こねくとノイズ

シャオえる

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16. 誰かの代わりに

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「あの……ノイズ」
「んー、なに?」
「ちょっとこれは、私には……」
 食後、お風呂場に無理矢理ノイズに連れてこられたサクラ。ノイズに服を脱がされると、ノオトも一緒に三人でお風呂に入ることになり、断ることも出来ず戸惑いつつも、身を任せ体を洗われていた
「話しは後々。水かけるから目を閉じて」
 サクラにそう言うと頭からバシャと思いっきり水をかけた。ブルブルと体を振り髪にかかった水を弾くと、ふと濡れないように、入り口の側にある棚の一番上で毛繕いをしているメメを見つけ見ていると、ノイズもメメを見つけ声をかけた
「メメ、こっち来ないの?」
「嫌よ。濡れちゃうじゃないの」
「どうせそんな所にいるなら入れば良いのに。サクラもそう思うよね」
「そうですね。……でもメメさんは猫なので」
 そうサクラが言うと、ノイズとノオトがまだ毛繕いをするメメを見た
「ああ、そうだったね」
 そうノオトがクスッと笑い言うと、サクラが首をかしげ不思議そうにしていると、突然後ろからバシャッと勢いよく水を被せられた
「よし、湯船入ろう」
 ノイズがサクラの腕を引っ張り無理矢理湯船へと誘うと、先に湯船の中にいたノオトが二人に当たらないように少し体を移動した。とても広い湯船に、二人がバシャンと勢いよく入り、湯船の水がたくさん溢れ出た。その様子をメメが呆れたように、ふぅ。とため息をつきながら、尻尾をユラユラと揺らした



「サクラ、どうしたの?のぼせてきた?」
 湯船に入り体が温まってきた頃、サクラがボーッとした顔で天井を見上げているのに気づいたノイズがノオトと会話をしていたのを止めてサクラに声をかけた
「ううん。お父さん達、心配しているかなって思って……それで」
 と、今度はうつ向き不安そうに話すサクラに、ノイズがぎゅっと抱きついた
「大丈夫、もしサクラが怒られるなら、代わりに私が怒られておくから、心配しないで」 
「そうね、それなら私が今、サクラのお父さんの代わりに怒ろうか」
「えー、それはちょっと……」
 ノオトがクスッと笑いながら冗談を言うと、ノイズが本当に嫌そうに返事をする。そんな二人の会話にサクラがクスッと笑った

「ノイズ」
 三人の会話を止めるように、メメがノイズを呼んだ
「モモが呼んでいるわよ」
 そうメメが言うと、三人がモモがいる更衣室の方を見ると、すりガラス越しに、ジタバタと動くモモの姿が見えた
「モモ、どうしたの?」
 更衣室に来たノイズがモモを呼ぶと、モモが力なくフラフラと地面に落ちた。ノイズがモモを拾おうと手を伸ばすと、お風呂に入っていないはずのモモの全体が濡れている事に気づいて、慌ててお風呂場に戻った

「ノオト、ちょっと来て」
 険しい表情のノイズを見て、ノオトが何も言わず湯船から出ると、メメもうーんと背伸びをしてノオトと一緒に更衣室に向かった
「モモを治せる?」
 サクラに見られないように、お風呂場を背にしてモモを見せると、さっきよりも濡れたモモを見て、ノオトの表情が険しくなった。メメもモモの様子を何も言わず見つめている。ノオトがモモに触れ、ページを開こうとすると、濡れたせいで重なったページが破けそうになり、そーっと本を閉じ、ふぅ。とため息をついてノイズを見た
「今すぐは無理ね。とりあえず今はサクラに気づかれないように、モモをこれ以上濡れないように、ここら避難させて」
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