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93. 帰りのうたが聞こえたら
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レグスが会議室から出て、ゆっくりと扉が閉まると、一気に緊張感が解けて、深く深呼吸するリコ達。ミクもペタンと床に座ってふぅ。とため息ついた
「ミク、大丈夫?」
「怖かったです」
泣きそうな声で返事をするミクに、カフカもはぁ。とため息ついた
「あいつは、もう少し優しく笑えれば、皆に好かれるんだがなぁ……」
とポツリ呟いて、ミクの側に来ると視線を合わせるように少し屈んで、モモカに抱かれて泣いているミクにニコッと笑う
「大丈夫かい?食堂行って美味しいものでも食べて、元気だしな」
話しかけられて少し顔をあげカフカの顔を見るミク。ニコニコ笑っているカフカを見て、小さく頷くとゆっくり立ち上がった
「大丈夫?歩ける?」
「歩けます。ごめんなさい」
ペコリとカフカに頭を下げて、リコ達と一緒に会議室から
出ていくミク。トボトボと歩いている後ろ姿を見たカフカが、パタンと会議室の扉が閉まると同時に、レイの方を見て、またため息ついた
「感情的に怒るのは、あまりお薦めしないな」
会議室にあった椅子に座りながら、少し怒った声でレイに話すカフカ。その声を聞いてレイが苦笑いをして返事をした
「すまない。助かったよ」
「珍しいな。レイがこう怒るのも。あの子のためか」
「そうだな。それもあるが……」
レイもカフカの向かい側の椅子に座り、一つため息ついた
「相談事なら聞くぞ。今日は特に予定もないし」
と、先程の怒った声とは違い、カフカの明るく頼もしい言葉を聞いて、緊張感が解けたのかフフッと笑った
「じゃあ、言葉に甘えて少し聞いてもらおうか……」
「ミク、ご飯残してるよ。全部食べて」
会議室から戻ると、食堂には行かず朝御飯を部屋で食べているリコ達。あまり食が進まないリコ達と共に、ミクもあまり食べれないのか、半分ほど残して、ベッドの上で本を読んでいる
「……後で食べます」
食べる気の無さそうな返事に、ため息つくリコ達。そんなリコ達も食が進まず、ご飯を大分残している
「……あれ?」
突然、本を読みながら首をかしげた。不思議そうな声にリコが気づいて、声をかけた
「どうしたの?」
「本が……」
リコに返事をしながら振り向いたミク。ソファーに集まってご飯を食べていたはずのリコ達の姿が見当たらない
「あれ?みなさん?」
ついさっきまで会話をしていたはずのリコも、ご飯を食べていたクルミとモモカの姿も見当たらず、ソファーの周りをうろうろと動いたりトイレの中を見たり、部屋の外の廊下を見たりと三人を探しても、やはり姿は見当たらない
「どこか行っちゃった……」
部屋の外に隊員達の姿も声も聞こえず、しょんぼりしながらベッドに座ると、絵本と本をぎゅっと抱き、うつ向いてしまったミク。しばらく、ベッドに座ったままリコ達が来るのを待っていると、どこからともなく声が聞こえてきた
「お母様のうただ……」
声の主にすぐ気づいて、慌てて絵本と本を持ったまま、ベッドから降りると、大急ぎで窓を開けた
「お母様!いるのですか?」
外に向かって何度も叫ぶミク。そのミクの大声に反応するように、ミクのすぐ側にある木がガサガサと揺れはじめ、ミクがその揺れる木に目を向けた瞬間、力が抜けたように倒れてしまった。それとと同時に、聞こえていた声も大きくなり、その声の主は、倒れたミクを見つけて、クスッと笑った
「帰りましょう、ミク。あなたの未来の為に」
「ミク、大丈夫?」
「怖かったです」
泣きそうな声で返事をするミクに、カフカもはぁ。とため息ついた
「あいつは、もう少し優しく笑えれば、皆に好かれるんだがなぁ……」
とポツリ呟いて、ミクの側に来ると視線を合わせるように少し屈んで、モモカに抱かれて泣いているミクにニコッと笑う
「大丈夫かい?食堂行って美味しいものでも食べて、元気だしな」
話しかけられて少し顔をあげカフカの顔を見るミク。ニコニコ笑っているカフカを見て、小さく頷くとゆっくり立ち上がった
「大丈夫?歩ける?」
「歩けます。ごめんなさい」
ペコリとカフカに頭を下げて、リコ達と一緒に会議室から
出ていくミク。トボトボと歩いている後ろ姿を見たカフカが、パタンと会議室の扉が閉まると同時に、レイの方を見て、またため息ついた
「感情的に怒るのは、あまりお薦めしないな」
会議室にあった椅子に座りながら、少し怒った声でレイに話すカフカ。その声を聞いてレイが苦笑いをして返事をした
「すまない。助かったよ」
「珍しいな。レイがこう怒るのも。あの子のためか」
「そうだな。それもあるが……」
レイもカフカの向かい側の椅子に座り、一つため息ついた
「相談事なら聞くぞ。今日は特に予定もないし」
と、先程の怒った声とは違い、カフカの明るく頼もしい言葉を聞いて、緊張感が解けたのかフフッと笑った
「じゃあ、言葉に甘えて少し聞いてもらおうか……」
「ミク、ご飯残してるよ。全部食べて」
会議室から戻ると、食堂には行かず朝御飯を部屋で食べているリコ達。あまり食が進まないリコ達と共に、ミクもあまり食べれないのか、半分ほど残して、ベッドの上で本を読んでいる
「……後で食べます」
食べる気の無さそうな返事に、ため息つくリコ達。そんなリコ達も食が進まず、ご飯を大分残している
「……あれ?」
突然、本を読みながら首をかしげた。不思議そうな声にリコが気づいて、声をかけた
「どうしたの?」
「本が……」
リコに返事をしながら振り向いたミク。ソファーに集まってご飯を食べていたはずのリコ達の姿が見当たらない
「あれ?みなさん?」
ついさっきまで会話をしていたはずのリコも、ご飯を食べていたクルミとモモカの姿も見当たらず、ソファーの周りをうろうろと動いたりトイレの中を見たり、部屋の外の廊下を見たりと三人を探しても、やはり姿は見当たらない
「どこか行っちゃった……」
部屋の外に隊員達の姿も声も聞こえず、しょんぼりしながらベッドに座ると、絵本と本をぎゅっと抱き、うつ向いてしまったミク。しばらく、ベッドに座ったままリコ達が来るのを待っていると、どこからともなく声が聞こえてきた
「お母様のうただ……」
声の主にすぐ気づいて、慌てて絵本と本を持ったまま、ベッドから降りると、大急ぎで窓を開けた
「お母様!いるのですか?」
外に向かって何度も叫ぶミク。そのミクの大声に反応するように、ミクのすぐ側にある木がガサガサと揺れはじめ、ミクがその揺れる木に目を向けた瞬間、力が抜けたように倒れてしまった。それとと同時に、聞こえていた声も大きくなり、その声の主は、倒れたミクを見つけて、クスッと笑った
「帰りましょう、ミク。あなたの未来の為に」
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