こねくとノイズ

17. お風呂上がりの更衣室

「……わかった。すぐに避難させるね」
　モモを見ながらノオトに返事をすると、更衣室の扉を少し開け、廊下を見渡すノイズ。びしょ濡れのまままだ服を聞いていないノイズが突然現れ、家政婦達が慌ててノイズの所に駆け寄ってきた
「あれはなに？」
　慌ただしいノイズ達の様子を見ながらメメがノオトに問いかけていると、家政婦がタオルに巻いたモモを抱きしめバタバタと走って去っていった
「モモがさっきの術に耐えきれなかったみたい。一度、術を解いてから乾かさないと、また濡れるね」
「ノイズの力が足りなかったの？それともモモ？」
「さあ、詳しくは一度術を解いてみないと……」
「あのー……」
　突然、後ろから話しかけられ少し驚きつつ振り向くと、お風呂場の扉を少し開けたサクラが顔を赤らめ、こちらを見ていた
「もう出ても良いですか？のぼせちゃいそうで……」
「ええ、もちろん」
　ノオトがクスッと笑って答えると、体についた水滴を少し滴しながらサクラが更衣室に出てきた
「のぼせる以外、何か体調はどう？」
「体調ですか？悪いところは特に……」
　メメがサクラの側に来て問いかけると、サクラが自身の体をキョロキョロと見渡しながら答えてると、動いた時に跳ねた水滴がメメの顔に少し当たり、メメが不機嫌そうにサクラを睨んだ。気づいたサクラが慌ててメメの顔を拭こうとタオルを棚から取り出した時、家政婦との会話を終えたノイズが戻ってきた

「あれ？もうお風呂終わるの？」
「のぼせそうだってさ」
「そっか、長風呂だったからね」
　ノオトと会話をしながらメメの顔を拭くサクラを見て、ノイズがノオトに近づき、サクラに聞かれないように、こそっと話しかける
「モモ、ちょっと悪いかもしれない」
　そう言うと、ノオトの表情が一瞬険くなってすぐ、はぁ。と一つため息をついて、棚に置かれていたタオルを一つ取った
「先に出る。モモは任せたから」
「任せといて。どうにかするよ」
　ノオトにエヘヘと笑って答えるノイズ。その笑う様子を見て、不安になりつつもノオトが着替えはじめる。その間に濡れた顔を拭き終わったメメが側に来ると、一緒に更衣室から出ていった
「何かあったの？」
「ううん、何も。それより、湯冷めしちゃうから私たちも早く出よう」
　新しいタオルをサクラに手渡しながらそう返事をすると、ノイズも家政婦達と話している間に、少し乾いた体をタオルで拭きはじめた

「そうだ。寝る前のデザート用意してもらう？ちょっと怒られるかもしれないけど」
　一通り体を拭き終えノイズがサクラにそう話しかけると、サクラから返事がなく、心配して見てみると服を見てボーッとしていた。声をかけようとした時、サクラがノイズに気づいて、少し困ったようにエヘヘと笑った
「あの……、何だか急に眠くなってきて……」
「温まって疲れが来たんだね。今、人を呼ぶから一緒に部屋に戻ると良いよ」
「えっと、ノイズは？」
　サクラの問いかけを聞きつつも、また廊下に顔を出して家政婦を呼び、サクラを見て何やらヒソヒソと話している。しばらくすると、また家政婦達が慌ただしく動きはじめ、ノイズはサクラの所に戻ると、棚に用意して置かれていたサクラの着替えを取り手渡し、さっきの問いかけに答えながらニコッと微笑んだ
「私はまだお風呂に入るから。後で部屋に行くから、サクラは先に寝ておくといいよ」