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99. 知っても知らなくても困るから
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「では、本を使って何をしようとしている?」
「それは、教えられないよ。みんなに怒られるからね」
質問に相変わらずニコニコと返事をするレイ。変わらない態度に思わずフフッと笑うレグス。カフカも変わらずずっと険しい表情のまま、二人のやり取りを見ている
「それより、レグスの願いこそ何なの?」
「それこそ、教えられないな。邪魔されては困るからな」
「意地悪だねー。教えてくれてもいいじゃないか」
楽しそうに探りあいの話をするレグスとレイ。一瞬、二人に沈黙が流れた時、レイがすぐ隣に浮かぶ一冊の本を手に取り、パラパラとめくり本を読みはじめた。その様子を無言でレグスとカフカが見ていると、本を数ページ程、目を通し終えたレイが二人に向かってニコッと笑う
「そろそろ行かなきゃ。なるべく早く帰るから、話はその後で……」
と言い読んでいた本をパタンと閉じると、レイの周りに浮いて集まっていた本達が、バサバサと地面に落ちはじめると、慌ててカフカがレイの側に駆け寄る
「待て、レイ!」
レイが魔術を使っていることに気づいたカフカが、レイを呼び止めるため叫ぶ。だが、一歩間に合わず二人の前から消えてしまったレイ。呆然とするカフカの周りには、まだバサバサと落ち続けている本達の音が響いている
「お母様。本当に唄うのですか?」
レイが図書館から消える少し前、少し困っていた表情で家の庭に立っていた。すぐ側でミクの様子を見ているアマネは、ミクの心配とは裏腹にニコニコと微笑んでいる
「ミクの好きなうたで良いわ。一緒に何を唄う?」
「えーと……」
「ミク、あのね……」
何を唄うか悩んでいるミクの耳元で、ヒソヒソと話始めたアマネ。そのヒソヒソ話を聞いて、ミクが更に困った顔になった
「難しいです……それに……」
「大丈夫。ミクなら出来るわ」
不安そうなミクをアマネがぎゅっと少し強く抱きしめる。それでも、アマネの話にミクが戸惑い不安そうにしていると、二人の側に誰かが近づいてきた
「ライさんも、そう思うでしょ?」
と、顔を少し横に向け話すアマネの視線の先にミクも振り向き同じく見ると、ミクがずっと持っていた本と絵本を持ったライがミクの側に歩いてきた
「お父様……私……」
「ミクなら大丈夫。アマネと一緒にうたを聞かせておくれ」
ミクの不安そう声に優しく微笑みお願いするライ。またアマネがぎゅっとミクを抱きしめる。二人のお願いを断れないミクは、ライとアマネの顔を見上げてゆっくりと頷いた
「……頑張って唄ってみます」
と言うと、アマネから離れて二人の前を少し走って、クルリと振り返る。微笑む二人を見て、一つゆっくりと深呼吸すると、か細い声で唄いはじめたミク。微かに聞こえるうた声に、嬉しそうに聞き入るライとアマネ。ミクの声を聞きながら二人見つめあって、小さく頷いた
「素敵な唄だ。きっと素敵な本も書かれるだろう……」
「それは、教えられないよ。みんなに怒られるからね」
質問に相変わらずニコニコと返事をするレイ。変わらない態度に思わずフフッと笑うレグス。カフカも変わらずずっと険しい表情のまま、二人のやり取りを見ている
「それより、レグスの願いこそ何なの?」
「それこそ、教えられないな。邪魔されては困るからな」
「意地悪だねー。教えてくれてもいいじゃないか」
楽しそうに探りあいの話をするレグスとレイ。一瞬、二人に沈黙が流れた時、レイがすぐ隣に浮かぶ一冊の本を手に取り、パラパラとめくり本を読みはじめた。その様子を無言でレグスとカフカが見ていると、本を数ページ程、目を通し終えたレイが二人に向かってニコッと笑う
「そろそろ行かなきゃ。なるべく早く帰るから、話はその後で……」
と言い読んでいた本をパタンと閉じると、レイの周りに浮いて集まっていた本達が、バサバサと地面に落ちはじめると、慌ててカフカがレイの側に駆け寄る
「待て、レイ!」
レイが魔術を使っていることに気づいたカフカが、レイを呼び止めるため叫ぶ。だが、一歩間に合わず二人の前から消えてしまったレイ。呆然とするカフカの周りには、まだバサバサと落ち続けている本達の音が響いている
「お母様。本当に唄うのですか?」
レイが図書館から消える少し前、少し困っていた表情で家の庭に立っていた。すぐ側でミクの様子を見ているアマネは、ミクの心配とは裏腹にニコニコと微笑んでいる
「ミクの好きなうたで良いわ。一緒に何を唄う?」
「えーと……」
「ミク、あのね……」
何を唄うか悩んでいるミクの耳元で、ヒソヒソと話始めたアマネ。そのヒソヒソ話を聞いて、ミクが更に困った顔になった
「難しいです……それに……」
「大丈夫。ミクなら出来るわ」
不安そうなミクをアマネがぎゅっと少し強く抱きしめる。それでも、アマネの話にミクが戸惑い不安そうにしていると、二人の側に誰かが近づいてきた
「ライさんも、そう思うでしょ?」
と、顔を少し横に向け話すアマネの視線の先にミクも振り向き同じく見ると、ミクがずっと持っていた本と絵本を持ったライがミクの側に歩いてきた
「お父様……私……」
「ミクなら大丈夫。アマネと一緒にうたを聞かせておくれ」
ミクの不安そう声に優しく微笑みお願いするライ。またアマネがぎゅっとミクを抱きしめる。二人のお願いを断れないミクは、ライとアマネの顔を見上げてゆっくりと頷いた
「……頑張って唄ってみます」
と言うと、アマネから離れて二人の前を少し走って、クルリと振り返る。微笑む二人を見て、一つゆっくりと深呼吸すると、か細い声で唄いはじめたミク。微かに聞こえるうた声に、嬉しそうに聞き入るライとアマネ。ミクの声を聞きながら二人見つめあって、小さく頷いた
「素敵な唄だ。きっと素敵な本も書かれるだろう……」
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