をかけるリコ。一方ミクは背伸びをしていて、あまりよく見えない外の様子に少し戸惑っていた
「あの……ここは……」
「ゴメンね、もうちょっと部屋で待ってて」
「……は、はい」
 リコに言われて、窓なら離れてベッドに戻り座ると、置いていた本を二冊とも抱きながら、微かに聞こえる話し声に耳を傾けた


「そんな怖い顔されたら、困るな……」
 窓からミクがいなくなり、レグスを睨んだリコ。そのリコの表情を見たレグスが笑うと、慌ててモモカが後ろからぎゅっと抱きしめた
「リコ、落ち着いて……」
「そうだよ。怒ってたら、大切なものを守るべき時に守れないよ」
 三人の様子を見て、クスッと笑ったレグス。おもむろに手を上げるとパチンと指を鳴らした。その直後、地面がグラグラと揺れだした
「なに……地震……」
 揺れのせいで足元がおぼつかず、三人が体を寄せあっていると、頭の上から小さい瓦礫が降ってきた。慌ててミクのいる建物の方に振り返ると、あちらこちらと瓦礫落ち、天井が崩れ落ちはじめていた

「ミク!」
「行っちゃダメ!危ない!」
 ミクを助けようと建物の中に入ろうとするリコを、慌てて引き留めるクルミとモモカの側に、レグスが近寄ってきた
「本の一族なら、このぐらいで死ぬはずもない」
 目の前に広がる崩れ落ちていく建物を見ながら、淡々と話すレグスに、怒りで震えるリコ。体をつかんでいたクルミとモモカを振り切って、レグスに詰め寄っていく
「だからって急に……」
「本の一族だからといって、無理をさせてはいけないのでは?」
 リコと同じく、少し怒った声で話しかけてきたのは、ミクを抱き、崩れた建物の上からレグスを睨んでいるレイがいた

「レイか。君が助けるとは意外だな」
「一族の本は万能でも何でもありません。本部の信念と同じ、人々の幸せために。との思いがありますが……」
 と話ながら、ゆっくりと降りて、リコ達の側にミクを下ろすと、ミクを強く抱きしめる三人。何が起きたかよく分かっていないミクは、泣いているリコ達を見てキョトンとしている

「それは、失礼。副本部長として今回の行動を恥じねばならないな」
 と、レイに言いながらも、視線はリコ達を見て笑うレグス。その視線に気づき、レグスを睨むように見るリコ達。まだ状況が読めずにいるミクは、不穏な雰囲気に、ぎゅっと本を抱いてモモカの背中に隠れると、レグスがミクの側に近づいてきた
「なら、もう少し君達には保護任務を続けてもらおうか」
 そうリコ達に話しかけながら、ミクの前に立ち止まると、本を見て不敵に微笑み、ミクに話しかけた
「君のその本、素敵な本になることを願っているよ」
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